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1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について  作者: 水定ゆう
秩序編

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28.裏庭の噴水提

噴水って、なかなか見なくないん

 ルカには犯人が見えていた。

 とは言っても、誰が何のためには判らない。じゃあ何の犯人が見えたのか。

 シルヴィアは尋ねた。


「それで犯人は誰なのかしら」

「さぁね。それは判らないよ」


 二人は目を丸くし、声も出ない。

 そこでルカは改めて何が判ったのか。そして何に向かっているのか。それを話し出す。


「正直私は、一体誰が犯人かは判ってない。だけどあの魔導書を読んだ人は二人だけ。その中で二人目よりも前に読んだ方を犯人とみていいと思うんだ」

「どうしてですか?」

「後から読んだ方には悪意ある魔力は感じられなかった。つまり悪意を感じた方がこの事件の一端を担っていて、結局あの魔導書の内容を読んで今回のような事態を引き起こしたと言っていいよ」

「あのさー、さっきから言ってることがよく解らないんだけど?」

「あははごめんね」


 ライラックは唇を尖らせる。

 しかしルカは平謝りを介して、続きを話し出した。


「魔力にはその人の感情が正直に現れる。上手く隠す人もいるけど、その分だけ相手の力量も知れるんだよね。それで魔力を辿ったら明らかに気分が悪くなる魔力。つまり負の魔力が漏れ出てるってこと」

「そんなぁ。めっちゃめちゃめんどいじゃんか」

「そうなんだよ」


 この際、二人はルカが異常なことを言っているが何も言ってこない。

 それは自分たちの命もかかっているからで、ルカを先頭にして、後に続いていた。


 時刻は夜も遅い。

 七時を回って、今は誰もいない。私達は図書室に隠れていて、こうして抜け出てきた。

 そこで人もいなくなった空気は澄んでいる。


「そう言えばルカ。貴女、今何処に向かっているのよ」

「ん? 当然魔力の残り香を追ってるんだけど」

「魔力の残り香って、魔力の跡みたいなもの? でも匂いなんてしないよ?」


 ライラックは非凡なことを呟く。

 しかしそれがまた可愛らしい。


 シルヴィアはと言うと、くだらない顔色をしていて話の節を折ろうとするが、ルカはちゃんと聞いてあげた。

 だけどすぐに離しを引き戻し、もう少し詰める。


「確かに匂いはしないよ。でも魔力を使った跡は判るんだよね、実は」

「どういうことなのよ?」

「つまり魔力の残り香って言うのは、その人が魔力を少なからず使った跡。放出した際に微弱に漂う目印みたいなものなの。で、それを辿れば……」

「相手の位置が分かる?」

「正解」


 流石シルヴィア。理解が早くて助かる。

 ルカは話しながらにそう思い、気が付けば裏庭にいた。


「ここで魔力が途切れてる」

「こんなところで?」

「変なのー。ここって、この大きな噴水しかないよね?」


 ライラックの言う通り、アルカード魔術学校の裏庭には不自然に置かれた大きな噴水しかない。

 装飾品にしては見事な円形。

 それから白く、大理石のようで、汚れ一つない。

 中には水が満ちていて、確か千年前にもあったはずだ。

 ルカの記憶が正しければ、この噴水は昔はダムのように水を塞き止める噴水提として使おうとしていたが、それは建前で単に面白いギミックを搭載したかっただけ。

 ルカは過去にそれを偶然発見したため、ナタリーによって秘匿されていた。それから封印を施したと聞いていたが、


「これは……」


 ルカは顔を顰める。

 厳しい顔をしたのには訳がある。

 それは、


(封印が解かれているの? 一体誰が……)


 上手く隠したようだが、ルカには一発で判った。

 そこまで大したことないものだからと、封印を甘くしていたが、まさか経年劣化を皮切りに解けるなんて。聞いたことない。

 しかもそれだけじゃない。


「ねぇ、これ水が漏れてない?」

「あれれー、ほんとだぁー」


 シルヴィアたちも疑問に思った。

 そこで噴水を隅々まで見て回るも、亀裂なんてものはない。

 しかし事件は迷宮入りにはならない。何故ならルカがいる。


「確かに一切の亀裂はないように見えるけど、多分この手は……」


 コーンッ!——


 ルカは噴水の下の部分を思いっきり蹴り上げた。

 すると小刻みなカチッ!と音を立てる。


「ちょっと何してるのよ!」

「まぁ見ててよ」


 ルカははぐらかすように、はにかんだ。

 ただの勘。もしくは経験と錯覚させ、しばらく待っていると、


 ギシィィィィィィィィィィ!——



 重たい音を立てた。

 噴水の下部に魔術が刻み込まれ、一段地面から生えてくると、突然水を零していた部分が割れた。

 そして、


「い、入り口?」

「そうみたいだね。しかもこの下から魔力が続いてる」


 ルカはさらに睨みつけた。

 この下に魔力がある。だけど鼻の奥底を掻き立て、嫌な記憶を呼び覚ます臭いが同時に漂うのだ。

 苦い顔をし、奥歯を噛むルカだったが、怒りに我を忘れることはなく、この思いを直接叩き込んでやるといつになく決意を燃やしていたのだった。

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