27.調査してみよう
今回は一気に真相に近付くよ。
まさかこんなことになるなって。
教頭は頭を抱えていた。
「あー、如何しましょう。如何しましょう。如何したらいいんでしょう! なんで、如何して、こんな時にぃー!」
「まぁまぁ落ち着きなさいよ、パニラ教頭」
「これが落ち着いていられますか、マンダー教頭。だってこんな非常事態になっているんですよ!」
「落ち着いてくださいよ、本日はナタリー校長もいないんです。この非常時を収拾するのが、我々の役目のはずですから」
ワイン片手にマンダーはパニックになっていたパニラを宥めた。
その態度は悠然としていた。
ピッチピチのタキシードを着、貴族としての本望を果たそうとするその態度はまさに紳士だったが、
「その体型で言われたら、カッコよさが薄れちゃうんですよね」
「ふぁっふぁっふぁっふぁっ! そういうことは本人の前で言わない方がよいですぞ、パニラ教頭」
「む、ムカつくー!」
パニラは拳を握った。
決して短気なわけじゃない。が、こういった面倒なタイプと咄嗟のことに弱い性格が災いして爆発したのだろう。
なにせ、
「もう、なんでまたこんなことに……」
「十年前……いえ、三年前もでしたか」
「あの時は何とか誤魔化せたけど、また校長がいないときに限って……」
パニラは頭を抱える。
しかしマンダーは考え事にふけりながら、一言口にした。かなり核心を突く。
「まさか校長がいない日を見計らって……」
「それって計画的じゃ!」
「そう言うことですな」
パニラは動揺を重ねた。
すると校長室にノックが反響する。
「失礼します。教頭、居られますか?」
「ええいますよ。どうぞ中に入ってください」
「失礼します」
校長室の中に入ったのはノーブルだった。
如何してここにいるのか。そのことに問う者は、この部屋の中にはいない。本当は聞きたいが、今はそんな状況でもなかった。
「ノーブル先生」
「教頭。先程、ティテゥス先生から聞いたのですが、図書室に保管されていた魔導書を盗まれかけたそうです」
「盗まれかけた?」
「はい。おそらく今回の騒動。いえ過去にも起きた事件と関係があると思われます」
ノーブルの目は辛辣だった。
しかしそれに同調するかのように、今回の事件の真相を暴こうと画策する。
そこで、
「まさかそんなことになっていたなんて。あー、如何しましょう。如何しましょうか!」
「落ち着いてくださいな、パニラ教頭。ノーブル先生、他に何か分かったことは?」
「断定はできませんが、可能性は。ですので、ここは私に任せてください。お願いします」
ノーブルは頭を下げた。
しかしただでさえ混乱は広がるのに、それを承認できないのも仕方ない。
だが保身のためではなく適材適所で行動を起こす面々は、この事件の捜査をノーブルに任せることにした。その理由は明確で、正体は知らないがノーブルの実力は本物だからだ。
それだけで、信頼には足りていた——
※※ ※ ※ ※ ※ ※
机の上に大量の本を並べ、読み進めるシルヴィア。古い新聞記事の切り抜きばかりで、ルカも併せて速読する。
そんな中、ライラックだけは頭を抱えて眠りこけそうだった。
「あーもう無理。頭痛-い!」
「こら寝ないの。ライも探す探す」
「そんなぁー」
ライラックは完全にのしていた。
覚えるのは得意だけど、調べ物は嫌いだ。そのせいで完全に頭を抱えていたが、
「いや、もう終わったからいいよ」
「は、早い!」
ルカはその間に全部の資料を読み終えていた。
とは言ってもここにあるほとんどはルカが読んだことのあるものばかり。千年前に一度拝読済みで、新たに読んだのなって古い新聞記事ばかりだった。
「それで何か分かったのー?」
「いやなにも」
「そんな。こんなに本を並べて調べたのに、何にもないなって」
シルヴィアもぐねっと折れる。
だけど何の収穫もなかったわけじゃない。ルカは核心に迫る。
「この本、覚えてるよね?」
「あっ、それってこの間落ちた」
「そう。この本、実は魔力の流れ。しかも直近のものが残ってる。そしてこれが何を意味するか……分かるよね?」
「ま、まさか!」
シルヴィアは顔を上げた。
ルカの笑みは核心の笑み。つまりは、
「この事件の犯人は、その人しかいないんだ」
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