今度はマリマリ
「だからってなんで私がこんな役をしなきゃならないのよっ!」
「まあ落ち着いてマリ……そんなでは何もスムーズにいきませんよ」
私の隣でユイが平静を装いながら衣装を着こなしていく。っていうかなんでユイ、こんなの着れるのよっ!?
「だってかわいいじゃないですか」
「そう? いやいや、なんで中学にもなってこんな子供じみたのを着ないといけないのよっ!」
「だって子供のためじゃないですか。イヌのきぐるみ、いいですよね」
「そりゃ、ユイはイヌだからいいわよ。なんで私がネコなのよっ??」
私は躊躇しつつもきぐるみの胴の部分を着終わって後はこのネコの頭を被れば良いだけなのに、それができない。
「マリ」
ユイが、といっても今の姿はイヌなんだけど、が私の方に向く。
「なに?」
「けっしてその格好で私の半径3メートルに来ないでくださいね」
「え? でもそんなことしたら劇できないんじゃ……?」
いくらユイがネコ嫌いだからってこれは一応きぐるみよね? そうよね?
「劇だとしてもです。死ぬ覚悟があるなら良いですけど」
「うっ………」
「では行きますか」
イヌのきぐるみを着つつもユイの優美さな動きは衰えていない。さすが、っと私も行かなきゃ。
ちなみに私とユイは今日アルバイトで幼稚園での小劇をしている。中学生はバイト禁止だけど知り合い通してだから大丈夫だと思う。それにきぐるみだからばれないだろうし。
そして劇をするための小ステージに上がると、無関心さ120%の幼稚園児がずらりと座っていた。
「はーい皆さんこんにちは」
上品な声に子供達は釘付け、さすがユイ。なんでもそつなくこなす女ランキング単独一位。
「こんにちはー」
私も続いて子供達に声をかけるけど、ノーアンサー。ええ、どうせそうですよ。
台本どおりに私とユイは劇をこなしていく。三メートル離れなきゃいけないから難しかった。それで最後のクライマックスに私は地雷を踏んじゃった。
私はユイの肩に手を置いて、最後のトリをしようとしたら私は宙を飛んでいた。
「え?」
視界の悪いきぐるみの中、腹部に鈍痛。あれ、もしかしてユイにけられた? そう結論付ける前に私の着ぐるみの頭がどこかの机かなにかにぶつかり私の首は激しく曲げられる。
「うぁっ!!」
そして地面に激突。うぅ、いたい。
なんとか立ち上がろうとしたら、今度はちびっこたちの声が聞こえてくる。
「あのネコをやっつけろー!」
「え?」
「やっちゃえやっちゃえー!!」
「え、ちょっ、ストップ! ストップー!! ユ、ユイーーー!!」
私は叫ぶ、SOSの悲痛なる叫びをそして返ってきたコタエは。
「私はイヌです。ユイではないです。それでは皆さんさようなら」
「「イヌさんさよーならー!!」」
「ちょっ、ユイーーーー!!!!!」
それから永遠と子供に押しつぶされ、蹴られ、遊ばれ、開放された。
着替えるとき、ユイはもう私服に身を包んでお茶を飲んでいた。怒りをぶつけようとした私だけど、私の大好きなお菓子を用意してくれていたから何もいえなかった。
あれ、なんで今日なのよ?
いやー、ちょっと時間がかかりました。始まりの冬のほうが今、路線真っ只中なんでこっちのほうがなにぶん遅れてしまうんですよね。いつになく短いので言い訳にしかなりませんが(汗




