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ユイからのデートお誘い・パート2

「ぼ、僕のP、PSPが……!!」


 そう、今ユイちゃんの足元には僕がすずめの涙とも言われる毎月のお小遣いを約1年間貯めて購入した命の次の次の次の次に大切なPSPが半壊状態で呻きをあげていた。


 僕は、ゆっくりPSPの残骸を手に取り涙した。


『ごめん、ごめんよ。僕が不甲斐ないばかりに君をこんな姿に……。う、うぅぅぅ……』


「あ、あの、シン様?」


「なに? ユイちゃん?」


 確かに踏んだのはユイちゃんだけど、僕のPSPを勝手に取り出してやっていたのは姉さんだ。だからいくらなんでもここでユイちゃんを責めちゃダメだろう。うん、ここは男としてユイちゃんには……、


「あの、弁償いたしますが……」


 え!? 本当!? あ、でも、ダメだ。いくらなんでもそんなことをしてもらったら、僕にも男としてのプライドが……。


「いいよいいよユイちゃん、そこまでしてくれなくたって」


「ですが、私の家には10個ほどありますのでよければお譲りしたいのですが。少し買いすぎてしまったので」


「え! ホント!?」


「はい。なんでしたらお姉さまにもお一つ」


「え! ホント!?」


「わっ、姉さん! いつの間に!」


 姉さんはいきなり僕の背後から身を乗り出していた。


「はい。そしたら皆様で通信もできますし」


 ユ、ユイちゃん。君って子は……!!


「ありがとう! ありがとう! ユイちゃん!!」


 僕はユイちゃんの手をとって握手を感極まりない勢いで振った。


 なんでかユイちゃんは顔を赤らめて照れていたけど。


「い、いぇ、そ、そんなことは………」


「ありがとねユイちゃん。お礼といっちゃあれだけど今日はシンを好きなようにしていいから」


 姉さんは勝手にピースサインをユイちゃんに向けて、それを確認したユイちゃんの目はちょっと怖いぐらいに輝いていた。


「本当ですか!?」


「ええ、もちろん。ね、シン?」


 姉さんの顔を見ると……邪気が放たれていた………。


「も、もちろん」


「それでは行きましょう! シン様! いざ、二人のシュルルプールへと!!」


「え? ちょっ! ま、まって……!」


 僕はかろうじてユイちゃんの暴走を食い止めて、


「ちょっとお手洗いに……」


「あ、はい。わかりました。それではマッハで行ってください。20秒待ちますので」


「え、20秒? ちょっと、それは……」


「20…………19……」


「あ、はい! わかりました、超即急で用済まします!」


 ユイちゃんのほうが姉さんより怖いのかも。こっちは般若の陰りが……。


 僕はからくも制限時間内に終わることができて、ユイちゃんと一緒に家を出ることができた。ちゃんと手は洗ったからね。うん、ちゃんと石鹸で洗ったから。


「それでユイちゃん、どこ行くの?」


「はい、今日は学校へ」


「学校?」


「はい」


「なんで、また?」


「それは……」


 ユイちゃんは顔を背けてなんかほっぺが赤くなったような感じがした。


「それは?」


「シ、シンさ、まと……はずかしくて言えません!!」


 バシッ!!


 ユイちゃんが振り回した左手の平手打ちが僕の後頭部を直撃。


「いたっ!!」


 な、なんかかなりべたなネタなのに、これは……痛い。でも当の本人はまだテレてるっぽい。なんに?


「ねえユイちゃん」


「はい?」


「そろそろ行かない? 立ってるだけじゃなんだし」


「そうですね」


 ユイちゃんはそういいながら僕の腕にぴったりしがみついてきた。毎回のようにユイちゃんは僕にしがみついたりしてきたけど、今日はなにか違う感じがした……。


 なにか、良い匂いがしから……かな? 今日のユイちゃんは普段よりも大人しくてキレイに見える。なんか、調子狂うけど………ユイちゃんは学校でもかなりキレイなほうで男子からも人気がある。そんな子に腕を組まれてる僕は常識で言ったら幸せなんだろうな。


 そんなことを考えてもう一度ユイちゃんの横顔を見ようとしたら、やっぱり今日も変わりないであろうことに気付くことになる。なんでって、ユイちゃんがいきなり立ち止まったから。


「どうしたの、ユイちゃん?」


 ユイちゃんの肩は震えていた。ど、どうしたんだろう?


 僕は前方を見ると、そこには今、この瞬間もっとも出会いたくない動物の姿があった。


「ね、ねこ……! っは!」


 し、しまった! この言葉はユイちゃんの前では禁句だった! に、逃げなきゃ!!


 僕はユイちゃんから離れようと走ろうとしたけど、それは叶わなかった。なぜってユイちゃんが僕の腕をぎっしりみっちり掴んでいたから。


「ユイちゃん! あれはネコじゃないよ。ほら! ね? あれはチワワだよ! ね? そうだと言って。そう思い込んで、お願いだから……」


 僕は自分の命の危険性がレッドゾーンをぶち破っていて、はるかかなたにいってることが直感できた。だって、ユイちゃん……後ろからなにか出てきてるんだもん。


 これは、鬼? そんなオーラが出て、多分僕、今頃汗だくなんだろうな。もう感覚わかんないや……あはははは。はぁ……短い人生だった。まさか最後の最後にネコのせいで人生終えるなんてついてないな、僕。


 そして走馬灯が僕の頭をよぎって、僕は空を仰いで一滴の涙を流した…………。


 いやだ! やっぱり死にたくない! せっかく僕のPSPが生まれ変わろうとして地獄からユイちゃんという名の女神によって生還するのに僕がその女神に殺されるなんて! しかも、ネコのせいで! いやだ! 助けて! ゴッドヘルプミー!!


 そして、僕の腕にいっそう力がこめられていた。い、痛い、お、折れるって……!


 そんでもって、顔をあげたユイちゃんの顔は――――。



ユイは生粋のネコ嫌いです。理由はその内書くことにしますが、例えるとどこぞの夢をたくさん詰め込んでいる青いタヌキがネズミが嫌いぐらい嫌いです。さぁ、シンの運命の行方は!? シンが見るのは地獄か? それとも天国か? 

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