走るときはいつも前を見よう
「うぅー、死ぬかと思った……」
なんかこの台詞、僕の十八番になってきたような気がする。
と、なんだかんだ言っています。さっき、殺気に満ち溢れんばかりの保健室から脱出したシンです。
まだ、ちなみに股のあの部分がひりひりしてます。あの、チャラ男め。男の象徴を……。いや、でもあのチャラ男はマキ先生が適当にさばいてくれるだろう。こういうときだけはあの異様に恐ろしい性格に頼る僕もなんだけど……。
ふぅ。でも、もう一時間目始まってるだろうな。でも、たしかはじめの授業はあの担任だし……。
「ま、いっか……」
僕はちょっとシワクシャになった制服をちゃんと整えて、廊下を歩いた。
でも、僕の第六感的なものが告げてる。なにか、ある。絶対、なにか、ある。
「逃げるか? それとも……。いや、ダメだ。来るのは二人に一人。どっちにしたって僕に勝ち目なんてない」
僕は廊下の左側にずらーと並ぶ窓の一つに手をかけて、開けた。
そして、脚を窓のふちにかけようとして、ひざを曲げたら異変が起きた。
「え?」
僕のひざからは一筋の血が流れかけてきた。それも線を描きながら……。
え、え……? もしかしてこのまま窓から出るのにひざを上に上げたらひざから下がすぱって切れるオチじゃないよね? ね!? 誰かそうだと言ってー!
「はっ、そういえば、マキ先生が僕の下半身をどうこうしたっていってたような……。
僕はとっさに脚を下ろした。すると、ゆっくりと血の筋が消えていって、
「ネチャ」
という音とともに僕のひざはくっついた? っぽい。
って、えーーー!? めっちゃこわいんすけど! なに!? ネチャってなに!?
ほんとにこんなのでくっつくのかな? なんて思いつつもこれはコメディ。深追いすると僕が大変な目にあう。
「うぅ、こうなったら玄関から出よう」
僕はとぼとぼと学校の玄関へ向かおうとしたら、前方に延びる廊下の向こう側に一つの波音が聞こえた。
波? いや、これは滝? え? 人間の足音?
「ドドドドドドドドドド!!」
うわっ、やっぱりこれだ! これがさっきの第六感の伝えていた脅威!
「に、逃げろー!!」
僕はとやかくもとかくもその怒濤な勢いで迫ってくる人影とは反対方向の廊下を走った! とにかく、走った!!
絶対、絶対、もう第六感だろうが第七感だろうと関係ない! 絶対、今、走るのやめたら、死ぬっ!
僕は全速力で廊下を走りつつも、頭を背後へと振り返り人影の正体を知ろうとした。
でも、その所為で僕はとんでもない目にあうこととなる。
僕が背後を振り向くと、その人影は僕と後30メートルぐらい離れているだけだった。
なんで!? さっきまで100メートルぐらい向こうにいたのに!
「シ・ン・さ・まーーー!!!」
「ユ、ユイちゃん!!??」
そう、ユイちゃん。僕の後をこんなにも怖いぐらいにおってきたのはユイちゃんだった。
うわー、なんか今、この瞬間だけ思考が冴えてるのは次なにが起こるのか100%危惧してるからだろうなー。なんて思っていると、そうなった。
「シン様ー!」
「ドグァ!!」
ユイちゃんはなんと残り10メートルとなった僕との間をヘッドダイビングで一気になくした。そして僕は背後からユイちゃんに抱きつかれる感触とともに、目前に迫っていた廊下の突き当たりを視界に捉えた。
「うわー、ストープ! ストップッ!!」
「グワシャっ!!!!」
後で気付いたことだけど、僕は自分の全速力の速度+ユイちゃんのヘッドダイビングタックルの衝撃+なぜかユイちゃんと一緒にいたマイの飛びひざ蹴りのせいで今までで一番なんともいえない痛さを痛感することとなったのだ。
「うぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
うわっ、シンいたそ〜。なんて哀れにただ見届ける作者Karyuでございます。コメディなので主人公は死にかけますが死にはしません。コメディきっての醍醐味ですねwなんて自分で思っちゃったりしていますw
予想以上に皆様からお読みいただきまして私は天地昇天うれしいですw




