表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死後世界触手譚  作者: 青風
国家誕生
99/138

第96話     戦争 と 無敵

センが跳躍してヘカテーとの距離を一気に詰める。

ヘカテーが鎌を振るい、打ち落とそうとする。

センは浮遊を使いタイミングをずらしヘブンをヘカテーの左腕に叩きつける。

同時に爆発が発生しその勢いで離脱をする。


コウはその爆発を目くらましに利用してパーティカルキャノンを放つ。

ヘカテーの体が青白い光に包まれ、呻き声と共に消滅・・・はしなかった。

が、その体は焼け爛れ、かろうじて尻尾が地を打っている。


「あれで死なないのか。」

「それだけじゃないようですよ?」


コウがヘカテーを見つめながら言う。

それに釣られてセンもヘカテーの方を見るとヘカテーの前面に亀裂が入り、その中から傷の無いヘカテーが出てくる。


「脱皮かよ・・・」

「みたいですね。」

「だがまぁ・・・脱皮直後ってのは柔いモノだっ!」


センがヘカテー目掛け走っていく。

すると、今まで観戦しかしていなかったラミア達が前を塞ぐ。


「センさん!」


その声を聞いてセンが飛び上がる。

そこへ先ほどよりかなり細い光の柱が通過する。


(リキャストに時間が掛かるのか?)

『そうとも言えます、それにあの魔法はかなり消耗するようです。』


センの疑問にアイが答える。


「まぁ確かにあんなのが無条件な訳無いか。」


センは呟きラミアを越える。

ラミア達は仲間数匹を盾にしてコウの魔法を防ぐ。

その間にセンがヘブンをヘカテーに叩きつけ爆発する。


「あ~・・・厄介だな。」


爆発を利用して逃げたセンが呟く。

煙が晴れヘカテーが姿を現し、見ると鱗が少し傷ついただけのようだ。


「下手すりゃさっきより硬いな。」


時間が掛かりそうでうんざりした表情をするセン。


「全力でやりますか?」


とコウが聞いてくる。


「いや、もう1回やってみてダメそうならなんか考えるよ。

 それに、全力だと消耗しすぎるだろ、それはダメだ。」

「はい。」


離れた場所で蜘蛛女は戦いから目を離せなかった。

蜘蛛女は信じられなかったのだ。

さっきのが本気では無いと言う事を。

魔王の話を聞いてから魔王になるために努力した。


目立つ行動をして襲ってくるモンスターや強そうな一般と戦いに明け暮れた。

私を捕らえようとしたイヌ族も殺せなかったが倒せた。

そうして手に入れた力が神獣には通用しなかった。

それだけでも自信が崩れそうなのに、いきなり現れたモンスターはともかく、エルフは神獣を凌駕する攻撃を出し、しかもそれが本気では無いという。


自分の小ささを思い知らされた。

まだまだだ、といわれた気分だった。

悔しい・・・悔しい・・・悔しい・・・


「うおおおおおおーーー!」


雄叫びを上げる起き上がる、が神獣は見向きもしない。

つまり敵とすら認識されていないと言う事。

やってやる!やってんよ!

場違いな戦場に走り出そうとして第一歩目で砕かれる。


「黙れ。」


今まで何処に居たのか、ルーと呼ばれ撫でられていた獣人の足が腹に食い込む。


「がはっ・・・」


もう出す物が無い胃が痛む。

お腹を抑えてうずくまる事しかできなかった。

屈辱だった・・・ただただ屈辱だった・・・。


この後女は、1人では決して到達できない戦闘を目の当たりにする事になる・・・。


「フーーーー!」


後ろから浴びせられた声に振り向く、その瞬間雷が落ちたかのような爆音に心臓が止まりそうになる。

腕を組んで立つ軍服を着た美青年とすごく大きなナックルを装着したドワーフがそこには居た。

その後ろには30台の大砲の付いたバイクが整列していた。


「お前達、早いな。」


センが呟いた。


「恐れ入ります!」


組んでいた腕を正し直立不動で敬礼をするアブドラ。


「急いで来ましたからね。」


隣の暑苦しさに苦笑いしながら片手を上げるネロル。


「兄ちゃんが緊急だって言ったんじゃないか。」


そしてバイクを割って出て来た立派なタテガミのネコ族、ムズだ。


「主殿はいつも急ですからな。」


その後ろから歩いてくる大きなケンタウロス、グラニ。

グラニは笑いながら蜘蛛女に近づいて持っていた槍を使い自分の背中に女を放り乗せる。


「ジー将軍及び第2軍は防衛の為残してあります!」

「よろしい。」


グラニの行動を見届けた後、アブドラはセンに報告をする。

センは剣を仕舞い腕を組んで返答した。

セン達がヘカテーをひきつけてる間に軍部に設置された魔法陣と繋がる陣をルーが構築していたのだった。


魔法の砲弾を浴びたラミアは全滅し、ヘカテー自身も傷を負っていた。

ヘカテーは続々と出てくる敵に思考が追いついていないようだ。

ネロルが1歩進み出てセンに問いかける。


「あんちゃん、ここは俺の隊がやらしてもらってもいいかな?」

「OK、成果を見てみたいと思っていたからな。」

「あんちゃんありがとう!それじゃ、ネロル機甲小隊いくよ!」


ネロルはそう言って真後ろに居たバイクの後ろに駆け上がった。


「フォーメーション:ル・トリアングル!、続けてエグザグラム!

 敵の鎌に気をつけつつ殲滅しろ!死ぬ事は許さん!」


センとコウはムズの隣に行き成り行きを見守る。

ネロル機甲小隊の中から予め決められていた3台がヘカテーを囲むように3方向に別れ砲を向ける。

ヘカテーは黙っていた訳ではなく襲い掛かろうとしたが、絶妙に距離を保ちながら3方向から常に狙いをつけている。

そこへ新たに3台が更に3方から計6方向から狙いを定める。

6台が配置に付くと最初の3台が時計回りに、後から来た3台が反時計回りに回り始める。


「フー!」


ネロルがそう叫ぶとヘカテーの尻尾と頭に魔法弾が炸裂する。

ヘカテーは鎌を振り回すが距離を保たれている為当たる事は無い。

そこへ6台とは別の残りが少し遠巻きに囲い鎌を砲撃する。


「中々の錬度だ。」


センはネロルを褒める。


「ありがとうございます!」


何故か、逆に居たアブドラが礼を言う。


「俺に言ったんですよ、アブドラさん・・・。」


ネロルが苦笑しながら頭を掻く。


「少佐の部下は全員同格だ、同格が褒められて嬉しくないはずがないだろう!」


なんだかよく判らない理論がアブドラには有るらしい。

砲撃は今も続いている。

グラニの背中に乗せられた女は別の世界の出来事を見るかのように釘付けになっている。


「戦争みたい・・・」


女がポツリと呟く。


「そう、これは戦争だ。」


センが女に言い放った。

女はセンを見るがセンは前を向いている。

隣のエルフと目が合い慌てて今も続く砲撃に目を戻した。

ヘカテーは頭を鎌で庇いながら身を縮ませている。


突如、ヘカテーは雄叫びを上げる。

すると、ヘカテーを包み込むように光が空から伸びてくる。

次の瞬間、轟音と共に大爆発が起き最初に取り囲んだ6台が飛ばされる。


「これが、無敵の意味か・・・」


センが呟く。

光の柱が消えるとヘカテーの周囲5m程が爆心地のように抉れていた。


「カツに怒られそうだなー」


目視で隊員の無事を確認したネロルが呟く。


「いや、お手柄だ。

 さっきまで追い込まれても使ってなかったと言う事は切り札の1つなのだろう。

 それを使わせただけでも賞賛に値する。」

「ありがとうございます!」


またネロルより先に礼を言うアブドラ。

ネロルも流石に引きつった笑いになっている。


「さて、敵の手の内も読めた事だし、ここからが本番だ。」


センは高らかに言い放った。


「「「はい!」」」


各々が返事と共に武器を手にヘカテーを見据えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ