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死後世界触手譚  作者: 青風
国家誕生
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第95話     緊急事態 と 粒子砲

ルーに持たせておいた緊急用転送陣が庭で淡く光る。


「コウ、準備して・・くれ?」

「はい、どうぞ」


コウは判っていたのか俺の剣やら鎧を既に用意しておいてくれた。

流石コウさん、頼れるパートナーだな。

剣と服を異空間に入れる。

急ぐ為に服や鎧を着ていく余裕は無かった。


「それじゃ、後は任して良いか?」

「はい、ムズさん達にも連絡済です。」


マジカこの子・・・デキル!


「そんじゃ、先に行っとくよ。」

「はい、すぐに追いかけます。」


コウは見送る事はせずに自分の用意をする為に走り去る。

俺はそれを見届ける事無く淡い魔法陣の中に入った。

周りの景色が一変すると、ルーが蛇女に文字通り絡まれていた。

いや、むしろ絡まってた?

そこにその蛇の親玉っぽい奴がルーを仕留めに掛かっている所だった。

声を出すよりも早くルーが鎌を避けた後失費の攻撃で弾き飛ばされる。

よく見るとルーは蜘蛛の女を庇って戦っていたようだ。

多分あれはアラクネか女郎蜘蛛だろう。

なんとなく状況が理解できる気がする。


(しかし、ルーがあれだけキッチリ避けると言う事は、あの鎌何かあるな。)


ルーが生きている事を見届け、蛇の親玉の気を引く為に言葉を発する。


「おいおい、いきなり修羅場だなぁ~」


蜘蛛の女と蛇の親玉っぽい奴がバッとこちらを振り向く。

モンスターとはいえ女の子の注目を集めるとなんか照れる。


「緊急事態の陣が開いたから急いで来たのだが、確かにこれは緊急事態だな。

 そこの蜘蛛子ちゃん大丈夫か?」


蜘蛛の女はこちらを見つめ?(8つも目があるから見られてる感ハンパ無い。)

キョトンとしている。

蛇の親玉の方は俺の方を見て分析しているようだ。


「その蛇は神獣ヘカテー。」


周りのラミア(だと思う)を倒し払い除けながらルーは俺にそう告げた。


「マジカよ・・・神獣かぁ~」


1人で来たのは間違いだったのかなぁ・・・


「ツミビトヨ、ジョウカヲ、ウケイレヨ!」


ヘカテーが襲い掛かってきた。

話する暇すらないとは・・・てか神獣って喋れるんかい!


「イヤ、デス」


声真似をしながら羽を生やし浮かび上がりながら避ける。


(魔法陣から引き離しておかなければいけないな。)


後ろに回りこみ人型に変身する。


「き・・・・キャーーー!何してるのよあなた!」


蜘蛛女が叫ぶ。

そりゃそうだ、今の俺は裸なのだから。

顔を真っ赤にしながら、手で目をかくし・・・きれてないな・・・8個も目があるし、そりゃそうか。

異空間に腕を突っ込み服を取り出す。

ヘカテーはお構い無しに襲ってくる。

それを避けながら服を少しずつ着ていく。


「あれ?無い?」


蜘蛛女は気づいたようだ、’ナニが’無いと言わない所はご愛嬌だな。

しかしヘカテーか・・・神話ではどんな奴だっけ?

ズボンを履き終え上を羽織り考える。


『ラミアーの母、不死の王女、無敵の女王、死の女神、魔術師の保護者などです。』

(なるほど・・・しかし、無敵の女王が本当なら勝てなくないか?)


アイは即座に俺の記憶から該当する答えを教えてくれた。

やっぱりルーにまとわり付いていたのはラミアで合っていたようだ。


『その心配は無さそうです、右腰辺りの鱗にルーの爪による裂傷を確認できます。』

(なるほど、傷が付くというなら倒せるという事か。)

『YES:マスター』


ヘカテーの攻撃を余裕を持って避ける。

そして木の後ろに回り込む。

ヘカテーは気にせず木を攻撃してくる、が木を傷つけず通り抜け俺に届きそうになり慌てて回避する。

離れていた場所を見ると、素通りしたはずの木が一瞬で枯れた。


「な・る・ほ・ど・ね~・・・ってアホか!」


死の女神って奴か・・・多分精神体を刈り取るのだろう。

って事は・・・

俺は何も書かれていない掌サイズのプレートを取り出しヘカテーに投げつける。

ヘカテーが鎌でそれを弾き飛ばす。

プレートは跳ね返り’そのまま’木に刺さった。


「OK、理解した。」


やはりそうだ、精神体を刈り取る、つまり生きているモノだと無条件で死ぬのか。


「つまり生命じゃないモノは死なない、と。」


呟きながらヘブンを取り出す。

4つの内3つの刻印に魔力を流し隙を縫ってヘカテーに叩きつける。

ガギャンッと火花が散った。


「これは・・・」


反撃に備え飛び退きながら呟く。


『魔法の結界のようなものが覆っているようです。』


アイが教えてくれる、流石頼りになるねぇ。

と言う事は傷がついている事が不思議になってくる。

ルーを見ると蜘蛛女の前に立ち俺の戦いを見守っている。

そのルーの爪は淡く光っていた。


「なるほど、こっちも魔力の膜を武器に張って中和したのか、なら・・・」


俺はヘブンのもう1つの刻印に魔力を流す。

剣に閉じ込められたプリズムの波紋が眩く光る。

そしてもう一度ヘカテーに叩き付けた。


先ほど弾かれた剣は、今回は弾かれる事無くヘカテーを覆っている魔力の結界と反応して轟音と共に爆発した。

爆発の威力でこちらも吹き飛ぶ。

が判っていた事なので難なく着地してヘカテーを見ると鱗の一部が剥げ落ちていた。


「うほ・・・良い威力♪」


初めて使うヘブンを撫でると意思があるかのように光った。


「イサギヨク、ジョウカサレレバ、ヨイモノヲ」


ヘカテーが呟いたと思うと卵を吐き出し始めた。

それらからはラミアが孵り次々と俺に向かって来る。


「今度は物量か、普通に強いだけじゃ勝てないのはそういうわけか。」


ヘカテーは今も卵を吐き続けている。

最初に生まれた3匹のラミアが俺に飛び掛る。


「あ~・・・残念でした。」


俺がそう呟いた瞬間、ラミアが横から来た青白い光に包まれ消滅する。


「あっづ!」


ラミアだけじゃなく俺も少し焦げ、腕が爛れた。


「遅くなりました、大丈夫ですか?」


コウが弓?(ドラゴンを喰ったからか龍の羽のような形)を構え、あまり心配して無さそうな顔で俺に問いかける。


「うむ、少し腕が爛れただけだ。」

「少し威力強すぎたみたいですね。」

「パーティカル・キャノンか・・・」

「そですよー、近くに蜘蛛の女の人が居たので少し弱めたつもりだったんですけど・・・」

(弱めなければ?・・・いや、もう考えるのはよそう。)


考えを放棄する、怒らせない事を心に誓いながら。

コウの横に居た蜘蛛子は口をパクパクさせている。


(初見だとそうなるだろうな。)


少し蜘蛛子に同情する。

ヘカテーはというと、コウを見た瞬間固まり何かを思案しているようだ。

コウはそんな事お構いなしに、蜘蛛子を守っていたルーの頭を撫でた後、俺の横へと歩いてくる。

ルーは撫でられると迷惑そうにそっぽを向く。

が、しかし手で払い除ける事もせず、尻尾をピクピクさせている所を見ると照れているだけのようだ。


「あれって神獣ですか?」

「判るのか?」

「いえ、なんとなくそう思っただけです。」

「そうか。」


俺とコウが話していると固まっているヘカテーが口を開いた。


「エルフヨ、ナゼツミビトヲ、カバウ?」

「そうしたいから、という理由ではダメですか?」


再びヘカテーが固まる。

さて、何を考えていることやら・・・


「ヘカテー、お前にはお前の理由があるだろう。

 だがこちらもタダでやられる理由が無くてな、今日の所はお開きにしないか?」

「ツミビトヲ、ジョウカスルノガ、ワガシメイ・・・」

「そうか・・・残念だ。」


交渉は決裂し向かい合う。

爛れた腕は超回復により回復している。


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