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死後世界触手譚  作者: 青風
国家誕生
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第92話     ドラゴン と 宴会

「セン、これどう言う事かしら?」


アムドゥスが目の前の巨体を見上げながら呟く。

あ~うん、言いたい事は判るよ?

俺だってこんなの居るなんて知らなかったしな。

目の前のドラゴンが騒いでいる俺達の方を見る。

ヤバイ、目が合った。

ドラゴンは入浴を邪魔されたからか威嚇の咆哮を上げる。


「トカゲ黙りなさい、モモが怯えるでしょ。」


アムドゥスがフワリと浮き上がりドラゴンをビンタをし吹き飛ばす。


(いやいやいや・・・なにそれ・・・)


浅いとは言え25mプールに足だけしか浸かれないほどの大きさのドラゴンがビンタ1発で飛んでいくのだ。

みんな唖然とするしかない。


「さあ、お風呂にしましょう」


何事も無かったかのように降りてくるアムドゥス。

吹き飛ばされたドラゴンが離れた場所で起き上がる、若干足が震えているように見えるのはきっと気のせいだ。


「セン、私たちは着替えるから後は掃除お願いね。

 わかってると思うけど、覗いたらダメよ?」


コクコクと頷くしかなかった。

というか、ドラゴンをどうにかしないといけないのにそんな余裕が有るはずも無い。

まぁ、覗く気は無いけどな。

女性陣が大きな岩場の裏へと消えていく。

え?コウやシラタマまで?マジデスカ・・・


ドラゴンはというと、プライドからか逃げるという選択肢は無いようだ。

だが足は震えたままだ。

もしかしたら生まれて始めて感じる恐怖という感情を理解していないだけなのかもしれない。

けれど、今はアムドゥスが居ないので男の俺達が何とかするしかない。

俺達だってやれば出来るんだ!

目の前のドラゴンを見据え皆覚悟を決める。

きっとやれるよな・・・?


「アブドラ」

「ハッ!」

「非戦闘員は下がれ。」


アブドラが剣を抜きドラゴンに切りかかる。

カツが後ろに下がっていく。

武器の無いトラやコテツやダンも一緒に下がる。

アブドラの剣が、金属音と共に弾かれる。

やっぱ硬いかぁ・・・


「どうだ?」

「思った以上・・・戦車を殴っているような感覚です。」


戦車と来たか。

剣がダメなら・・・


「マルス!」

「御意!」


銃を抜き狙いを定め連射する。

チュインッという音と共に鱗に当たる前に魔法の弾丸がかき消される。

魔法的な結界がありそうだな。

ドラゴンが息を吸い込む。


「散れ!」


皆が一斉に飛び退く。

ドラゴンは息を吸い込んだ後その場に留まる俺目掛けて炎の玉を吐く。

が、それは俺に届く事はなかった。

咄嗟に異空間からヘルを取り出し炎の玉を切り吸収した。


「あっつい!」


炎の玉は吸収したが、すんごい熱かったのだ。


「こうなりゃ皆で殴るしかないか・・・ルー!グラニ!」

「はい」

「御意!」


2人に向って糸を投げると、それを受け取り凄い勢いでドラゴンの周りを走り縛り上げていく。

が、流石ドラゴンそれでは終わらなかった。

雄叫びを上げると全身から炎が噴出し糸が焼ききれた。


「マジデか・・・」


相手はドラゴンの中でも強い炎系、一筋縄ではいきそうにない。

皆それぞれ武器を持ち心を決める。

まず最初にアービーがドラゴンに飛び掛る。


「ハハッ!食らえ、デスピア!」


アービーの抜き手が龍鱗の障壁に阻まれる。

魔王と呼ばれたアービーは徐々にだがその障壁を突破しつつある。

だが、当然そのままなわけがない。

ドラゴンがその太い足でアービーを踏み潰そうと動く。

そこへネロルが鉄のグローブでアッパーをするように食い止める。

だが1人ではその重さに耐え切れないのだろう維持するのが精一杯と言った様子だ。


「ヒャッハー!こういう刈り甲斐のある奴を待ってたんやで!」


ロノが空中からドラゴンの首を刈り取ろうと鎌を振るう。

ロノの鎌は首を刈れないまでも龍鱗を傷つける。

ドラゴンがイヤイヤをするように首を振りながら下がる。

今が勝機と見たのかサレオがレイピアを突き出し、逆からブッチーがその大きな爪を振るう。

グジュッという音と主に2人の武器がドラゴンの肉を抉る。

もしかすると一度に防御できる数は決まっているのかもしれないな。

それなら一斉にと思った瞬間、それを読まれたのかドラゴンが空へと飛び上がる。

そして大きく息を吸い込み始めた。


「チッ・・めんどうだな。」


と思ったのだが、攻撃は来なかった。

なぜならば・・・


「あら?まだやってるの?」


とアムドゥスが岩陰から出てきたのである。

ドラゴンはそれを見てゆっくりと地に降りガタガタと震えだす。


(うんうん、判るぞ?その気持ち。)


ちょっとドラゴンに同情した。

サレオが「女神だ・・・女神が光臨なされた!」と鼻血を出さんばかりに興奮して戦線離脱したが、あれはもう放置でいいだろう。


「ドラゴンよ、向こうで戦わないか?」


通じるか判らないが、少し離れた場所にある岩場を目配せしながらドラゴンに問うとドラゴンは羽をはためかせ移動する。

結構素直な奴だった。

ちょっと同情してしまうがここは俺達の経験値になってもらおう。

仕切りなおしてドラゴンと対峙する。

だが先ほどの戦いで弱点というか、一度に多方面から攻撃されると弱い事に気づいているのでもう後は詰将棋のようなものだった。


「行くぞ!」


という掛け声と共にアービー、ムズ、ルー、ブッチー、グラニの速度が速い者が飛び掛る。

続いてアブドラ、ネロル、ロノ、マルスが攻撃を仕掛ける。

そして俺もヘルに魔力を流し飛び掛る。

攻撃は通るようになったが、龍鱗は硬く少しずつしかダメージを与えられない。

だが、それでもダメージを蓄積させなんとか倒す事ができた。


「ハァハァ・・・やっとか・・・」

「そうですね・・・」

「手古摺らせやがって・・・」


アブドラのこぼした呟きにネロルが答え、アービーも愚痴をこぼす。

皆疲労の表情を浮かべている。


「だがまぁ・・・これでやっと風呂に入れるな、皆ご苦労さん。」


皆、各々着替える為に岩場へと消えて行くが、俺はドラゴン実食が残っているのでその場に残る。

25mプールを一杯にするような大きさのドラゴンだろうと高速分解を使えばそう時間は掛からない。

食べてしまえば後は解析を待つだけだ、風呂へと急ぐ。

岩場でパパッと着替えて風呂へ行くと戦闘に参加していなかった爺が「やっと来たのか。」とマルディと共に酒を煽っていた。

大丈夫、今の俺はそんな事じゃ怒らない。


「ドラゴン喰ってたからな、これでまた少し進化できれば良いんだが。」

「「「え?!」」」


コウとシラタマとニルルが期待を込めて胸に手を当てる。

大丈夫だニルル、お前は既に限界値だから。

シラタマ、それ以上大きくして何がしたいんだ?

コウは・・・うん、触れないで置こう。


「さすが大将だな、ドラゴンを倒しちまうとは・・・」

「本当にな、流石は我等の新しい長だな。」


ダンとトラが俺を持ち上げる。


「それほどでも有るけどな。」


裏の無い賞賛を浴びる事に慣れていない俺は少し照れる。

その照れを隠すために周りを見る。

見慣れない骨・・・はロノか、それと酒を酌み交わすダンディーなのはマルスだな。

その横で赤い液体を撒き散らして放置されているのはサレオか、ピクピクしてるが大丈夫だろう。


グラニには流石に浅かったか?半身浴みたいになっている。

その隣にカツとネロルか、やっぱ子供には好かれるんだなと納得する。

一緒にルーやブッチーも居て酒を煽っている。


ニルルはコウや双子とワイワイ騒いでいた。

ふむ・・・小さい同盟か?

何が小さいかはお察しだが。


アムドゥスは・・・浮き輪?温泉なのに?

浮き輪に座りモモに揺られながら酒を煽っている。

シラタマやローリ、モミジなんかも一緒にお酒を飲んでいる。

ローリはお酒呑める年齢だったのか・・・?


今まで俺を褒めていたトラは隣でコテツやダン、ムズと共に盛り上がっている。

アブドラとアービーは何故か泳いでいた。

持ってきた荷物の大半は酒だったようでギランのツマミなんかも入っている。

皆それぞれ楽しんでくれているようでよかった。

宴会と化した温泉旅行は夕方まで続けられた。

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