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死後世界触手譚  作者: 青風
帝国
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第83話     チャック と 祭り

ベルントはアムドゥスを見た瞬間から殺気を浴びて黙り込み小刻みに震えている。

ようやく誰を怒らせたのか判ったようだ。


「ルー、これで全部か?」

「・・・あそこにあと1人」


指差した方向には、壁沿いに布で仕切られた小部屋みたいになった場所がいくつもあった。

病院の大部屋みたいな感じと言ったら判りやすいか。

その場所に俺が向うとコウとシラタマも興味があるのか付いてきた。

布をバッと開けると、ズボンからイチモツを出した状態のまま腕を極められている哀れな貴族が頭に布を被せられデーモンに組み敷かれていた。


「ご苦労さん。」


デーモンに声をかけると腕を極めたまま器用に敬礼をする。

コウとシラタマは汚物を見るような目で貴族を見ている。

哀れだ・・・かと言って触るのもなぁ・・・

あ、そうだ。


「シラタマ、仕舞ってやれ。」

「え”!ワタシかニャ!」


いつも馬鹿をするお仕置きだ。

仕方ないとシラタマがズボンのチャックをつまむ。


「力の無いオスが子孫なんか残そうとするニャ!」


そう言って力いっぱいチャックを上にあげた。


「ギャーーーーー!」


チャックに皮が挟まったのだが女性のシラタマはそんな事は知った事じゃないと一気に上まで引き上げたのだ。

貴族がビクンビクンと悶える。

わかる!わかるぞその痛み!てかシラタマ、それは今までのどの拷問より一番ダメージがでかいぞ!

見ただけで自分の股間を押さえてしまいそうな衝動にかられる。俺には無いけど。

それでもコウとは悶える貴族を汚物を見るように見ている。

シラタマは触れていないはずなのに指の匂いを嗅いだり悶える貴族の服で指を拭ったりしている。

可愛そう過ぎる・・・


「き・・・・貴様等・・・!」


痙攣して頭に掛かっていた布が取れた貴族が俺達の姿を見て顔を真っ赤にしながら恨み言を発する。


「何面白そうな事してるのよ?」


アムドゥスが俺の脇から顔を出す。

それを見た貴族が顔を赤くしたまま唇を吊り上げる。


「そんな小さな娘なんぞ連れて来ているのか・・・クククッ」

「何コレ?」


アムドゥスが気でも狂ったんじゃない?と聞いてくる。


「我が帝国にこのような行為をして無事に生き延びられると思うなよ・・・

 その娘もいつかは奴隷にしてやる、いや私が直々に飼ってやろうか・・・」


なるほど、頭に布を巻かれていて今までの話を理解していないらしい。


「あら、面白い冗談ね。そうでしょサレオ?」


いつ現れたのか、サレオがアムドゥスの後ろで跪いている。

こめかみには青筋を浮かばせ肩は震えている。

アムドゥスが貶められてキレているのだろう、その顔は既に修羅の域に達している。


「私の敬愛する・・・・アムドゥス様を・・・・そのように言われては笑えません・・・

 アムドゥス様こそ純粋の結晶というべき方!その方を・・・!」


あ~相当キレてるな。

アムドゥスは部下からの信頼が心地良いのか満面の笑みだ。


「ありがとうサレオ、あなたは信頼に足る部下よ?褒美としてこの男をあげるわ。好きに処分なさい。」


俺は心の中で貴族に手を合わす。

たぶんそれはもう惨い殺され方をするんだろうな・・・

だがサレオは更に俺の予想を超えて怒っていたようだ。


「ありがとうございます、アムドゥス様。

 しかし、この怒りは臣下皆で分かち合いたいと思います。

 他の者達の意見も交えて処遇を決めたいのですがよろしいでしょうか?」


もう一度、心の中で貴族に手を合わしなおす。

アムドゥスの部下は全員アムドゥスに心酔している奴ばかりだ。

そんな中へアムドゥスを貶めた奴を放り込んだら・・・

考えるだけでも恐ろしい。


「ええ、あげたのだもの、好きに扱いなさい。」

「ハッ!有り難き幸せ!」


サレオがそういうと、どういう魔法なのか貴族を薄い膜が包み浮き上がる。

貴族が中で叫んでいるようだが外に一切漏れてこない。

貴族が膜に包まれながら大広間の入り口の方へ向う。


「それではアムドゥス様、他の者と早速検討したいと思いますので離れてもよろしいでしょうか?」

「ええ、いきなさい。」


跪いたまま深々と礼をして貴族と共に去っていくサレオ。

俺は心の中で貴族に対して「がんばれ!」と励ましておいた。


貴族1人1人を糸で簀巻きにしていく。

その際髪の毛を取り込んで記憶を漁っておく事を忘れない。

アムドゥスとセイレーンの拷問を見てから逆らうような馬鹿はサレオに連れて行かれた貴族以外居なかったのでスムーズに簀巻きに出来た。


「幹部を渡す約束はこれでいいな?」

「ええ、概ね満足よ。」

「こいつら、どうするつもりなんだ?」


俺は好奇心から聞いてみた。


「祭りの射的の的なんてどうかしら?」


聞いて失敗したと思った。

嫌な予感が膨らむ。


「祭り?」

「スーパーボール掬いの景品はセン、あなたよ?」


やっぱりな・・・嫌な予感が当たった。

まだ会議の時のネタを引っ張るのか・・・


「そうそう、ちゃんと投げたら跳ねて戻ってくるのよ?取りに行くの面倒だもの。」


想像してしまった。

アムドゥスに壁に思いっきり投げつけられ壁をぶち抜いて飛んで行く俺の姿を。

いや過ぎる・・・


「冗談・・・だよな?」

「ええ、冗談よ?」


よかった、本気で逃げる所だった。


「けど、的ってのは本気かな?」

「は?」

「この奴隷にされてた子達の恨みの発散と銃の練習にも使えるでしょ?

 やっぱり、木石よりも生きた獲物の方がよくなくって?」

「なるほど、えぐいな。」

「奴隷にされてた子よりはマシよ。」

「それもそうか。」


俺達も外へ出ようと大広間を後にする。

アービーとネロルがこっちに来たので貴族やベルントを渡して持って来てもらう。

最初の隊長の簀巻きが心なしか赤く染まってる気がするが気にしないでおこう。

城の入り口まで戻った所で1人のイヌ族が剣を手に立っていた。


「敵の大将を捉えた時点で俺の勝ちじゃないのかな?」

「取られたのなら取り返せば良いだけ!」

「ふむ、さすが忠犬アーディだな、騙されて居ると判っていても裏切れんとは。」

「な!何故我が名を・・・!それに騙されているだと!?」


動揺を隠せないアーディ。


「相手の記憶を見る事ができるからな、名前位は判る。

 それに、騙されてるって本当はわかってるんだろう?」

「何の事だ!」

「モンスターの奴隷がどういう扱いを受けているかと言う事だよ。」

「そんな事・・・!」


動揺し剣先が揺れる。


「それに、お前の戻らない仲間を探すと言って本気で探してないって事もな。」

「だ、黙れ!ベルント様は我が主ぞ!」

「そう思ってるのはお前だけと言うのも薄々わかってる事だろ?

 こいつは元の世界で嫁さんが飼ってたから暇つぶし程度に相手してただけだと判ってるんだろ?」

「黙れ!黙れ黙れ!」

「図星か、まぁいい。お前が主人を助ける為とかいうなら俺はお前の相手はしないぞ?」

「なんだと!」

「だが、イヌ族の長として仲間の敵討ちだというのなら相手をしてやろう。

 このアムドゥスから聞いたのだろう?俺がお前の仲間を殺した犯人だ。」

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