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死後世界触手譚  作者: 青風
帝国
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第81話     落ち込むコウ と 来ない援軍

スキル異空間を使い色付きの布を数種類取り出す。

異空間に放り込んだ物を自在に取り出す事が出来るという、いわゆる四次元なポケットである。


「ネロル、アービー、ここに居る怪我人を全て集め、この布を使って重傷者とそうでない者を分けろ。

 それとネロル、俺でも治せそうなのはこっちの布でな。」

「はい」

「あいよ」


サレオが来た時に判りやすい様に戦争時や災害時の怪我人の分け方を用いて色のついた布で区別していく。

ついでに皮膚や血液、髪の毛なんかを採取してきてもらう。

その採取した物を俺が取り込み、アイに解析してもらって保存してもらう。

その者がどう言った者なのかを知るためだ。


モンスターを大量に脇隔てなく受け入れるには誰がどういった理由でモンスターになっているのかを知っておく為だ。

と言ってもアイに管理させているので俺は取り込むだけなんだがな。

今のアイだと髪の毛一本あれば誰がどういう経緯でモンスターになっているかが判るらしい。

DNA鑑定より優れてるとか高性能すぎると思うが・・・


俺は手近な者から順に治療していく。

記憶操作とかあれば奴隷にされていた事を忘れさせる事ができるのだが、それは俺には無理である。

アムドゥスは怪我を治した者に話しかけている。

内容は聞く気が無いので判らないが励ましているのだろう。


コウが戻って来ないので少し心配になりネロル達に後を任せて階段を上がる。

辺りを見回すとコウはすぐに見つかった。

端っこで三角座りという実に判りやすい落ち込みようだった。


「大丈夫か?」


近づいて話しかける。


「センさん・・・」


コウの頭を撫でながら隣に座る。


「ああいうのは、コウはあんまり見ない方がいい。」

「センさんは見慣れてるんですか?」


自分の膝に顔を埋めながら話しかけてくる。


「見慣れてるって程じゃないが紛争地域ではよくある事だ。」

「やった事あるんですか?」

「無いな。こっちは正規の軍だからそう言う事は殆ど無い。

 やるのはテロリストが多いな。

 ああいう輩は聖戦だ何だと理由をつけて見よう見真似でやるから性質が悪い。」

「でも、ここであんな風にやったのは元は人を殺した事が無いような人ですよね?」

「あぁ、そうだな。でもな、自分の手を汚さず人にやらせてた奴らかもしれないぞ?」

「そう・・・ですよね、普通の人があんな事できませんよね・・・」

「まぁ、アムドゥスが死んだ方がマシだと思うよな処理をしてくれるだろう。」

「本当にやりかねないのが怖いですけどね。」


そう乾いた笑みを浮かべながら言ったのを見て大丈夫そうだと思う。


「さて、それじゃぁ仕上げと行くか。」

「はい」


立ち上がり隣で座っているコウに手を差し出して引き起こす。


「あ、セン殿!」


ルーの居る大広間へ向おうと歩き出した時サレオが飛び込んできた。


「おお、サレオ悪いな。」

「いえ、良いですよ。それよりアムドゥス様は下ですか?」

「あぁ、捕まってた子らがかなり酷い状況でな。

 俺の熟練度じゃ治せそうに無いので呼んでもらった。」

「そうですか、判りました。セン殿は?」

「今から親玉を懲らしめに行って来る。」

「くれぐれも殺さないようにお願いしますね?アムドゥス様がどうやって嬲ろうかずっと考えてましたから。」


なにそれ、怖すぎる。

さっきの隊長を見るに、楽には死ねないだろうなぁ~と思っていたが、早く殺して欲しいと思うようになるんだろうな。


「判った。」


サレオは颯爽と幼女の元へ向う。

さすが真症のロリコンだな。

俺には真似できない。


「援軍はまだ来ないのか!」


城をかなり奥まで進み大広間の近くに到着するとそんな声が聞こえた。


「城への侵入者を殺したらこちらへ来ると先ほどグライフ様が・・・」

「たかが1人の賊に何を手間取っているんだグライフ!」


賊ってたぶん門前で暴れていたアービーの事だろう、1人って言ってるし。


「賊だが、グライフとかいうのなら来ないぞ?」


兵士達が一斉に振り返る。

ここに居る兵士達の隊長らしき男が驚きを隠せず後ずさる。


「バ、馬鹿な!グライフはどうした!?」

「魔王が欲しがったからあげた。」


そう簡潔に言った。

嘘ではないはずだ。


「魔王・・・だと・・・?」

「お前達はやり過ぎたんだ、残された選択肢は3つだ。

 1つ、そのまま自害する。

 2つ、大人しく捕まる。

 3つ、俺達を振り切り逃げようとして殺される。

 さぁどれにする?ちなみに3つ目は逃げ切れたら見逃してやるぞ?

 俺としては1つ目を推奨する。それと・・・」

「ふざけるな!」


隊長らしき男が叫びながら切りかかってきた。

それを俺の後ろから光の矢が走り隊長を射て吹き飛ばす。

壁まで吹き飛ばされた隊長はそのまま爆散する。


「それと、俺達に攻撃する事はしないほうがいいぞ?

 ちょっと言うの遅かったか?

 さて、残されたお前達はどうする?」


俺が言い切る前に隊長の爆散を目撃した兵士が逃げ出す。


「3つ目か、今の力量の差を見て逃げれると本気で思ってるのかねぇ?」


俺達の脇を通り抜けようとする兵士に片っ端から糸を噴出し足を絡め取る。


「ひ・・・ヒィィ!」


廊下に張り付いた兵士達は悲鳴を上げ命乞いをする。


「た、助けてくれ!」

「地下のモンスター達がそう言って助けた事ないだろ?」


異空間からヘルを取り出し足に突き立てる。


「ぐぎゃああ・・・ぁぁぁ・・・」


一瞬悲鳴を上げたがヘルの特殊効果の魔力吸収により一気に魔力を吸い上げられ昏倒する。

その様子を見て今まで動けなかった兵士が逃げ出す。


「コウ」

「はい」


コウはもう弓を構えており逃げ出そうと走り出した兵士の足を射抜く。

兵士達は骨ごと射抜かれ痛みに耐えかねてその場で蹲る。

そこへ近づいて行き、1人1人剣を突き立ててゆく。


「俺!俺は!モンスターを見逃した!」


1人の兵士がそう言った。


「本当か?」

「本当だ!だから見逃してくれ!」


俺は兵士の髪の毛を引き抜きアイに解析させた。

すぐに答えは出た。


『嘘です。見逃すと言って逃げようと後ろを向いた瞬間切り捨てています。』

「コウ、こいつの両手両足を打ち抜いておけ、嘘をついたやつは見せしめにする。」

「はい」

「ま・・・まってく、ギャーーーー!」


全ての兵士を昏倒させた俺達は大広間の扉の前に立った。

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