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死後世界触手譚  作者: 青風
帝国
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第76話     虐殺 と 陵辱

「全軍、整いました。」


ルーに設置してもらった魔法陣を用いて一気に距離を詰めた俺達は一旦止まって整列させた。

今は帝国から15kmほど離れた所で全軍を停止させる。


「アムドゥス、ここからは別行動だ。よろしく頼む。」

「ええ、任せておいて。それより・・・貴方こそちゃんと幹部を捕らえて渡してよ?」

「あぁ、それこそ問題ないな。ルーがちゃんとやってくれるはずだ。」


そう言ってアムドゥスと別れた。

アムドゥス達はそのまま直進してイヌ族を引き付けて置いてくれる筈だ。

しかもアムドゥスだ、元がワンコだと判ってるから出来るだけ殺さないでくれるだろう。

アムドゥス軍と離れて数時間、俺達の方も自分達の進軍場所に到着する。


「アブドラ、少しだがアムドゥス達が接敵するまでの間、休憩とするぞ。」

「イエス・サー」

「ここは軍じゃないんだからそれ辞めにしないか?」

「いえ、自分は少佐殿の忠実な部下であり続けます!」


辞める気は無さそうだ。

その隣でアービーがのんびりと寝転がる。

コウ達、親衛隊も思い思いに休憩をしている。


「アービー!少佐に失礼じゃないか!」

「旦那はこんな事じゃ怒らないぜ?ここでの態度より戦闘の結果が重要だろ。」

「敬意が足りないと言っている。」

「敬意ねえ・・・俺は旦那から言われた任務が失敗したら殺されてもいいと思ってるぜ?

 お前、もしかして自信ないのか?だからちょっとでも印象良くしようとしてるんじゃねえの?」

「アービー!貴様・・・!」

「あー、気に障ったのならスマン。今は休憩なんだ、休憩しようぜ?」


その言葉に「フンッ!」と腰を下ろすアブドラ。

アービーとはいつもこんな感じだが仲が悪いと言うわけではなさそうだ。

暫くすると刻印プレートから声が聞こえてきた。


「イヌ族が来たわよ。」


アムドゥスから接敵の知らせが入ったのだ。


「わかった、頑張ってくれ。」

「ええ、それじゃ。」


そう言って刻印プレートを仕舞う。

前を向くとアブドラとアービーが立ち上がってこちらを見ていた。


「全軍、起立!」


アブドラが俺の顔を見ると後ろを振り返りそう言った。

ザッ!と音を立てて立ち上がる。


「それではこれより帝国陥落作戦を発動する!」

「「「「イエス・サー!」」」」


これだけの異形の魔物達がイエス・サーって・・・アブドラどんな教育をしてきたんだ・・・

ため息をつきたい衝動に駆られるが今はまだ無理だ。

上の立場になると見栄を張らなければいけないのだから・・・


「機甲隊前へ!」


ネロルがそう叫ぶとシュイィーという音と共に50台の戦闘用にアレンジされたバイクが横一列に前進する。

そう、これがネロルの軍である。バイクには超口径のライフルが設置されており魔力に長けた者達が射撃の訓練を経て前後に乗っている。

その1台に対し50名の小隊がアブドラの声で付き従う。

総勢2600名の軍としては小規模だが攻撃力としては申し分ない軍隊である。

アムドゥスも欲しがったのだが、一度このライフルを撃たせた時に魔力を注入しすぎて銃自身が耐え切れなくて暴発したのでお預けにしている。

「ちょっと力を込めただけ。」というのは本人談である。

そして俺はルーにも連絡を入れる。


(ルー作戦開始だ。)

(はい。)


ルーは既に帝国内部に潜り込んでおり隠密行動に長けた部下と共に幹部全員に張り付いているはずだ。

ルーからの定期連絡によればイヌ族は町の外にしか居らず、中は人だけだというので遠慮なく虐殺出来そうだった。

1時間ほど進むと帝国の壁が見えてきた。

500m程まで進んだ所で見張りが俺達に気づき警鐘を鳴らす。

すると壁の上には数百の弓兵が現れ射程内に入るのを待っている。

俺は手を挙げ全軍を止めた。

そしてチラッとアブドラを見るとアブドラは礼をして手を上げる。

ネロルがアブドラの上げた手を見て緊張の糸を張りつめる。

スッとその手が下ろされた瞬間ネロルは叫んだ。


「フーーーーーーーー!」


その声で一斉に壁に向って魔法の弾丸が射出される。

ゴガガガガという轟音と共に壁が一気に崩れ去り、弓兵諸共瓦礫と化す。

隣に建っていたであろう家にも穴が空いている物がある。

その姿を目視すると同時にアブドラが叫ぶ。


「ダッソーーーー!」


という突撃の合図と共に咆哮を上げながら突撃する魔の軍勢。

俺は浮遊を使い腕を組んだまま上から見下ろす形で兵士達を鼓舞する。


「虐殺しろ!ただし、これは同胞の為の戦いだ、お前達が死ぬ事は許さんからな!」


ウォォォォォォという地鳴りのような声を上げながら虐殺していく。

弓兵と共に壁の下敷きになった指揮官に判断も仰ぐ事ができずモンスターに蹂躙されていく。

中には命乞いをする兵士も居たが一刀の元に殺されている。


(それでいい。)


頷きながら俺は降りていく。

兵士は皆殺しにする、当初の予定である。

1人でも残せば禍根を残すからである。

俺がコウのバイクの後ろに降り立つのを見てネロルが叫ぶ。


「機甲隊、前進!」


吸気音を上げながら前進する。


「アービー!」

「なんだ、大将!」

「ルーの現在地判るな?」

「ああ、判るぜ?」

「その建物の周りに陣取っている敵を殲滅して来い。」

「ヒャッホー!ありがてえ!暴れたいと思ってた所だったんだ。行ってくるぜ!」


アービーは風の様に走り屋根伝いに目的地へと向った。

帝国と言うだけあって街は広く、指揮官が居ないと言っても敵の数は多い。

2人の伝令が駆けてくる。多分見つかったのだろう。


「伝令!奴隷と思われるモンスター達を発見しました!」

「予定通り進めろ。」

「ハッ!」


1人が急ぎ反転し駆けて行く。


「それで、首輪はどう言った物だ?」

「ハッ!こちらにっ!」


手渡された首輪を見回すと刻印が刻まれていた。


「やはりか」


そこには旧式だが、無音の刻印と思考停止の刻印が刻まれていた。

エルフとの取引で得たものだろう。そのまま使われている。


「よし、首輪は全部切って燃やせ!」

「ハッ!」


もう1人の伝令が走っていく。

暫くすると別の所で歓声が上がる。


「やっとか。」


それは奴隷にされてた者達が反旗を翻した狼煙だった。

首輪に何か細工がされ居る事はルーからの情報で判っていたので、首輪を切って解放した後に剣を渡し「一緒に戦え」と命じるように言ってあったのだ。

それは自分達の為の戦いだと認識させると同時に、誰かに依存しないようにする為に必要だったからである。

これがアムドゥスをこっちに来させなかった理由だ。

そして、虐殺はしても陵辱はするなとも伝えている。

自分達がされたからと言ってそれをやればそいつも同じゴミだ。


「さて、俺達も幹部共の顔を拝みにいこうじゃないか。」

「そうですね。」


親衛隊がバイクを降りて俺の周りに集まる。

シラタマやブッチーにはマスクを被って貰い、全身もネコ族と判らないような服装にしている。

グラニは人型に変身している。

バイクには乗らないが高速移動する時以外は常に人型で居る。

まぁ、人型と言ってもケンタウロスなんだが。


「それじゃぁ、後は頼んだぞ。」

「「はい」」


アブドラに後を頼んで歩き出した。


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