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死後世界触手譚  作者: 青風
帝国
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第73話     試合 と 本気(前)

ブッチーは物理無効を持っているが試合なので、無しの奴が致命傷になるような攻撃を貰ったら止めると言って置く。

ブッチーの爪はシラタマよりかなり大きな物になっている。まぁ、体格差を考えれば当然なのだが。

ネロルは特大の鉄のグローブを装着してやる気満々だ。

さっきの様に手を挙げるとブッチーとネロルが構える。


「始め!」


と振り下ろすと二人が相手目掛けて走り出す。

先制攻撃はやはり速度を生かしたブッチーだった。

腕を大きく振り力任せに殴りつける。


それを尖った方のグローブで受け止め、裏拳のようにネロルがグーのグローブで殴る。

それを跳躍でかわし蹴りを放つ。受け止めたら吹き飛ばされるのは必至だからだ。

吹き飛ばされると隙が出来て攻撃を貰う事に繋がる為に避けたようだ。


一旦距離を置いてゆっくりと動き出す二人。

手数のブッチーか、一撃のネロルか、いい勝負が期待できそうだ。

これでネロルが勝つような事があれば第四軍としてネロルの部隊を作ることも考えようと思っている。


ゆっくり移動していた二人だが瞬発力を生かしてブッチーが飛び掛る。

それに合わせる様にカウンターを繰り出した。

ブッチーは小さく空中を蹴ってギリギリでグローブをかわしてネロルに爪を振り下ろす。

だがブッチーの攻撃は掠っただけだった。

ドワーフは小さいのでグローブを突き出されると正面から見たら隠れて見えない位だ。

その為、目測を誤ったのだろう。


地面に着地したブッチーはすぐにまた空中へ逃げる。

逃げた瞬間ブッチーの居た場所を尖ったグローブが空を切る。

肉体派同士の戦いは派手さに欠けるが手に汗握るな。

二人ともまだ息が乱れていないと言う事は今の一連の動きはウォームアップって所なのかもしれない。


今度はネロルが仕掛ける。

ブッチーの方へと走り思い切って振りかぶったテレホンパンチを繰り出すが当たるはずも無く避けられる。

が後ろに回り込もうとしたブッチーが地面に着地した瞬間地震が起こり体勢を崩す。

ネロルは空振りした後地面を殴ったのだ。多分スキルの豪腕を使ったのだろう。

元々高い腕力に豪腕を乗せる事により局地的な地震が発生する位の腕力になったようだ。


体勢を崩したブッチーにネロルは素早くパンチを繰り出す。

決まったか?と思われたが、ブッチーはネロルの拳を地面にしてジャンプして空高く回避する。

今度は空で2段ジャンプの疾脚を使い急降下しながら爪を振るう。

その時にブッチーも豪腕を使っていたのだろう、防いだネロルが弾き飛ばされる。

派手に吹き飛び1回跳ねた後地を滑るがすぐ起き上がる。ダメージは少ないようだ。

そこにブッチーは勝機とばかりに追い討ちをかける。


ブッチーは倒れ、ネロルの勝ちが宣言される。

なにが起きたのか?

それは追い討ちをかけようと飛び込み空中で空を蹴って加速したブッチーに対しネロルが大振りのテレホンパンチをした。

そのテレホンパンチの拳の部分だけがブッチー目掛けて飛んでいったのだ。いわゆるロケッ○パンチである。

それには流石にブッチーも避け切れず直撃を食らって弾き飛ばされたのだった。


ネロルはブッチーの方に近づいて手を差し出す。

ブッチーはそれに捕まり引き起こされる。

うんうん、正々堂々ってのがいいね!絆が生まれた瞬間を見たようだ。

今回はアブドラも共感を得たようで後ろで「うんうん」と頷いている。

グラニも元々武人気質な部分が有るので今回の試合には納得しているようだ。


「二人とも良い試合だったぞ。だが、本番では二人とも手を抜くなよ?」


そう、二人は出来るだけ相手を傷つけないように戦っていたのだ。

それが’良い試合’と言った理由だった。


「はい、判ってますよ。」

「うん、戦争ではそういう余裕は持てないよ。」


ブッチーとネロルは互いに返事をして俺を見る。

まぁ、この二人なら心配は要らないか。


「次はお前達の番だな。」


後ろを振り返りグラニとアブドラを見ながら言う。


「一言だけ言っておく。俺を失望させるな。」

「イエス・サー!」

「御意!」


二人はそう言って向き合った後、握手をしてから歩き出す。


(アイ、お前の予想は?)

『8:2でアブドラです。』


うん、そんな所だろう。なんせ元魔王だしな。

そんな二人の秘密の会話を他所に俺の後ろでは子猫達がグラニに声援を送る。

その声援を聞いてるとグラニが勝ちそうな感じさえしてくる。


(アイ、6:4位かもしれないぞ?)

『力量はハッキリしているので、そこまでは無いかと。』

(それはどうかな?)

『え?』


俺はアイの言葉を無視して手を挙げる。

二人が構える。

アブドラは大振りな剣を肩に担ぐようにしてもう片方の手を前に突き出す。

グラニは1本の槍に対して2本の腕で構える。


「始め!」


腕を振り下ろすと同時に二人が飛ぶ。

アブドラが担いでいる大剣を両手で持って振りかぶる。

グラニは弾くように遠心力を使って槍の刃の部分で刃を受け止める。

グギャンッ!と大きな音を立てて刃がぶつかり斬り結ぶ。


どっちも譲らない最強の一撃を初手に持って来ているようだ。

さっきの試合を見ているからだろうか?アブドラは魔法を使おうとしない。

グラニは2本の槍を巧みに扱い死角を狙って攻撃を繰り出す。

その攻撃に手を焼いているのか現状防戦一方のアブドラ。

2人と戦っているような物だからな。


『グラニの槍人特性がどんどん熟練度が上がっていくようです。』


そりゃそうだろう、相手は剣の使い手という魔王だ。

最高とも言える相手だ。一打一打考えながら的確に攻撃しないとすぐ反撃されて終わるだろう。

アブドラがグラニに弾き飛ばされるかのように距離をとる。

弾き飛ばされたように見せて誘ったのだろう。

グラニは追撃をせずに距離をとる事を許す。


「それじゃ、こっちの番かな。」


アブドラは不適に笑った後そう呟いて構える。


八線羽切はっせんはっせつ


きっとスキルなのだろう。ほぼ同時に8方向からの攻撃を繰り出す。


「グゥ・・」


グラニが食らって弾き飛ばされる。が、皮膚が裂けただけのようだ。

子供達から悲鳴と声援が上がる。


「グラニッ!」

「頑張ってーーー!」


その瞬間グラニの太ももが膨れ上がり2方向からの上下の遠心力を使った攻撃を繰り出す。


龍顎ドラグーンファング!」


今度はアブドラの皮膚を切り裂く。


(あいつ、あんなスキルあったっけ?)

『・・・ありませんでした。』


尚もグラニは追撃する。

両方の槍を乱れ突く。


神馬の誇り(グングニール)!」


なるほど。スレイプニール、軍神オーディンの愛馬、そのオーディンの武器であるグングニールの槍か。

槍の乱れ突きは光の筋となりアブドラを襲う。

その乱打をまともに受け吹き飛ぶ。


「やったー!」

「グラニかっこいー!」


後ろで子供達がはしゃぐ。


『まさか、守護者の特性がここまでとは思いませんでした。』

(だろ?結構いい線行ってると思うぞ?)


アブドラが起き上がる。

全てを防ぎきれなかったのだろう、あちこちから血を流している。

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