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死後世界触手譚  作者: 青風
帝国
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第72話     参加者 と 第一試合

皆で移動する途中、ネロルがカツの工場から武器持って出てきた。

それはドワーフの腕力を存分に生かした巨大ナックルである。

俺のモンスター時よりも大きな拳に腕にはめ込む形になっており、

片方はグーの形、もう片方は尖った形に削り出された物だ。

ドワーフならではの力押しで敵をペシャンコに、というよりも粉砕ミンチになるだろう。

ネロルは鉄の塊である、その2つのナックルを背にぶら下げる。

持ってみたが1個だけでも俺には攻撃と呼べる速度は出せそうに無い重さだった。

ブッチーやシラタマは興味深そうにそれを眺めていたが扱う事は出来そうに無いな。

ネロルの武器を調達し空き地へ向かって歩こうとすると公園の方からグラニが駆けて来た。


「主殿!」


グラニは人化を覚え慣れる為に変死していたのだが、人化?というよりケンタウロスのような姿になっていた。

ケンタウロスに腕が4本ある感じだ。その背中には子供達が乗っている。

公園で遊んでいて俺が見えたから来たのだろう。


「どうした?」

「いえ、主殿が見えたので参上したまでです。」


やはりな。と思う。

そう言えばグラニも人化に加え特性で槍人というのを取得していたな。

グラニも親衛隊として働いてもらおうか?と考える。


「今から親衛隊の奴等で試合をするそうだ、お前も来るか?」

「よろこんで!」

「では、用意して来い。武器はカツの所に一通り揃ってるから使えそうなのが有ればもってこい。」

「判りました・・・そういうわけだ、また後で遊ぼうぞ?童達よ。」


そう言って後ろの子供達に断りを入れると後ろに乗っていた子供達も


「お仕事なら仕方ないね、頑張ってグラニ!負けちゃダメだよ!」


と様々な声援を送っていた。聞き分けのいい子達だと感心する。

その中の1人が「俺達も応援に行こうぜ!」と言い出した。

見るからにやんちゃそうな子供でリーダー的な存在なのだろう。

その子に釣られるように他の子供達も「見たい!」と言ったのでグラニに守らせると言う事で許可を出した。

でも待てよ?今4人だから丁度良かったが5人になると1人はみ出るな。


(誰か近くにアブドラ居たらカツの工場に来るよう呼んでくれないか?)


念話で全員に話しかけるとニルルが反応した。


(今目の前と通って行ったから言っておくわ。)


俺はカツの工場からヘブンを持ち出す。

アブドラに使わせる為だ。

カツの弟子達にアブドラが来たら隣の広場に来いと伝えてもらう事にして先に移動する。


広場に到着してしばし待つとグラニが長刀のような物と普通の槍のような物の2種類を持って現れた。

俺は近くの切り株に腰を掛ける。

誰と誰が戦うのかもみものだしな。

グラニが到着してから暫くするとアブドラも来たのでヘブンを渡す。


「剣が得意なんだってな?グラニと試合え。」

「これは凄い剣ですね・・・使っても?」

「強化の刻印だけ起動させてるから思う存分やるといい。」

「判りました。」


普段は普通に話せと言ってある効果が出てるようでよかった。

こんな所まで軍式だと息が詰まるからな。

暫くすると組み合わせが決まったらしい。

コウvsシラタマ、ブッチーvsネロル、そして飛び入りのグラニvsアブドラだ。

アブドラは腐っても魔王だから負けることは無いだろうが、グラニが読めない。

非常に楽しみだ。


一番最初のコウとシラタマが進み出て10mほど間隔をあけて対峙する。

二人には本気でやって良いと言ってある。がコウには念話で少し手加減するようにも言ってある。

コウが本気でやったらシラタマ消し飛ぶだろうしな・・・

コウは無表情でシラタマを見る。

シラタマはニヤニヤしながらコウを見る。


(初めてシラタマ達が俺等の所に来た時もこんな感じだったなぁ~)


まぁ、今はコウを見下してるわけじゃなく本気を出せる事への喜びだろう。

俺が手を挙げると二人から油断が消えた。

それを見計らい「始め!」と手を勢い良く振り下ろすとシラタマが一直線にコウ目掛けて走り出す。

接近戦に持ち込む気だろう、それならばシラタマにも勝機があるかも?


ネコの運動神経を持ってすれば10mなんて有って無いような物だ。

コウとの間が一瞬にして縮まる。

一方のコウはというとシラタマがそう来る事は読んでいたのか、合図と共に剣を抜いた。

そのまま剣を上に突き上げるとそこに光の玉が無数に発生した。


(え?あれって合成技じゃ?)

『YES:マスター』

(イヤイヤイヤイヤ・・・シラタマ死ぬぞ?)

『運が悪ければそうなりますね。』


その言葉をアイから聞いて叫ぼうとしたらシラタマが消え、次の瞬間コウの後ろに現れた。


(何だ今の?)

『’本気’で走ったようです。』

(ほぼ見えなかったんだけど?)


シラタマが爪を振り下ろす。

コウはまだ剣を突き上げたままだ。

シラタマの爪がコウに届こうとした瞬間、無数に浮かんでいた光の玉が消えシラタマも消えた。

地面には気を失って目を回してる白玉。


多分だが、シラタマが何処から来ても良い様に光の玉を一斉に自分の周りに落としたのだろう。

周りを見ると玉が落ちたと思われる場所には少し穴が空いていた。

アレを受けて目を回しているだけのシラタマも結構な強さだと実感できる。

だが相手が悪かったようだ。コウが強すぎるのだ、戦術とかそう言ったもの一切を無視できる強さはおかしい。

頑張ったシラタマは後で撫でてやろう・・・。


当然といえば当然の結果、コウが勝利した。

コウはシラタマの足を持ってズルズルと引きずって横に捌けて行く。容赦が無い・・・。

後ろで呆然としていたアブドラが我に返り口を開く。


「魔王より強い・・・だと・・・?」

(あぁ、やっぱり魔王より強いのか。)


納得してしまう。

その言葉が聞こえたのかコウが剣を仕舞いながら


「それでもアムドゥスさんには、まだまだ届かないと思いますよ?」

「馬鹿な・・・」


嘘だろ?という表情でコウを見るアブドラ。

だが本当だ、あれではアムドゥスに触れる前に殺されるだろうというのが俺とアイの一致した意見だ。

魔王と一口に言っても上位と下位では相当違うようだな。


「まぁ、お前達が生きてるのはアムドゥスの気まぐれだと思うぞ?」

「そこまで差があるというのか・・・」

「まさか、勝てると思ってたのか?」


驚いた表情でアブドラに問いかける。


「3人の魔王ならばあるいは・・・と思っておりました。」

「無理だな。あれは別次元だ。」

「そのようですね・・・」


落胆しているアブドラを放置する。


「コウ、良くやった。中々だったぞ?」

「そうですか!ありがとうございます。」


嬉しそうにお辞儀をするコウ。

「中々だったぞ?」とは言ったが、まず俺じゃ勝てないだろうな。というのが本音である。

前を向くとブッチーとネロルが準備を完了して向かい合っていた。

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