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死後世界触手譚  作者: 青風
魔王
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第68話     下る魔王 と 魔王の死体

「何故、魔法を使わなかった?」


地に伏すバアルを見下ろし、肩で息をしながら問いかける。


「私の中で戦闘術や戦略で少佐を越えないと意味が無いのです。」

「立て。」


バアルは自分の体に鞭を打つかのように食いしばりながらも素早く「休め」の体勢で立ち上がる。


「シヴァを狙う理由を簡潔に述べよ。」

「ハッ!魔王達の間では魔王を倒して行く事により魔王の中の魔王に到達するとされており、

 シヴァがその魔王の中で実力が上位である為、共闘してでも潰しておきたいというのが本音の様であります。」

「そして、お前もそれに加担して現在に至るという訳か。楽にしろ。」


楽にしろと言われ、肩で息をし始める。


「賢く考えていながら愚かに行動してしまうのが人間の性だ。」

「アナトール・フランスですか。」

「そうだ。あんな暴力の塊に勝てる筈が無いのに、何故正面からぶつかろうとするんだ?自分より強いと自覚しているのにだ。」

「そう・・・ですね。」

「共闘とか小賢しく考えている割に相手の力量を把握出来ていないとか愚の骨頂だと思わんか?少尉。」

「仰るとおりかと・・・」

「経験は最上の教師である。しかし、授業料は高くつくがな。」

「トーマス・カーライルでしたか?」

「そうだ。今回の事を一言でいうとそうなるな。それとも少尉はまだ続けるのか?」

「いえ・・・」

「では少尉、授業料として俺の部下になれ。」

「私にとってそれは授業料ではなく褒美になります。」


部下になれと言われ、アブドラが少し驚いた後、笑みを隠しきれずにそう言った。


「言っておくが、人使いは荒いぞ?」

「知っております。」


二人が向かい合って笑う。


「さて、そろそろ終わったようだ。行くぞ。」

「イエス・サー」

『イエス・サー』

(何故、お前まで言うんだ?アイ。)

『個人的興味です。』


言ってみたかっただけです。というアイに(ついにユーモアを獲得したのか)と少し驚きつつも学習していくアイを少し嬉しく思う。


(アイ、現状報告を頼む。)

『YES:マスター、ムズとルーはヴィンダーンの介入により小康状態で現在待機中です。』

(概ね予定通りか。)

『YES、次にコウの班ですが「殺すな」とのマスターの言葉により一進一退の状態が続いています。』

(殺さない難しさって所か。良い訓練になるだろうから、もうちょいやらせておくか。)

『最後に北方に現れた敵ですが、アムドゥス軍が倒したと思われます。』

(あぁ、そっちは余り心配はしてないな。)

『数名がこちらへ向かってきております。』

(多分報告とかじゃないかな?了解した。)


壁が見えて来るとジーや兵士達の姿が見えた。

ムズが結構重傷のようで皆心配しているようだ。


「大丈夫だ。死ぬ心配は無い。」

「あ、センさん。・・・後ろの方は?」

「魔王の1人アブドラだ。心配は要らん。俺の部下だ。」

「魔王・・・」


ジーや周りの兵士が警戒する。

その警戒を解くようにアブドラが進み出て敬礼する。


「ネコ族の皆さん始めまして、アブドラで結構です。」


呆気に取られて、俺とアブドラを交互に見るジーと兵士達。


「生前からの部下だよ。」

「そうだったのですか。」


そう言って警戒を緩めるが完全には信用し切れてないようだ。攻めて来ている相手なのだから無理も無い。

そこへ北側からアムドゥスの配下達がやってくる。馬鹿でかい髑髏を担いでいるのは何かの冗談なのだろうか?


「セン殿、アムドゥス様に言われ、生きの良さそうな死体を持ってきました。」

「は?生きの良い死体って矛盾してないかそれ・・・」


おかしな事を言うサレオにツッコミを入れているとマルスが目の前に巨大な髑髏を下ろす。


「食べて強くなれ。という事かと。」

「そうでっせ!そんで、ワテにご褒美として面白道具を作ってもらわんとあかんでしかし。」


そう言いながら高そうなローブを着たミイラを降ろすロノ。

後ろのアブドラが緊張しているのを見る所、こいつが親玉で魔王なのだろう。


「そうですよ、マルドゥス様が「この戦果なら全員に新しい玩具作ってくれる」と確約してくれましたからね。」


とマルス、ロノに続きサレオが見に覚えの無い事を言いだす。

しかし、アムドゥスにそれを言う事は出来ないし、その位の褒美で良いのならと快諾する。

サレオにムズとルーの回復を頼んで俺は変身を解きモンスターの姿で分解とアイの解析を使って喰べ始める。


(アイ、こいつにはどんな能力があるのかを解析しながら教えてくれ。あと、どんな能力で倒されたのかも判るなら教えて欲しい。)

『YES:マスター』


どんどん分解していく姿を驚きの表情で見つめるジーや兵士達。

ジーとかは確か俺がモンスターを喰う所は見たこと無かったな。と納得する。


『このモンスターは召喚されたモノのようです。

 能力としましては空間に別次元の穴を空ける能力が確認されています。』


そんな凄い能力の奴をどうやって無傷で倒してるのかこいつらは・・・

30分ほどかけて全てを分解する。

高速分解を使ってこれだけの時間が掛かるというのだから髑髏の巨大さが伺えるというものである。

途中途中で聞いていたアイの報告を纏めるとこうだ。


名前:がしゃどくろ

モンスター:不死族アンデッド


スキル:虚空地獄、腐食吐息、死の業火

魔法 :ニュルンベルクの処女、地獄降誕、亡者の行進

特性 :物理無効、腐食無効、不死


スキルの説明だが、

虚空地獄:次元の扉を開き、その中に敵を落とし込むというもの。

腐食吐息:吐く息が腐食属性を含んでおり、徐々に周りが腐食していくというものだ。

死の業火:自分の体に炎を纏い炎の鎧として攻撃してきた相手を灰にする防御にも攻撃にも使える物だ。

次に魔法、

ニュルンベルクの処女:これはアイアン・メイデンと言った方が馴染みがあるかもしれないな。それを召喚して敵を串刺しにするという物だ。

地獄降誕:これは地形変換だな。数種類あるらしく自分の熟練度に応じて召喚される地獄が違うようだ。

亡者の行進:地獄の亡者を召喚する召喚術だ。これも熟練度により召喚されるモノが違う。

それに物理無効や腐食無効、更に不死なんて特性があるのに良く倒したものだ・・・

それと倒した方法だが、アイの分析によると精神体を直接攻撃して倒しているようだ。との事。デタラメである。


続いてミイラを喰う。

持っていたローブやマジックアイテムっぽい杖は剥がして貰っておく。

こっちは人位の大きさなのですぐに分解できた。

そして解析された情報がコレだ。


名前:アルバート

モンスター:魔王種


スキル:死者隷属

魔法 :重力操作、クリエイトアンデッド、地獄門召喚

特性 :高速思考、不死王、ダメージ回復


え?これだけ?と思ったがスキルの1つ1つが反則と言っていいほどの能力だ。

死者隷属:支配した相手を強制的に不死族にして使役する事が出来る。

重力操作:魔力により自分の周りの重力を操作する事が出来る。

クリエイトアンデッド:熟練度により作れるアンデッドが違う。

地獄門召喚:熟練度により門より出て来るモンスターの強さが変わる。

高速思考:魔法、戦略など全ての思考が一瞬にして行える。

不死王:不死族は不死王に対し攻撃、反抗する事が一切出来ない。

ダメージ回復:自分もしくは眷族が与えたダメージ分で自分が回復する。


さすが魔王と言うべきだろうか?

1つ1つのスキルが馬鹿みたいな能力に思えるのは俺だけだろうか?

倒した方法だが、精神体を’完全’に抜き取られていたらしい。

精神体が有ったという痕跡すら無かったそうだ。

一体どんな方法を使えばそんな事が出来るのやら・・・


自分の力に変換できるまで今しばらくの時間が必要だろう。

ムズとルーはすっかり回復している。

サレオに頼んで正解だったようだ。

俺だとそこまでの熟練度がない為にもっと時間が掛かっただろう。

今は刻印の施された鎖で縛りあげられたヴァルファーレを見張っている。

ムズの説明でヴィンダーンは巨大な斧をムズの目に見えない速度で攻撃してヴァルファーレを仕留めたらしい。


俺はその正体を知っている。

ムズに話を聴いた時、それはカツが作っていたヴィンダーン用の斧を使ったのだとすぐに判った。

あの斧はハンマーの様な部分に掘られた刻印により加速される仕組みで、

更に鎧にも掘られた刻印が体の身体能力を底上げしており、振るう事によって人によっては常人の域を超える速度になると言う代物だ。

ヴィンダーンのように元々強い戦士が使うと動物種ですら目で追えない速度になるのだろう。

複眼を持っていたヴァルファーレですら速度から逃げれるものではない。

例え予知を持っていたとしてもそれを避けられる身体能力が無いのであれば宝の持ち腐れである。

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