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死後世界触手譚  作者: 青風
魔王
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第50話     亀 と アンコウ

タツノオトシゴを凶悪にしたようなその顔と目が合う。

ないわ~この大きさは無いわ~・・・。

巨体が息を吸い込む。


「ヤッベ!」


俺とマルスが岩場を走って逃げる。

ドラゴンが水を吐き出すと岩場が砕け散っていく。


「どんな高圧洗浄機だよ!」

「汚れが落ちると言うか肉片も残りそうに無いですな。」


二人は走る。

200m位前方でコウが弓を構えて集中している。何の魔法だ?


『エクスプロージョンアローです。海へ退避してください。』


アイの声と同時にマルスを引っ張って海へ飛び込む。

それと同時にコウが矢を解き放つ。

異次元色の矢が高速でドラゴンめがけ飛んで行く。

頭に当たった瞬間大爆発を起こす。


「仕留めたか?」


海から顔を出した俺がその様子をみて口に出す。


「まだです!」


コウが叫ぶ。

煙が晴れるとそこには少し焦げたドラゴンの姿があった。

それだけではなく、そのドラゴンの首が1つから5つに増えていた。


「マジデか・・・帰りてぇ・・・」


マルスを引っ張り浜まで泳ぎながら呟く。

後ろを振り返るとドラゴンが迫ってきていた。

マルスを砂浜の方に放り投げる。

着地してすぐに自分の服の方に走り臨戦態勢を整える。

その間俺はドラゴンをひきつける。

人型に変身して高圧の水を避け首に掴まる。

後ろからもう一匹のドラゴンが俺を食おうと口を開く。

その顔に飛び移り、目にドリル触手を叩き込む。


ガギッ


という音と共に弾かれる。


「チッ」


次の首が迫る。

その顔に飛び移り目に蜘蛛の巣を被せ違う顔に飛び移る。

目に蜘蛛の巣を被せているのに迷わずこちらへ向って来る。

何かがおかしい・・・

後ろでドラゴンの顔が爆発する。

5つの顔全部が一瞬だが硬直する。

それを俺は見逃さなかった。

俺は岩場に飛び降り浜目掛けて走り出す。

浜にたどり着き出来るだけ下がる。

ドラゴンが浜に上がってきて全容が顕になる。


「やっぱりか・・・」


5つの顔は甲羅部分で繋がっているのだが、顔ではなくあれは触手だったのだ。

巨大な甲羅から伸びる手足は象のような太さで形は蛙の後ろ足のような感じだ。

そして、甲羅の後ろの部分から更に凶悪な顔が1つ伸びていた。

おそらくアレが本当の顔なのだろう。

もう、あれをドラゴンと言っても良いのか判らない。そんな形状だ。


「後ろの頭が本体だ。前の頭を警戒しつつ本体に攻撃。」

「「はい!」」


コウとネロルが勢いよく返事する。


「グラニ!マルスを連れて前衛の顔を翻弄しろ!ムズの接近戦は不利だ、俺のサポをしろ。」

「コウ後ろは任せるぞ。」

「承知!」

「「はい!」」


マルスはグラニの背に飛び乗り銃を使って5つの首を翻弄する。

その横からネロルが網を用いて2つの顔を絡める。

コウは本体の顔の視界を防ぐようにエクスプロージョンアローを連打する。

連打する事により威力は小さいが視界が遮られ思うように顔触手を動かせずに居る。

俺はその爆発に紛れ、後ろに回りこみ本体に取り付く。

前衛の顔触手が慌てたようにこっちに向って来る。

それをムズがつめで翻弄する。

顔触手が到達する前に俺はドリル触手で目を奪う。

その痛みに本体が暴れ、俺は振り落とされて砂浜に叩き付けられる。

メッチャ痛い。

コウやマルスが遠距離で顔触手を翻弄する。

痛みを堪え変身を解く。


「ムズ!」


ムズに俺の体を投げてもらいもう一度首に飛びつく。

そして喰う!

頭の部分を丸呑みし高速分解すると暴れるのが収まった。

ビクンッビクンッと痙攣しているがもう襲ってくる事は無さそうだ。

そのまま分解しつつアイにいう


(アイ、こいつは何ドラゴンなんだ?)

『解析します・・・亀です。』

(え?)

『亀です。ドラゴンでは有りません。』


それを聞いた俺は本体の首を分解した所で止めて飛び降りる。

コウがそれを見て走ってくる。


「どうしました?進化のために食べないんですか?」

「うん、まぁ、ドラゴンなら喰ったんだけどね?これ、亀らしいよ?」

『はい、ただの亀です。』

「えーーー!?こんなに大きいのにですか!?」


皆にも事情を説明する。

マルスが居るので、アイが教えてくれたとは言わず、そういう能力がある事にした。


「なんとこれがただの亀というのですか・・・」

「これが亀って・・・」


反応は様々だが一様に信じられないと言う気持ちだけは同じらしい。

俺も信じられないし。

コウに言ってとりあえず料理してもらう事にした。


刺身、炙り握り、ステーキ、鍋など様々な物を作ってくれた。

刺身:美味い!味でいうと馬刺しが一番近いと思う。

炙り握り:米はまだ少ししか出来ないけどこれも美味かった。

ステーキ:これも美味い。ヒレっぽい感じで脂身が少なめだが柔らかく500g位ならペロッといける感じだな。

鍋:すき焼き風にして食べたがこれもかなり美味しかった。


コウに言って冷蔵風呂敷に(冷蔵の刻印を入れた風呂敷)もてるだけ入れてもらう。

かなりたくさんの風呂敷を持って来ているので町の皆にも配れるだろう。

今回の転移刻印は燃やせる紙に書いて来てある物なので1回1回こちらから魔力を込めないといけないのだ。

常設型にするとここの場合誰かに見つかると悪用されかねないので紙にしたのだ。

コウとネロルに町の皆へ配ってもらうように手配をしてアイに聞く


(解析は終わったか?)

『終わりました。スキル:ウォータークラッシャーを獲得しました。』


たぶんあの高圧洗浄機だろう。

俺も使っていけば岩を砕けるのだろうか・・・先は長そうだ。

転移陣のおかげでコウは疲れたようなので今日はこの辺にして休んでもらう。

俺はその間ウォータークラッシャーの熟練を上げる為岩にひたすら打ち続けた。

寝る前には少し岩が砕ける程度には熟練が上がったのだが、如何せん触手からの射出するので水の量的にこれ以上の威力になるのかが疑問だ。

まぁ、逆に考えて貫通させる針みたいに使う方がいいかもしれない。


次の日は朝から海に潜ってみた。

ギランを数倍にしたような魚がうようよしてい何度か襲われかけその度に砂浜へ逃げ帰る。

何故かマルスは襲われてなかったので、何故かを考えるとすぐに答えは判った。

この姿だ。俺の触手のこの姿ってルアーに似てるのだ。


「俺が疑似餌になれば釣れるんじゃね?」


今思えば自分で何をトチ狂った事を言ってるんだ?と言う事を口走った。


「じゃあやってみましょうか。」


ネロルが俺の体をロープで縛る。細い糸だと俺が細切れになるのでロープにしてもらった。

そしてムズに投げてもらう。


「兄ちゃん大丈夫なの?」

「いけるいける。その代わり俺がロープを引いたら引き上げてくれよ?」

「判った。」


ムズに思いっきり投げてもらう。


「アイキャンフラ~~~イ!」

『飛んでますね。』


100m位飛んだんじゃないだろうか?

水切り石の様に数回水に跳ねてから沈む。

海の中では大きな魚共がウヨウヨしていた。

まだ俺の存在に気づいていないようだ。

俺は触手をニョロニョロと動かしてみると魚共が俺目掛けて突進してくる。

その大きな魚を掻き分け周りの魚より大きなアンコウっぽい奴が口を開けて迫ってきた。


(めっさ怖い!)


正直今迄で一番怖かった。あ、嘘です。コウが怒ってる時の方が怖いです。

そのアンコウの口の中に飛び込んでドリル触手を口の上と下に刺し体を固定してロープを引っ張る。

その途端に体を持っていかれそうになる。

がドリル触手の固定+歯に体が挟まって痛いの何の・・・


「いだだだだだだだだだだだだだっ!い~た~い~!」


外ではムズ達が頑張っている。

俺は魚の口の中で踏ん張っている。


「か、体が・・・ちぎれる・・・はちきれる!あ、意味違うか?」


ロープが体に食い込んで開いちゃいけない扉を開きそうになる。

20分ほどムズ達と魚の綱引きが続いたが、豪腕を持っているムズやネロルには敵わなかったのだろう。

浜に引きずり上げられる。


「や、やばかった・・・少し気持ちよくなりかけたぜ・・・」


そう言いながら魚の口から這い出る。


「兄ちゃん大丈夫?」


ムズが心配そうに声をかけてくる。


「うむ、もうやらん。」


俺のスポーティーな体にクッキリ残るロープの痕。

自分で思いついた事だが何故やろうと思ったのかが謎だ・・・

もう絶対やらないと心に誓った。


幸いこのアンコウがかなりの巨体で食料としては申し分ない量になったので、1回で十分な成果を得る事ができたのだ。

転移陣で食料と共に皆は先に帰って貰い、転移陣を仕舞って俺はグラニとゆっくり帰る事にした。

ムズやコウが一緒に帰ると言ったがアンコウの解体やら村の皆におすそ分けやらがあったので先に帰ってもらった。

グラニが「主殿は先に帰ってもらっても大丈夫です。」と言っていたのだが1人で帰って来いというのも可愛そうだと思い一緒に帰る事にしたのだ。

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