第49話 ドラゴン と 海
温泉ピクニックを終えて戻って来て皆と別れる。
皆、特に女性陣には肌がつるつるになったと好評だった。
家に戻った俺は縁側の座布団の上で溶けようと歩を進める。
縁側に着いた時にそれは居た。
「よお!戻ってきたか。」
俺の座布団の上で寛ぐおっさんドワーフ。
ヴィンダーンである。
(こいつは俺の指定席を占領する気か?)
仕方ないので隣に腰を下ろしコウにお茶を出してもらう。
ついでだし、強いモンスターが居ないか聞いてみよう。
「強いモンスターだと?」
「そそ、元人間とかじゃなく普通に強いモンスター。」
「神の名を持つ奴らとかか?」
「あ、それはパス。」
「となると、後はドラゴンか。」
ドラゴン・・・俺は某RPGのバ○ムートみたいなのを想像する。
無理じゃね?なんちゃらフレアーとかされたら消し飛びそうだし。
「俺らでも勝てるのかそれ。」
「ワシも戦った事があるが撃退するのが関の山じゃったな。倒しきるのは相当厳しいじゃろう。」
え?その程度?と思った。
みんなで頑張れば何とかなりそうだな。と。
「それは何処にいるんだ?」
「判らん。」
「それじゃ意味無いだろ。」
「だが、お前さんなら、そう遠くない内に合う事になるだろう。」
「どう言う事だ?」
「あれは文明を嫌っておる節があってな。」
「大きな町になると襲撃しに来る。」
「マジカよ!」
「それとドラゴンにもランクがあってな、
下位種フォレスト<グランド<アーク<フレア
上位種テンペスト<ガイア<マザー<キング
そして居ると言われておる最上種エンシェント
それぞれ色で判別でき、上位種は鱗が光っておるからすぐ判るだろう。
ワシが出会ったのはフォレストだがフレア以上のドラゴンは見たら即逃げる事じゃな。」
何とかなりそうだと思ったのは気のせいだと言うのはわかった。関わらないようにしよう。
「そいつらは何処にいるんだ?」
「それぞれの場所に居るぞ。」
「それぞれ?」
「フォレスとテンペストは森、グランドとガイアは砂漠、アークとマザーは海、フレアとキングは火山、エンシェントは判らん。」
「え?火山って温泉地は?」
「あそこの溶岩は美味くないんじゃないのか?あそこで見たと言う情報は聞かないのお・・・
え?そんな理由?てか森以外もあったのか?そのうち行って見たいな。
コウがお茶を持って来てくれて俺の隣に腰を下ろす。
「ありがとう。」
「いいですよー」
そう言って自分のお茶を飲む。
「コウ、海とか行って見たいか?」
「いいですねー、こっちの世界の海の幸ってどんなのがあるんでしょうか?」
え?料理の方なの?遊びにって感じで聞いてみたんだけど・・・
「さあな?ワシも海には入ったことが無いからどんな奴が居るか判らんわい。」
ヴィンダーンがそう言ってお茶を飲む。
でも、料理かぁ~海で好きなのは海老とか焼き魚だなぁ~
そう思ったら食いたくなって来たなぁ・・・
思い立ったが吉日!
「ヴィンダーン、海ってどっちの方角にあるんだ?」
「海か?ここからだとエルフの国の方角に7日って所じゃが、グラニじゃと4,5日で着くんじゃなかろうか?」
「コウ、明日から海目指してみるか?」
「いいですよ!準備しておきますね。」
グラニの上にはコウ、ムズ、マルス、ムズ、ネロルそして俺という変なパーティーになっている。
何故こうなったかと言うと・・・
今朝、俺たちが出かけようとした時アムドゥスが遊びに来たのだ。
「あら?何処へ行くのかしら?」
「ちょっと海に。」
「ふ~ん、海に何しに行くの?」
「海の幸を取りに行くんですよ~」
ちょっと考えるアムドゥス。その後大声で
「マルス!」
と呼んだらマルスが来た。
「何でございましょうか。」
「お前も一緒に海に行って私とモモの分の海の幸を取ってらっしゃいな。」
「判りました。」
こうしてマルスが仲間に加わった。
それを聞いていたニルルがネロルをつれてきて。
「ネロル!あんた私とカツの分の海の幸を取ってラッシャイな!」
多分アムドゥスの真似をしたんだろうけど、魔王とドワーフじゃねぇ・・・威厳がまるで違った。
けどネロルは渋々それに従い俺達の仲間に加わった。
ムズの場合は俺達がワイワイ騒いでたら来てそのまま一緒にって感じでムズも仲間に加わり今のパーティーになった。
「とりあえず、戦力を把握したい。この中で泳げる者は?」
俺がそういい、手を上げたのは俺とマルスだけだった。
ちょっとまて。何故泳げないのについて来たんだ?
「ネロル、お前泳げないのか?」
「生前、学校で習った位でそれを泳げると言っていいのか・・・」
まぁそうだな、それにその体はドワーフだし水との相性悪そうだしな。
「コウは?泳げないの?」
「海で泳いだ事がないので・・・見たことはあるんですけどね。」
え?もしかしてコウもニルルみたいに長い車でお出迎えとかか?
ありえるぞ・・・なんせ、家の設計であんな武家屋敷をこさえるくらいだしな・・・
途中何度か休憩を挟みながら海を目指す。
下を見ていると小さな集落があったりしたので他にも人が居るだろう事は確認できた。
だが今はその集落には寄らない。
今までの経験でどんな厄介事に巻き込まれるかわかったもんじゃないしな。
4日が過ぎた頃森の切れ端が見えた。
にしてもデカイ森だったなぁ・・・どんだけでかいんだ・・・
森を抜けると草原が広がっている。
そのだいぶ向こう側に海が見えた。
波打ち際にグラニが下りる。
「ご苦労さん」と声をかけポンポンと撫でてやる。
コウとネロルは釣りや網の用意をしている。
俺とマルスは早速水着に着替えて潜ってみる事にした。
と言っても俺はモンスターの姿に戻った方が効率が良いので変身を解除するだけだが。
潜って一瞬で逃げ帰る。
何あれ?全てが大きいんですけど。
なんか5m位あるヒトデっぽいクラゲ?みたいなのがワッサーって泳いでたり、
ギランより凶悪そうな魚がそのヒトデクラゲ?をバグっと喰ってたり。・・・
おかしくね?綺麗だから透明度は高いんだけど・・・あのデカさは・・・
マルスも大きさに焦ったようで浜辺に上がってきている。
「どうする?マルス」
「いやはや、海の中がこうなっていたとは・・・」
「とりあえず、岩場らへんから貝類でごまかすと言うのも手じゃないか?」
「そうですな。海の幸と言われたので貝類も一応海の幸ですし。」
二人で妥協案を出して沖に伸びる岩場を歩いて沖の方にむかう。
沖に伸びる岩場の先に着いた時に異変を感じた。
目の前の海が真っ黒なのである。
それは一面ではなく何か大きな物で20mx20m位の何かだった。
「マルス、戻った方が良い様な気がするんだが。」
「奇遇ですね。私も今同じ事を言おうと思っていたのです。」
しかし時は既に遅かった。
黒い部分の一部が海面を持ち上げ爆誕する。
「うっわ・・・ドラゴンじゃね?これ。」
「そのようですな。」




