第44話 非難 と 住み込み
パズス>アガレスに変更しました。
「アムドゥス様がネコ族と手を組んだ模様です。」
デーモンが跪き玉座に座る大きな影に報告をする。
「シヴァがか?あいつが誰かと手を組むとはな・・・」
大きな影は思案げに呟く。
「前報告させて頂きました異分子のローパーが絡んでいると思われます。」
「ほお・・・」
「如何致しましょう?」
デーモンが跪きながら返答を待つ。
「今は放っておけ。だが一応イブリースとアガレスにも今の話を伝えておけ。」
大きな影は言い放ち掻き消えた。
◆
エルフの国中央第1都市マカラーニャ、その都市の中央に有る壁の中に王城グランフォレスがある。
その城の女王の寝室の隣にある魔法陣が淡く光りローパーが出現する。
「何とか逃げれたか・・・」
俺は何故か怒っていたコウとアムドゥスから命からがら逃げてきたのだ。
思い出す事すら恐ろしい目に合わされた。とだけ言っておこう。
隠れた時にこの魔法陣の事を思い出し逃げてきたのだ。
扉の外がガタガタと聞こえ、バンッと勢いよく開かれた。
「ごめんなさい!」
「よくおいでくださいまし・・・た?何故謝っておられるのですか?」
一瞬コウがここまで追いかけてきたのかと思い咄嗟に謝ってしまった。
入ってきたのは女王であるミーリエだ。
「あ、いや、べつに?」
「それで今日はどのようなご用件で?」
「あ、うん。」
用っていう用は無いんだけどな。逃げてきただけだし・・・
あ~ついでに報告しておくか。
「落ち着いて聞けよ?」
「何かあったのですか!?」
「いや、だから落ち着け。」
「わ、判りました。」
「魔王がうちの町に住む事になったから。」
「は・・・?はーーーー!?」
そこからはもう凄いスピードで幹部を集めた緊急会議が開かれた。
ミーリエ、アンダ、アムロド、クルン、謹慎中のはずのマルディまで来ていた。
その他にも大臣クラスが何人か来ていたみたいだが・・・
「それでは今より魔王に占領された始祖様の土地を奪還する為の作戦会議を始めます。」
皆が一様に険しい表情をしている中ミーリエがそう宣言をする。
何と言って皆を集めたのだろうか・・・色々間違ってるけどな。
「あ~ちょっといいか?」
「何でしょう?賢者様」
アンダがすばやく聞いてきた。
「別に占領されてないし、コウも無事だ。むしろ仲が良い。」
「それはありえません!相手は魔王ですよ!何かの魔法とかではないのですか?」
魔王ってどんだけ恐れられてるんだ?何でもありなのか魔王。
「逆にそれはありえん。コウは精神系の攻撃効かないし。」
「それでは一体どうして始祖様の町に魔王が住む事になったんですか?」
今度は第一王子のアムロドが聞いてきた。
「そりゃ、友達になったからだ。」
「友達・・・魔王とですか?」
信じられてないな。少し大げさに言っておくか。
「うん。先に言っておくが、もしエルフ達が魔王を追い出す為に攻めて来るというのなら、コウを含めた俺達は魔王側に付くよ?」
みんなの顔色が変わる。
「そ・・・それはまたどうして!」
「だって、あいつら良い奴だし。」
「それが信じられません!魔王とは魔物を統べる者ですよ!?いわば悪の中の悪ではないですか!」
ミーリエが叫んだ。まぁ言いたい事は判るが・・・
「まぁ、前世で人を殺したからモンスターになってる、そこは否定しない。けどさ、人を殺した理由ってのもあると思うんだが?」
「それはそうですが・・・」
「俺から言わせれば、自分の手は汚さないで他人を使って人殺しさせてた奴は、ここじゃ善良な市民として生きてるわけだろ?その方がおかしいぞ。」
全員黙り込む。皆からしたら俺の言ってる事は正論かもしれないが、それでも人殺しと仲良くするってのは抵抗があるんだろうな。
「まぁさ、自分の目で見て触れ合ってみてそれで相手を悪かどうか決めればいいんじゃないかな?モンスターってだけで悪なら俺は何なの?って事になるだろ?」
「それは、この中の誰かが始祖様の村で魔王と暮らしてみろって事ですか?」
クルンが核心とも言える事を聞いてくる。
「俺らの町で住まなくても良いけど、住むなら家は用意するぞ?」
場が沈黙する。誰が様子を見に行くかで揉めそうだなぁと思っていたのだが・・・
「では、僕が行きましょう。」
そう言って手を上げたのはマルディだ。
「お前か?」
俺は少し睨みを効かせてマルディを見る。
「せ・・先日は大変失礼を・・・」
「で?なんでお前なんだ?」
「先日の件のお詫びを兼ねて挨拶に伺いたい、と思っておりました・・・」
「ふ~ん、お前さん、次コウを怒らせたら、助けてくれる奴が居ないけど、大丈夫なんだな?」
「覚悟の上です。」
「んじゃ、いいよ?んで、こっちに住むのか?それとも来るだけか?」
「出来れば、住まわせて頂けると、魔王の様子も判り易くて有り難いです。」
「OK、んじゃ用意出来次第、女王に魔法陣の使い方を聞いてこっちに来い。」
「判りました。」
俺は周りを見る。
「誰か反対する奴とか居ないのか?」
「自分で決めたのですから誰も反対はしません。」
そう言ったのはアムロドだ。
「そうか、なら決まりだ。それとミーリエ」
「なんでしょう?」
「ドワーフにも伝えておいてやってくれないか?」
「良いですが、軍を率いて行きそうな気がするのですが?」
流石にそれは困るな。
まぁ、来たとしても町の手前でアムドゥスに消されるだろうけど、それはそれで騒ぎが大きくなるしな・・・
「それって俺も話せる?話せるなら俺から事情を話すけど?」
「大丈夫です。」
マルディは用意をする為部屋に戻り残りのエルフ達と共に通信鏡のある部屋に向う。
ミーリエは精神を集中して魔法陣に魔力を通す。
そうすると周りにある鏡が共鳴し自分達を写さず何処かの部屋の中を写す。
鏡の中の部屋の扉が開き現れたのはフンディーンだった。
「久しいな、王さん。」
「いつぞやのモンスターか。後ろに居るのはミーリエ女王とその後子息達か。何か物々しいな。」
普通に話が出来る。テレビ電話みたいだな。
(アイ、解析しておいて。)
『YES:マスター』
アイ魔法陣の解析を頼み、さっきエルフ達に話したようにフンディーンに話す。
最初は驚いて慌てていたが、俺が丁寧に説明していく内に落ち着きを取り戻す。
「誰かをそちらに住まわせると言う事か。」
「まぁ、そうだな。別に住まなくても良いけどな。」
「エルフのご子息が一人調査の為に移住するのにドワーフが誰も移住しないという事はできんよ。」
「まぁ、家は用意してやる。後は仕事を手伝ってもらったりするがな。」
「判った。皆を招集し誰かを派遣させよう。よろしく頼む。」
「OK判った。」
そうして俺はエルフの国を後にした。
すっかり忘れていたのだが、俺とマルディが魔法陣で転移し戻るとコウとアムドゥスが待ち構えていた。
俺とマルディの間を魔法が突き抜ける。
アムドゥスが放ったようだ。
瞬間的に俺は判ったがマルディはいきなり真横を魔法が突き抜け固まっている。
いや、よく見たら気を失っている。立ったまま気を失うとか器用な奴だな。
マルディを寝かせコウとアムドゥスに事情を話した。
アムドゥスに
「事を荒立ててどうするの?黙っておけばいいじゃない。」
と言われたが後からばれる方が事が荒立つだろう。
と説明した。
ドワーフも後から来ると言う事も伝えてある。
「これで私のモモに何かあったら、殺すわよ?」
「アムドゥスなら、そうなる前に全員殺すだろ。」
「それもそうね。」
物騒な子である。とりあえず部下に町の周りを警備させると言って出て行った。
その後、気が付いたマルディはコウに土下座をして許してもらっていた。
可愛そうなのであまり見ないようにしておいたが。
それから数時間後1人のドワーフが町を尋ねてきた。
「ここが、センとエルフの嬢ちゃん達の町か。」




