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死後世界触手譚  作者: 青風
魔王
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第43.5話    休日

ある晴れた日の午前中。

センさんに


「今日はムズと温泉でも掘りに行ってみようと思うから、コウは好きにすればいいよ。」


と言ってムズさんにローパーの姿で抱っこされながら出かけて行った。

いきなり貰った休日だけど、実際何をしていいか判らない。

いつもセンさんと一緒か、センさんと一緒じゃなくても何かしら目的があり目的の無い日なんてなかった。

家の中を見回す。センさんから好きに作って良いと言われたので純和風の広い家をイメージして作ってもらった。

かなり広いので掃除は少し大変だけど、希望通りに出来上がった私の自慢の家だ。

いつも縁側の座布団の上で溶けているセンさんが今日は居ない。


「何をしようかな?」


とりあえず、いつも通り箒で部屋の中を掃除する。

居る時はいつもやっているのでそこまで時間が掛からずすぐに終わってしまった。

寒くなるのか判らないけど寒くなった時用の囲炉裏テーブルがある部屋でとりあえずお茶を飲む。

この前引越しの時に手伝ってもらったムズさんのメイドであるミルさんと木の実でも取りに行こうかな?

センさんはミルさんとムズさんは結婚するだろうと言って居た。いいなあー結婚。私だって女なんだから結婚はしたい。

けど、センさんにはその気が無さそう。多分気持ちには気づいてるだろうけど、そういう話題を敢えて避けている節がある。


「いけない、いけない」


こんな事を考えていると気持ちが後ろ向きになる。

私も敢えて考えてないようにしないと。

ミルさんを誘って、ついでにシラタマも誘って木の実でも取りに行こう。

お肉でもいいかな。見た目は尻尾の長い蛙だけど、あのお肉は美味しいんだよね。

蛙なんて前世だと絶対触れなかったと思うけど、今は平気。もし見つけたら喜ぶ位だと思う。


「そうと決まれば準備準備♪」


少しワクワクしつつ準備を整えて門を閉めて外へ出た時その日の私の運命が決まった。


「あら?センと一緒に居たエルフの・・・コウだったかしら?」

「あ、アムドゥスさん、おはようございます」


アムドゥスさん。魔王でとてつもない力を感じる女性。

だけど見た目はどう見積もってもランドセルが似合うだろう姿をしてる。

モモの元飼い主さんで悲しい過去を持つ女性ひと


「ちょうど良かったわ、付き合いなさい。ほら早く!」


一瞬意味は判らなかったけど、強引に腕をとられ歩き始める。

何処かへ向っている感じではない。


『前方のモモを尾行しているようです。』


アイさんが答えを教えてくれた。

前の方200m位の所でモモちゃんが歩いていた。

何で付けているんだろう?元飼い主だし、仲がいいのだから話せばいいのに。

そんな風に思っていたら


「あら?あなた面白いモノを体の中に飼ってるのね。」


アイさんの事がバレタのかと思ったけど、どうやらそうじゃないらしい。

モモちゃんを見失わないように尾行しつつも話しかけてくる。


「その力を完全に引き出したら私には及ばないまでも、いい線いくわよ?」


どうやら始祖様の力の事らしい。(※エルフの女王談)


「まだ自分で引き出す事ができなくて・・・」

「シッ!」


物陰に連れ込まれる様に手を引かれアムドゥスさんは物陰からコッソリとモモちゃんの様子を見ている。

私も見てみるとモモちゃんが男の人と話をしていた。というか、お父さんのダンさんだ。

物陰から見ているので話は聞こえないがどうやらお弁当を届けに行ってたようだ。

ダンさんは喜んでモモちゃんを抱き上げている。モモちゃんは恥ずかしそうにダンさんを嗜めて降ろしてもらっていた。


「あの男、殺そうかしら?モモが嫌がっているじゃない!」


物騒すぎますアムドゥスさん。仮にもモモちゃんの父親なんだからそれくらいいいじゃないですか・・・とは言えなかった。オーラが怖すぎて言えませんでした。

モモちゃんがダンさんと別れ移動し始めると私も腕を引かれ尾行再開。


「ふーん、自分で引き出せないの?」


まだ続いてたんだこの話・・・そう思いながら肯定する。


「それは何の為の力?」

「たぶん、センさんを守りたいと想う力だと思います。」

「それが判ってるのならいいわ。近いうちに自分で引き出せるようになるはずよ。」


そう言ってまた物陰に連れ込まれる。

物陰から覗いて見るとモモちゃんが男の人と話をしていた。

あれは確かダンさん部下のような人じゃないだろうか?

ダンさんは気のいい人でネコ村の人々からも兄貴的に慕われているので顔が広い。

そのダンさんを慕っている1人だと思うのだけれど・・・。


「あの男、私のモモに色目を使ったわね。殺そうかしら?」


またですかアムドゥスさん・・・怖すぎます。顔も怖いけど。それに掴まれている腕が痛いです。すごく。

モモちゃんはペコリとお辞儀をして移動し始める。

またまた尾行再開。


「誰かを守ろうとする力ってね、凄く強くなる物なのよ。その守る対象が自分だとしてもね。」


今私の腕を掴んでる力の様にですか?とは聞けなかった。

それにまだ話は続いていたらしい。どうやら今日はこんな感じが続いていくのだろう。と悟ってしまった。


「エルフの女王様に始祖の力がどうのって言われたんですけどピンとこなくて・・・」

「ああ、エルフの始祖の話なら聞いたことがあるわ。何でも昔の魔王と手を取り合ったとか。」

「え?」

「あら違った?」

「私が聞いたのは神の名を持つ魔物を率いて魔王を倒したと。」

「あら?そうなの?」

「はい、この世界を輪廻の輪から外そうとした魔王を倒して世界を平和に導いたとか。」

「ふーん」


そう言ってまた物陰に隠れる。

次は誰だろうか?というか、始祖の話の続きを聞きたいのですけど?

そう思いながらも物陰から覗くと今度はモモちゃんの友達の男の子だった。


「あんのマセガキ・・・殺してやろうか!」


またまたですかアムドゥスさん。・・・怖s(略

嗚呼、腕の色がおかしくなってきた・・・もう痛いを通り越してる。

モモちゃんが手を振りながら別れる。

掴まれる力が弱まり色が元に戻っていく。

助かった・・・


「私の聞いた話と随分違うわね。そもそも輪廻の輪から外そうとした魔王なんて居ないはずだけど?」

「そうなんですか?どう言う事だろう?」

「まあ、どっちにしても、あなたはあなたの思うようになさい。始祖がどうとか魔王がどうとかなんて考えないで良いじゃない?センが大切ならセンと共に進む道もあると思うわよ?」


私はこの言葉に救われた気がした。

最初にセンさんについて行こうと思って居たけれど、エルフの国に行ってから心の何処かで魔王達と戦わないとと思っていたからだ。

断ったのは断ったが国と民を導けとかいうのに対してで魔王に対しては倒さないといけないのかー位にしか思っていなかったので倒すのが当たり前だと思ってしまった。

何故そう思ったかは判らないが、最初思ったようにセンさんに付いていけば良い。言われて改めてそう思ったからである。


それからは心が軽くなり、アムドゥスさんと共にモモちゃんの尾行を楽しんだ。

モモちゃんもあの性格なので村の皆に慕われていたのか、色々な人に声をかけられていた。

アムドゥスさんは相手が男の人の場合のみ相手を射殺しそうな勢いで殺気を飛ばす。

数時間ほどそれが続いて町を一周するように移動していたモモちゃんだが、もうすぐモモちゃんの家だという所でモモちゃんが家とは違う方向へ駆け出した。

あわてて私達も後を追って物陰からそっと見る。

その相手はムズさんとムズさんに抱かれたセンさんだった。

温泉は掘りからちょうど戻ってきた所のようだ。

モモちゃんはムズさんからセンさんを借り抱っこしている。

センさんも満更ではないようだ。多分あの感じは鼻を伸ばしている様な気がする。


「「殺してやろうか!」」


二人が同時に呟く。

その殺気を感じ取ったのかセンがキョロキョロしている。

あわてて引っ込みゆっくりと覗いてみると何もないと思ったのか、また鼻の下を伸ばしているような気がする。

モモちゃんも薄く頬を染めているのが気になるがそれは仕方ない。

囚われた時に助け出してくれた王子様なのだからそれは仕方ないと思う。

それとセンさんが鼻の下を伸ばしているのは話が違う。

殺気が滲み出る。アムドゥスさんも殺気が滲み出る。


『コウ、センが回りの監視を聞いて来ています、教えていいですか?』

(ダメです。)

『YES:コウ。コウとアムドゥスの反応をマッピングから消して表示します。』


アイさんは瞬時に意図を汲み取ってくれたみたいだ。

私とアムドゥスさんは殺気を飛ばす。

センさんの落ち着きがなくなってきたように感じる。

バレてしまっては後から責める事が出来ないので殺気を堪える。

センさんはそのままモモちゃんに抱かれモモちゃんの家にお邪魔するようだ。

私とアムドゥスさんはそれを見届けてから二人で家に戻る。

もちろん私とセンさんの家だ。

センさんが戻ってくるのが楽しみだ。

その後センがどうなったのかは想像でお楽しみください。

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