第42話 双子のキス と チョロメン
迷宮への入り口に到着してどうやって連絡しようか迷っているとマルスが影から現れた。
「お待ちしておりましたよ、セン殿」
「ん?来る事言ってたっけ?」
「いえ、ですが近々来るだろうと予測していましたので待っておりました。」
待ってた?3日も?悪魔達の時間の感覚が判らんな。
「土産を持ってきたんだが、幹部達ってここに呼んでもらう事って出来る?」
「少々お待ちください。アムドゥス様に聞いてみます。」
多分念話で確認を取ってくれているのだろう。
待つ事数分、快く許可をもらえた。
「それでは、全員呼びましょう。」
そう言ってまた念話で連絡を取ってくれている。
「しばしお待ちください。」
「OKOK、マルス前の銃はどうだ?使ってみたか?」
「はい、大変良いものを頂いたと感謝しております。」
まぁ、これであんまり使えないとか言われたらカツが泣くだろうな。
「そかそか、元が元だから銃はお手の物だろ?」
「はい、これは魔法ですので反動が少ない分使いやすい。」
「そうだな。1つ気になったんだが元殺し屋がなんでアムドゥスの配下に?」
「この世界が弱肉強食の世界だからです。」
「アムドゥスに負けたって事か?」
「いえ、アムドゥス様の配下に限りますが、あの強さに心酔しているからです。」
「ふむ。お前は強くなろうと思わないのか?」
「思いましたし、努力もしました。あの強さを目にするまでは。あれは努力で成れる物では無いです。」
アムドゥスの強さをちゃんと見たわけじゃないからなんとも言えないなぁ。
でもま、やっぱり相当強いのだろうな。
そんなことを考えていると後ろからコウが話した。
「マルスさん、あなたは何故殺し屋になったんですか?」
「一言で言えば時代。ですかな。」
「時代?」
「あの頃はマフィア全盛の時代でしてね。殺しが日常茶飯事でした。私も例に漏れずマフィアになりました。
ですが、他人より人を殺す事に秀でていた為に、人殺し専門になって行きました。
そして最後は私を恐れた幹部に濡れ衣を着せられファミリーに抹殺されました。」
「そうでしたか。」
「こちらに来てからも何度も殺されました。殺されて起きればまたこの世界の別の場所」
「私も殺しましたよ。殺されたくありませんしね。そうして力をつけ始めた頃にアムドゥス様に拾われました。」
かなり心酔してる事からよほどの事があったんだろう。と思う。
コウとマルスの話を聞いていると、洞窟内からイケメンが出てきた。
「やあ、お待たせしましたね。」
「いあ、そんなに待ってないよ。マルスの話も聞けたしね。」
「それなら良かった。」
そう言って爽やかに現れる所がまたイケメンだ。ロリコンだけどな!
「サレオ、少し待っといてくれる?もうすぐ到着すると思うんだが。」
「到着?」
「うむ、サレオへの土産は今持って来てるところなんだよ。」
「そうなの?楽しみだね。」
「じゃぁワテのはあるんでっしゃろか?」
そう言ってサレオの影から出てきたのはロノだ。
「おっ!あるであるで~?」
俺はそう言って大きな袋から土産を出す。
「こっ!これは!」
「レイスつったら鎌やろ!」
そう言って取り出したロノへの土産とは黒曜石で刃の部分を作った大鎌である。
黒曜石だと硬度が足りないので刻印により強度と切れ味を増してある。
「マジでっか!むっさすごいですやん!」
「マジマジ、ごっさ凄いやろ?」
「ホンマごっさイカしてるやん!ワテこう言うの欲しかったんですわ!」
メッチャ喜んでくれてる。浮遊しながら大鎌を振り回し近くの木を切り倒してみたりしてご満悦である。
「やっぱ死神っぽさを出さんとな。これでお化け屋敷にも転職できるで。」
「ほんま、これで入ってきたカップルを・・・って転職するかー!」
ちゃんとノリツッコミをしてくれる所が誰かさんと違う。
『なにか?』
一瞬幻聴が聞こえたが無視しておく。
ロノくらい喜んでくれるとあげたほうとしても嬉しいものである。
「あら?エルフですわー?」
「うん、エルフですねー?」
洞窟内から出てきた赤と青の元気な妖精はそう言いながらコウの周りを飛ぶ。
「シートリ、ソラッス。お客様なんだ、イタズラしないようにね。」
サレオがイケメンスマイルで嗜めると
「わかってますわー」
「わかってますねー」
と言って俺の左右の肩に1人ずつ座る。
「私たちにはお土産は無いのですわー?」
「私たちにはお土産は無いのですねー?」
左右の肩でそう言われると混乱する。
「判ってる。君達は女の子だと聞いてたから特別の特注品だぞ?」
袋をあさって取り出したのは木の箱2つ
「何かしらですわー?」
「何かしらですねー?」
「こっちにおいで。」
そう言ってロノが作った切り株を机に見立てその上にその二つの箱を置き肩から降りるように促す。
二人の妖精は箱の正面に降りて気づいたようだ。
木の箱は正面から見ると扉が付いており中に10着ずつ服を入れてあるクローゼットになっているのである。
「うれしいですわー!」
「うれしいですねー!」
「どっちがどういうの好きとか知らないから、色々な物を入れているはずだ2人で交換したりするといいよ」
二人はそれぞれ気に入ったのが有ったのか服を抱えて飛び回る。
そしてひとしきり飛び回った後服をクローゼットに仕舞って俺の肩に乗り二人でホッペに両方からキスの御礼をしてくれた。
後ろから冷気が襲ってきたが、これは不可抗力じゃないだろうか?
「それを作ったのはドワーフの女の子なんだ。だから会ったらお礼を言えばいいよ。」
「わかりましたですわー!」
「わかりましたですよー!」
後ろから冷やかな視線を浴びつつ、話をそらしていく。
「それより君達の事を教えてもらえるか?」
「そうですわー!私はシートリですわー!こういう服ずっと欲しかったので本当に嬉しいですわー!」
シートリと言った妖精は目の高さでホバリングしつつ優雅にお辞儀をする。
右目がピンク、左目が薄紫のオッドアイで肩位までの髪の子だ。
シートリが自己紹介を終えるとそのままコウの目線の位置まで行き自己紹介を始めていた。
シートリと入れ替わるようにもう1人の妖精が目線の高さでホバリングする。
「そうですねー!私はソラッスですねー!今まで帰り血の付いた布から作った服ばかりだったですねー!」
ソラッスと言った妖精は右目が薄紫、左目が水色のオッドアイでショートカットの活発そうな子だ。
ソラッスも自己紹介が終わるとそのままコウの前に行き自己紹介を始めていた。
この2人も喜んでくれたようだ。よかった。
ちょうどシートリとソラッスの自己紹介が終わった頃ジーが新型バイクで到着する。
「遅れて申し訳ありません。」
「こっちは空飛んでるんだから遅れて当たり前だし気にしなくていいよ」
そう言ってジーが降りたバイクを指差して
「これが、サレオへの土産だ。」
そのバイクは元の世界で言うレーサーレプリカと呼ばれるタイプのバイクで男前が乗ると様になるからこれにしたのである。
「これを?私にですか!?」
「うむ」
「そんな、こんなすごい物もらえませんよ!?」
そう言って恐縮して受け取ろうとしないので近くによって両肩を掴み耳元で
「これな、前にも女の子を乗せれるようになっていてな。タンクの部分が収納になってて横に収納型の取っ手が付いてるんだ。
小さい子を抱っこするかのよう乗せれるようにしてある特別仕様なんだぞ?勿論後ろから抱きつかれるように調整した角度のシートにもしてある。」
と囁くと。
「ありがとうございます。大切にします!」
と抱きつかれた。※チョロメンだ・・・。(※イケメンだが凄く残念な男)
サレオには言わなかったがこのバイクはもし万が一の為に速度は他のバイクより少し劣るように設計してある。
もし事案が発生した場合ジーが捕まえる事ができるように設計したのだ。
まぁ、見守るのが好きなだけっぽいからその心配は必要無さそうだがな。
さて、本命はここからだ。
「アムドゥスにも土産が有るんだが、連れて行ってくれるか?」
マルスにそういうと快く案内してくれた。
溶岩の上を通り宮殿の奥へと案内される。
真っ白な扉が開き中に入っていく。
「よぉ!3日ぶり!」
「皆に土産をくれたそうですね。大層喜んでいるようです。」
何かの能力で感じ取っているのだろう。見てきた事のように話す。
「それで、アムドゥスにも土産があるんだ。」
「私にも?前頂いた所なのに?」
「多分気に入ると思うぞ?」
そういうと待ちきれんと言わんばかりに玉座から立ち上がる。
「驚かせたいから前の部屋に連れてってくれよ。俺とコウだけでいいから。」
「判ったわ。」
そう言って手を叩くと既に前の応接間のような場所だった。
俺とコウだけでよかったのだがムズとジーも連れてきてくれた様だ。
やっぱいいやつだな。と思いつつ袋に入った最後の土産を出す。
それは俺の首位までの高さのある刻印を掘った箱だった。
「そんなに大きな物を私に?」
「あぁ。これがお前への土産だ!」
そう言って箱に魔力を注ぐと箱が自ら開くように開かれていく。
そこに入っていたのは・・・




