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死後世界触手譚  作者: 青風
町作り
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第28話     先輩ペット と 新たな家族

「隊長!大きな馬がセンさんの洞付近に!」

「はぁ・・・大丈夫、警戒しなくていいよ。あれは、そのセンさんの私物らしいから。」

「は!?ハッ!判りました!」


警備兵は走って皆に伝えに行ったのだろう。


(まったく兄ちゃんにも困ったものだ、これはあの蛇の時みたいだ。)


思い出し苦笑するムズ。

アイから先に報告を行けていなかったら自分も慌ててたに違いない。

苦笑いしつつも大きなため息とともにそう思う。

ムズが洞に行くとギャーギャー喚く小さい女の子が兄ちゃんを蹴っていた。

よく見るとその女の子はドワーフだった。


「もしかして攫ってきたの?兄ちゃん。」

「そんな訳あるか!成り行きでな、この子と後2人ドワーフがここに住むから。」

「また急だね・・・」


呆れるようにムズが言う。


「それで今度はエルフの所に行こうと思ってな、こいつは織物が出来るらしいからエルフ用の土産を作って貰う為に先に連れ帰った訳だ。」

「べ、別にこいつの為なんかじゃないんだからね!」


そう言ってフンッと無い胸を反らしながらいうドワーフ。


「あーこれがツンデレっていう奴ですか?」

「うむ、ここまであからさまなツンデレは希少生物だから良く観察しておけ。」


少し珍しがってるムズに俺が答える。


「誰が希少生物よ!」


そう言って思いっきりセンの足を蹴るが自分の方が痛かったのか少し涙目になりながら足を摩っている。


「俺はムズって言うんだ、前世からセン兄ちゃんのペットだよ。」


そう言ってムズは手を差し出す。


「そ、そう、私はニルルよろしくしてあげるわ!」


そう言ってムズの手を握る。

そしてムズがグラニのほうを向く


「お前が新しいペットか。俺はムズだ、俺の方が先輩だから判らない事があれば俺に聞いてくれ。」


そう言ってまた手を差し出す。


(前世からですか、若輩者ですが共に主様の為に頑張る所存です。よろしくご指導お願いいたします。)


首を下ろし手に首を擦り付ける。


「よろしくな!グラニ」


ムズは昔から面倒見の良い猫だった。後から拾ってきた猫をちゃんと指導してしつけたのもムズなのである。

早速、食事とかの指導をしてくれているようだ、手間が省けてありがたい。

仲良くやれそうだな。そう思いながら周りを見ると建材が所狭しと並べられていた。

人数も村の人が手伝いに来てくれているようで200人ほどに増えていた。

ブッチーが参加者を募ってくれたらしい。自分の家の修復もあるだろうにありがたい事だ。


「それじゃニルル頼むわ。」

「判ったわ、あの木材ちょっと貰っても良い?」

「あぁ、良いよ、人も必要だろうしムズにも言っておくから好きに使ってくれ。」

「うん、ありがと。」


ムズに木材を使う事を伝え、主だった者を集めてもらいこれからの展望を話す為に洞に移動する。

洞ではコウが掃除をしていた。


「あまり帰って来れないからな・・・コウすまんね」

「いいですよー、私も好きでしてる事ですしね」


そこにブッチーとジーを連れたムズがやってくる。


「おかえりなさい、センさん、コウさん」


ブッチーが俺にそう言って手を上げる。


「あぁ、ただいま。」

「ただいま、ブッチー」


そう返事をして腰を落ち着ける。


「人数が増えたみたいだが、大丈夫か?ブッチー」

「ええ、ダンさんみたいに最初から手伝ってもらっている何人かにまとめて貰っていますから。」

「そかそか、もう少ししたらドワーフが2名ほど来るからドワーフの家の作り方を聞いて建て始めておいてくれ。」

「判りました。」


そしてジーの方に向き直り


「ジー、体はもう大丈夫なのか?」

「はい、治癒をかけてもらったのが大きかったのかもう殆ど支障はありません。」 

「こっちの警備に来て大丈夫なのか?」

「人員的にはキルク村の方が大分多く警戒もしていますし、何かあればすぐこっちに来れる手配もしています。」

「OKOK、なら問題は無いか。」


俺は頷きながらその隣のムズを見る。


「ムズ、これからどんどん建材が必要になってくるだろうからこれからも頼んでおく。」

「うん、判った。」


それだけ言って皆を見回す。


「俺達はこれからエルフの所に行く事にしている。」

「それはどうしてですか?」


ブッチーが聞いてくる。


「うむ、ドワーフの所に行ったんだが洞窟内に明かりを灯していて、それが魔法によるものだと判った。」

「魔法ですか。」

「そうだ。色々な魔法を学ぶ為にエルフの所に行こうと思っている。」

「判りました。」

「今回はただ行くだけじゃなく魔法を学んだりするので少し長くなるかも知れんが皆よろしく頼む。」

「「「はい」」」


それから細々とした事やドワーフの所で起こった事を話す。

話し合いが終わった時には日が暮れ始め村の人も帰り支度を始めていた。

俺はニルルの所に行くと立派な機織が出来上がっていて今は試し織をしていた所のようだ。


「どうだ?いけそうか?」


俺が後ろから声をかけると


「当たり前じゃない、私が織るんだから精々崇めて受け取りなさいよね!」


と自信満々のようだった。


「そうか、楽しみにしてるよ。」


そう言ってポンポンと頭を撫でた。

夜は木の実や魚などを食べ就寝となった。

次の日の夕方にシラタマ達が到着してそのまま宴会となり、その次の日からはネロルとカツが指示を出し本格的な家造りを開始した。

昼頃に織物の反物が1つ完成した。

ちょうど切がよかったのでドワーフたち3人を呼ぶ。


「どうしたのあんちゃん?」

「俺等家の作り方を説明するので忙しいんだぜ?」


ネロルとカツが忙しそうにしつつ来てくれた。

ニルルは一息入れていたのに


「あんたの方が来なさいよね!」


と言っていたのでほっぺたを引っ張ると


「はにふふのおー!(なにするのよー!)」


とじたばたしていた。


「ちょっとお前らに話があってな。かなり内密な話だ。」

「ん?」


不思議そうに首をかしげる3人


「お前ら、俺等と家族にならないか?」

「「「はぁ!」」」


3人ともビックリしている。そりゃそうだ。

ニルルなんかはビックリしすぎて


「そ、そりゃ、あんたがどうしてもって言うなら考えないでもないけど?私にも心の準備って物があるんだからね!」


うん。なんか勘違いしてるっぽいな。

そんな3人の前に触手を1本ずつ差し出すと皆キョトンとしている。


「これを食えば、お前達に資格があるのなら家族になれる。」

「な、なかったら?死ぬのか?」


カツが心配そうに俺を見てくる。


(アイ、死なないよな?)

『死ぬ事はありません、むしろ何も起こりません。』

「資格がなかったら何も起こらない。まぁ、食う食わないは自由だ。」

「なによ!そんな事なの!?」


そう言ってニルルが齧り付く。痛かったが、だんだん慣れてきた。

開けてはいけない扉を開ける的な意味じゃなく普通に耐性が出来てきたんだと思う。

そんなニルルの様子を見る男ドワーフ2名。


「女は度胸だな。」


俺はそう呟く。


『魂の同化を完了しました。』


そんなアイの言葉が聞こえたと同時に


「え?」


とニルルが辺りを見回す。

つられてネロルとカツも見回す。


(判ったか?これが家族になると言う事だ。)

「え?」


と今度は俺を見るニルル。

またつられてネロルとカツもこっちを見る。


(心の中で話してみろ。)

(こ、こう?)

(そうだ、これが出来るものが俺らの家族の証だ。)

(ねえ?これって考えてる事全部わかっちゃうの?)

(それは無い。アイという人工知能を経由してるからな。)

『YES:よろしくニルル』

「ええ!」


アイの声を聞き盛大に驚くニルルそんな様子を見て心配そうにネロルとカツが声をかける。


「ど、どうしたのニルル?」

「大丈夫なのかよ?」

「とにかく、あんた達も早く食べなさい!そうすれば判るわ!」

「じゃ、じゃあ・・・」


触手を渋々食べる二人

しばらくして


『『魂の同化を完了しました。』』


そこからは先の繰り返しである。

しばらく色々試していた3人が落ち着きを取り戻す。


「ま、そういうわけで今日からお前らも家族だ。」

「ていうか、あんた無茶苦茶ね。」


ニルルはそう言って俺を睨み、ネロルとカツは頷く。


「そうか?まぁ便利だしいいんじゃね?」


俺はなんでもない事のようにそう言った。

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