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死後世界触手譚  作者: 青風
町作り
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第26話     人体実験 と スレイプニル

コウが剣を受け取り戻ってくる。


「お待たせしました」

「あぁいいよ、それより良いのか?」

「何がですか?」

「人を・・・殺す事になるかもしれないぞ?」

「大丈夫です。」

「そうか。」


決意は固そうだ、なら何も言わない方がいいな。


「ネロルは家に戻っておくか?」

「元は俺たちの事情なのに、それを助けて貰っているんだから一緒に行くよ。」

「そうか。」


こちらも同じくって感じか。


「それじゃ、サクッと行くか~」


そう言って歩き出す。


(アイ索敵開始だ。5人以上で物陰に居る場合は報告しろ。)

『YES:マスター』


索敵をアイに任し町並みを見る。

やっぱり猫村と違って現代風な家が多い、流石というべきか。


(これを左だったな。)


道を曲がると、ドグルの屋敷が見えた。

ここまでアイの索敵に引っかかった者は居ない。

その原因がわかった。


「待ち伏せを警戒してた俺がアホだったわ。」


ドルグの屋敷の前に戦闘準備の完了しているゴロツキが30人ほど居たのである。

一応アイに周りの建物を探ってもらったがそれらしき反応は無かった。

ネロルが少しビクついた様に


「ドグルの私兵達・・・」


といったが、どう見てもただのゴロツキ、チンピラである。

俺達は無言で歩いていく。

ネロルは俺の後から付いてくる。

向こうは俺の様子を聞いていたのか俺のほうに近寄ってくる。


「お前らがドルグ様が言ってた奴か。見逃してやるからそのエルフを置い・・・ガッ!」


歩みを止めず無言で角付き触手を使い眉間を射抜く。


「お、お前!・・・何してくれてんだ!」


やられた仲間を見て怒ったのか3人が一斉に飛び掛ってくる。


(同じ方向から来るとか・・・戦術の基本も何も無いな。)


その3人に向け蜘蛛の糸を出し絡ませる。

3人がもがいている所をコウが矢で一纏めに串刺しにする。これが本当のターキーってか?

その様子を見た奴らがざわめきだす。

俺達はまだ歩みを止めない。

ゴロツキ達が下がり人垣が割れていく。


「コウ、右側全員ヤレ。テンペストブレイクっての使ってみて。」

「はい。」


そう言って剣を取り出し雷を纏わせる。

それを上に突き上げると雷が右側に割れたゴロツキ共に降り注ぐ。

ひとしきり雷が降り終わるとそこに立っている者は居なかった。

なるほど、こうなるのか。

これって、チートすぎやしませんかね?

どんどん俺との差が開いているように感じるのは俺だけ?

いつか勝てると思っていたあの頃が懐かしいな。


「な、何なんだ!何なんだよお前!」


左に残ったゴロツキ共の1人から声が上がった。

俺はそっちを振り向き


「スキルの人体実験だが?」


そう言ってコウに


「コウ、こっちにトルネイドで。」

「はい。」


剣を仕舞いそのまま魔法の弓を放つ。

さっき俺に話しかけた奴に矢が刺さったと思うとその周囲に居る全員を飲み込む竜巻が発生する。

その竜巻が天井まで届きゴロツキ共を叩きつけ、竜巻が消えると全員落ちてきて地面に叩きつけられる。動いている者は居ない。

ゴロツキ共を見ると全身に切り傷もある事からただの風ではなくかまいたち的な物も含まれるようだ。

俺は雷の跡と竜巻の跡を見比べる。


「やっぱ魔法の方が跡が綺麗だな。」

「そうですねー、私も弓の方が扱い慣れているのでこっちの方が趣味ですね。」

「そかそか、じゃぁ戦闘をする時は魔法を軸に組み立てるようにするわ。」

「ありがとうございます」


そう言って俺に笑いかけるコウ。

ネロルがそんな俺達に、


「今のも戦闘じゃないの?」


と聞く。


「これだと模擬戦レベルにも満てないな。相手が馬鹿すぎた。」


そう言って前の家を見る2階の窓からこちらを見ている奴が居る。ドグルだ。


「んじゃ、コウ仕上げにこの家にディメンションアローで。」

「はい。」


そう言って真っ黒な矢を放つ。

玄関の扉に刺さりその矢を中心に建物が歪む、そのまま矢に吸い込まれるように建物が消え更地が残る。


「ご苦労さん」

「お粗末さまでした。」


そう言って俺にお辞儀をする。


「さて、終わったな、ネロルこれでカツやニルルが狙われる心配は無いぞ?」

「そうだね・・・でも、やっぱりあんちゃんの所に行っちゃダメかな?」

「ん?それは構わんが・・・親には報告しておけよ?」

「うん、判った。ここで待ってて貰ってもいい?ちょっと行って来る。」


そう言って走り出すニルル。

特にやる事もないのだが・・・とドグルの家があった庭を見てみる。

馬小屋とかあるな。戦利品にしようか?などと思っていると


「もう終わっておったか。」


振り向くとヴィンダーンが居た。

後ろに3人ドワーフを引きつれていた。

玉座の間で見たな顔だな。装備からして幹部クラスか。

そう思いながら言葉を返す。


「うん、終わったぞ。」


威厳を出す為に腕を組んでそう答える。


「まさか、家がこんなに綺麗に無くなるとはな。どんな技だ?」

「企業秘密だよ。」

「やはり見れなんだのは痛いな。」


笑って言いながら髭をなでる。


(そこまで思ってないくせに、食えない爺さんだな。)


そう思いつつ、ヴィンダーンに聞いてみる。


「おいおっさん、ドグルの庭にある馬小屋から馬車とか一式貰ってもいいか?」

「ん?良いぞ。残しておいてたら国のものになるだろうが、倒したのがお前達なら戦利品扱いでも大丈夫だろ。」

「そうか、んじゃ遠慮なく。」


そう言って、馬小屋に行くと黒に白い鬣の馬が2頭と白馬2頭居た。

そして、奥に厳重な檻がありその中に前の4頭より2回り位大きな馬が一頭居た。


「こ、こいつは!あの伝説の生涯一片の悔いも残さなかった人が乗ってた馬か!?」

『違うと思います。ちゃんと見てください。』


アイに突っ込みを受けつつ、それを無視して興奮する俺。


「流石金の亡者だけあった奴じゃな。いい馬を揃えておるわ。」


ヴィンダーンも馬小屋に入って来てそう言う。

コウは白馬の1匹と見詰め合っている。

見詰め合った状態から何処に置いていたのか人参を馬に突き出す。

馬は少し考えた後それを申し訳無さそうに食べる。

俺は興奮状態のまま独り言のように呟く。


「やっぱ名前はあれだな。あれしかないな!こくお・・・」

『ダメです!マスター危険すぎます!』


俺の独り言を遮るアイの言葉。


(え~!?いいやん!)

「センさん、いいかげんにしましょうね。」


振り向くとコウがいい笑顔で怒っていた。

熱した頭が急速に冷める。


「OK、判った。すまなかった。」

「判ればいいんですよ?」


うん、コウだけは怒らせてはダメ。これ絶対。

落ち着きを取り戻し、冷静に考える。

まずはこの馬に好かれないといけないな。

檻を開け中に入ると馬?が変だった。


「ん?足が6本・・・だと?」

『ちゃんと見てくださいと言いましたよ?』

「なんじゃと!」


アイのそんな声を掻き消すかのような絶叫が聞こえた。

絶叫の主は驚き飛んで来る。ヴィンダーンだ。


「まさかあ奴スレイプニルまで飼っておったのか!」

「ん?ステイプニル?あのオーディンが乗ってたっていうスレイプニールの事か。」

「名前の由来はそうじゃろうな。

 こいつは希少種でしかも捕獲するのがかなり難しい。

 少なさだけでなく力も相当強くてな。一体幾らかけてこれを捕まえたんだか・・・」

「まぁ、確かに足が6本ある馬を見たら俺でもスレイプニルって名前にするかもな。」

「のんきじゃな。」

「いあ、希少種とか言われてもさ?あんま実感が無いというか・・・」

「馬の進化種にユニコーンが居てその進化種がペガサスになるんだが、

 ごく稀にペガサスにはならずスレイプニルになる馬が居るんじゃ。

 通常進化する事すら稀なんじゃがな。」

(でもあれ?進化する事って自然界にはあるのか。俺の能力ってそれを強制的に引き起こす感じなのか?)

「そうなのか。」


そう言ってスレイプニルを見る。

その目が俺を威圧的に見下ろす。

体全体を見ると背中や尻の方に鞭で打たれたような傷がいくつもあったのでそれを治癒してやる。

スレイプニルはまだこっちを威圧的に見ている。

見つめあう。

そして俺は咆哮を使う。


グォォォォ!

「な、なんじゃ!?」


ヴィンダーンが驚き馬小屋全体が揺れ馬達が暴れだすがスレイプニルは微動だにしない。

そして意思を込めて目を見る。

1分?2分?それ以上?見詰め合うとスレイプニルが足を折り跪いた。


「よし!」


そう言って俺はスレイプニルに跨る。

跨るとスレイプニルは立つ。

俺はスレイプニルに聞く。


「いけるか?」

「ブルルルルッ!」

「よし、いけ!」


そういうとスレイプニルが檻に体当たりをし軽々と突き破る。

外に出るとドグルの家の塀の外には人垣が出来ていた。

俺の咆哮が原因だろう。


「よし、いい子だ。」


そう言って首をポンポンと叩くと自分に付いた塵を払うように体を震わせる。


「無茶苦茶じゃな。いつでも出れた、そう言う事か?」


後ろからヴィンダーンが来る。


「ん~というより捕まった自分の不甲斐なさを恥じて大人しくしていたんだと思うぞ?」

「気持ちがわかるのか?」

「いや、なんとなくそんな感じがしただけだ。」


そう笑って答える。


「ちょ・・・ちょっと通って・・・て」


と人垣からネロルがバッグをさげてやってきた。

人垣から抜け出したネロルが俺を見て固まる。


「遅かったな。」


そう俺が言うと止まっていた時が動き出すかのようにネロルが喋りだした。


「え?え~~~~?イヤイヤイヤ、なんだそれ!何なんだよその馬は!」

「ん?たった今俺の馬になった。」


騒ぎ出しなかなか収まらないので「いいから、馬にくっつける荷車取ってこい。」と言って馬小屋の隣の倉庫に向わせた。

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