第25話 英雄 と 王様
謁見の間
そこは今まさに戦場と化していた。
「おい、お前!今すぐ団長達を呼んで来い!」
「はっ!」
「他の兵士達は壁に添って並んでいろ!武器はいつでも使えるようにな!」
「「「はい!」」」
「ラーズ様!ヴィンダール様が到着されました!」
「前の部屋で少し待ってもらえ!」
「ハッ!」
「さて、相手は客なのか、敵なのか・・・」
不適に笑みを浮かべるラーズに声が掛かる。
「よお、どうした、こんな朝早い時間よー?」
全身鎧を着たドワーフが入ってくる。
その後ろから鎧を着けず小奇麗な服でハンマーを持ったドワーフが入ってくる。
「流石に物々しいな。よく判らない奴が王に謁見を求めてきたらしいぞ?」
「フレグとハンナルか。うむ、そう言う事だ。敵か味方か判らんがかなりの戦力らしいから全団長を集める」
フレグとハンナルと呼ばれたドワーフに目をやり理由を話す。
「こんな時間に謁見を許すほどの戦力なのか!?敵は何人だ!?」
「3人・・・いや1人はドワーフの子供らしいから実質2人か」
「2人?冗談だろ?」
「冗談だと思いたいが、報告では大門を一瞬で潰したらしい」
「なんだと!?あの大門をか?ありえるものか。」
「ヴィンダーン様の手の者の話だとしても嘘だといえるのか?」
「な・・・」
「この国最強の英雄ヴィンダーン様か・・・」
「そうだ。今前室で待って貰っている。」
謁見の間の中央で話をしている3人に話玉座の裏から出てきた王が話しかける。
「こんな時間に客らしいな?」
「フンディーン王!」
跪く3人に「よいよい」と言って顔を上げさせる。
玉座に座り話を聞く体勢を整る
「それで?」
「ハッ!現在ヴィンダーン様が前室で相手をされております。」
「そうか。ヴィンダーンが連れて来たのなら会うしかないか。入ってもらえ。」
「判りました。」
兵を1人走らせる。
◆
ヴィンダーンと共に城に入る。
洞窟の中に城とはすごいな。そんな事を思いながらヴィンダーンについていく。
謁見の間の手前で兵が走ってきて
「ただいま準備中ですので、今しばらくお待ちいただきたい。」
といわれた。
確かに朝早かったのでそれも仕方ないか。と思い了承する。
ヴィンダーンは俺を隣の部屋に誘った。
その部屋の中でビックリする。
出されたお茶が俺の知っている懐かしい紅茶だったのだ。
しかも砂糖まで。
それにクッキー・・・甘い・・・美味い。
これにはコウも喜んでいたがネロルは固まっていた。
座った姿勢のまま緊張しすぎてガタガタ震えている。
何をそんなにと聞いてみると
「ヴィンダーン様は俺等の英雄なんだ、そんな人と一緒の部屋に居るんだ緊張するのは当たり前なんだ。」
と、英雄なのか、ふ~んとクッキーを食べる俺。
「坊主、ネロルとか言ったか?そんなに緊張するな。同じドワーフだぜ?」
「む、無理っすデスよ・・・」
ヴィンダーンに話しかけられ緊張がマックスになったのか変に壊れ始めた。
「準備が整いました!どうぞこちらへ。」
と兵士が入ってくる。
謁見の間の手前で「腰の物をお預かりします。」とコウが言われ剣を預ける。
ま、当然だな。
そして中に通されると、そこには朝早いというのに兵士がズラッと並んでいた。
(上半身裸なんだが大丈夫だろうか?)
俺の姿を見て敵意を露にする兵達。
しかし、王とその側近だけは微動だにしない。
玉座に座る王の前に行く。
「朝早くすまない、私はセンという者だ。」
「お初にお目にかかります、私はコウと申します。」
「お、おおお、王様!はじめまして!ネロッル・・・ネロルです!」
そう言って礼をする。ネロルは噛み噛みやね。逆に失礼じゃね?
「このドワーフ国の王フンディーンだ。以後よろしく頼む。」
なるほど、威厳ってこう言う事かというほどの風格
流石に俺の付け焼刃の威厳だとただの偉そうな人って感じだな。
回りは兵だらけ、警戒されてるなぁ~俺達。
「して、今回はどう言う事でこられたのですかな?
伝え聞いた限り殺したい奴が居るから許可を貰いに来たという事らしいが、合っておるかな?」
「ええ、間違いないですよ?ただ、許可を貰いにではなく報告しに着ただけですがね。少し詳しく言いましょうか?」
「報告?話してみよ。」
「俺達はこの世界に着てから日がまだ浅くてね、このようにモンスターだ。
その俺がこの間、ひょんな事からこのネロル達ドワーフと知り合う事になったんだ。
そして友達になった。と俺は思っている。
このネロル達に腕のいい職人を紹介してくれと頼んであり一旦戻った後こっちに向っていたら傷ついて逃げ延びてきていたネロル達と遭遇しちまったんですよ。
正当な理由での喧嘩なら俺も口は出さないが、欲で俺の友達を傷つけた。
だからそいつを殺しに来たのです。
そして、そいつはこの国にとっても権力の有る奴らしい。なので王に一応報告しておこうと思いましてね。」
「そ奴の名は?」
「ドグルとか言ったかな。大商人らしいが?」
そういうと場が騒然となった。
「ドグルがか、どう言う事か説明してもらえるか?」
王がそう言ってネロルを見る。
緊張していたネロルだがドグルの名前が出て緊張よりも怒りが勝ったのか全てを話し始める。
王が目を瞑ったまま
「今すぐドグルをここに呼べ。」
そう言って兵を走らせる。
10分も掛からずドルグが兵に引きずられるように入ってくる。
慌てていたようだが入ってきた時にネロルを見てニヤリと笑う。
「これは王様、どういったご用件でしょうか?」
「この者の事知っているな?」
「ありがとうございます、王様。ネロルとカツを見つけてくださったので?」
そう言ってまたネロルをにやけながら見る。
「ネロル達から黒曜石を買ったな?」
「はい、買わせていただきました。あれは子供が持つには立派過ぎますので私共が買わせていただきました。」
「無理矢理か?」
「いえいえ、ちゃんと了承を得ましたよ?」
ニヤニヤとネロルを見ながら話す。
なるほどシラを切ってあとからネロル達の口を封じるつもりか。
「そうか。ご苦労だったな」
「いえいえ、王様のご命令とあらば。
そうそう、大門が壊れたそうですね?私共が改修させて頂きましょうか?」
「耳ざといな。見たのか?」
「いえ、聞いただけです。もし壊れたのでしたら私共が修理させていただきますよ?」
「その門だが・・・」
ヴィンダーンが口を挟む。
「修理なんぞできんぞ?」
「それはどういう事でしょうか、ヴィンダーン様」
「この方達が修復不可能なほど破壊してくれおったからな。」
「またまたご冗談を・・・この方達は?」
「冗談なものか目の前で見ておったからな。」
俺もついでに口を挟む。
「俺はネロルの友達でセンって言うんだが、名前覚えなくてもいいぞ。」
「え?それはどういう・・・?」
「ネロルやカツを傷つけた者を殺しに来たらしい。」
核心部分を言おうとしたら王様に先に言われた。
「は?え?」
ドグルの顔色が変わる。
「だ・か・ら、お前を殺しに来たんだよ。」
俺はドグルの方を向きそういう。
「ドグルよ。もう一度聞こう、黒曜石の買取は無理矢理じゃないんだな?」
王様がドルグに再度質問する
「・・・無理矢理ではありません。」
汗をダラダラ流しながら話すドグル。
「そうか、下がれ。」
「ハハッ・・・」
そう言って下がろうとするドルグに俺は言葉をかける。
「早く逃げる用意して置けよ」
俺の方をギョッと見て慌てて下がるドグル。
「残念な結果ですが、やる事は変わらないので殺しますね。」
「調査委員会を・・・」
「いえ結構!俺の友達のカツが瀕死(嘘だけど)になったんだ、嘘なはずが無いだろ!」
俺は少し大げさに言って正統性を強調する。
「止めるなら止めてくれてもいいですよ?では急ぎますんで失礼します。」
「失礼します。」
「しつれいしました!」
そう言って慇懃にお辞儀をし退場する。
コウもそれに続きお辞儀をしてネロルも一緒に退場する。




