第19話 炎上する村 と 炎上する洞窟
壁が見えてきた。
壁には穴が空いていたり梯子が掛かっていたりして村からは煙が昇っている。
マズイな。
村に到着した時に見た光景は凄惨の一言だった。
家は壊されたり半壊したり燃えていたりし傷ついた警備兵達が壁にもたれ掛かり座り込んでいる。
「ジーは何処だ!」
座り込んでいる兵士にムズが聞く。
「た、隊長・・・ジーさんは集会場に・・・」
そう聴いた瞬間集会場に向け走る。集会場は無事だった。
必死に抵抗した後がある。
警備兵達はムズを見つけると駆け寄ってきた。
「隊長、すいません・・・」
あちこちボロボロで腕や足から血が出ている者も居た。
必死に頑張ったのだろう。
「謝るな!お前達の姿を見ればどれだけ頑張ったのかわかる。それでジーは何処だ?」
「ジーさんは奥で治療を受けています」
「まさか・・・ジーがやられたのか?」
「相手に魔法を使う者や回復術を使う者が居て・・・」
「判った。長老はどちらに?」
「こちらです」
長老の元に案内され長老から話を聞く。
「長老、遅れて申し訳ありません」
「俺もすまない、警備兵を借りて行ったばかりに」
「いいんじゃよ、その程度の人数が居た所で結果は変わらんかっただろう」
そうかもしれない、そうかもしれないが警備を薄くしたのは俺にも原因があるのは確かだ。
「それで?被害状況と相手の規模を教えてくれ」
「幸い死者は今の所居ない。結構な人数がこの集会場に逃げ込めたからな。」
「ただ、食料が取られ娘達が攫われた。相手は200人ほどいただろうか。」
「は?攫われただと・・・」
俺は頭が真っ白になる。攫われたのは20人ほどだという。
さらに追い討ちをかけるように俺の元に凶報が飛び込んでくる。
「あ、ニョロニョロのおじさん!モモが連れていかれちゃった・・・助けてよ・・・」
そう言って俺の触手にしがみつき涙を浮かべる子供が居た。
「モモだと!」
モモというのはダンの娘でネコジャラシの女の子である。
頭に浮かんだのはダンの顔だった。
「ムズ!」
「長老!奴らはどっちに!?」
「あっちの方角に馬車を攫った娘を乗せた馬車が走っていったのを見ました!」
警備兵の1人が言った。
それを聞き終わる前に走り出すムズ。
その方向の村の外に出ると確かに馬車が通ったような跡が草についている。
ムズもそれが判ったのだろうその後を追うように走り出す。
(アイ!感知最大にしろ!)
『YES:マスター』
俺はそう言って戦術を組み立てる。
普通に考えて2人で200人は無理だがこの世界は魔法とかがある。
何とかしなければ。
それよりも気になることがある。
(ムズ、モンスターはこんな風に徒党を組んで行動するものなのか?)
(ここまで大規模なのは初めてです)
(襲撃自体はあったんだな?)
(はい、ですが壁を作ってからは人的被害は無かったらしいです。裏の畑などが荒らされたりはありましたが)
となると纏める奴が現れたと言う事だ。
面倒だな。だが、その頭をつぶせば何とかなるかも知れんな。
『マスター1km前方の岩場に多数の生体反応。続々と岩場に隠れていきます。』
(聞いたか?ムズ。)
(はい)
(アイ、岩場前で一度様子を見る。隠れられそうな所を指示しろ。)
『YES:マスター』
頭の中に浮かんだ場所に向けムズが走る。
指定された場所に着き岩場を見てみると岩場というより洞窟に近い。結構深そうだ。
ちょうど体全体が隠れられそうな木の陰から洞窟をうかがう。
警備が4人、ダンゴ虫みたいな奴とスライムとゴブリンっぽいのとカマキリっぽい奴だった。
モンスターつっても色んなのが居るな。ま、俺もローパーだがな。
(ムズ、俺を向こうに思いっきり投げろ、ちょっと潜入できるか試してくる。)
そう言って左の方向へ投げてもらう
結構飛んだ・・・思ったよりもよく飛んでいく
(アイキャンフラ~~~イ)
『そうですね。飛んでますね。』
今回は言えた。アイがめんどくさそうに同意してくれた。
思ったより飛んだので結構歩くハメになった。
「ちょっといいかい?」
そう言って見張りに声をかける
「何だお前?」
カマキリっぽい奴が前に出て威嚇してくる。
「なんか猫娘捕まえてたのが見えたからさ~俺も仲間に入れて欲しいと思ってな」
「あぁ?仲間だ?」
スライムっぽいのが不機嫌そうに言ってくる。
「とりあえず、お前らの頭に会わせてくれよ?」
「はぁ?何言ってんのこいつ?」
「触手か?何だその格好」
「ローパーつう種類だよ」
「そんな弱そうな奴を何で仲間にしなねぇといけねぇんだよ?」
「お前らよりは強いと思うが?」
「「「「はぁ!?」」」」
その場に居た全員が俺の言葉にキレて近づいて来る。
よかった。馬鹿ばっかで。
近づいてきた奴ら全員に触手を絡め電気を流す。
感電して倒れる4バカ
「これで判ったか?さっさと案内しろよ。」
そう言ってダンゴ虫の背に乗る。一番広くて安定してそうだったからである。
「わ、判った、弱いとか言って悪かったな。」
「判ればいいんだよ。早く行け。」
俺を案内する4人。
ここで4人とも来る時点で頭が弱いんだがな。
洞窟の中では宴会が行われていた。
オーガやライカンスロープまでいる。
通り道にはドアがいくつもあった。
猫村よりはちゃんとした文化を持ってるみたいだ。
その中に外側から鍵の掛かった部屋がいくつかあった。
ここで俺に念話が来ていたのでその相手をしつつ回りを見る。
俺は一番奥に居たデカイ奴の前に連れて行かれる。
そいつはサイクロプスだった。それは俺を見るなり
「何だそいつは?」
「はい、こいつが猫娘達を捕まえるのを見てて仲間に加えて欲しいと・・・」
「初めまして。あんたがボスか?」
「そうだが?お前みたいな雑魚に用は無いぞ?」
「ふむ、あの猫娘達をどうするんだ?」
「おこぼれが欲しいのか?俺らが犯しつくした後にくれとでもいうのか?」
ニヤニヤとしながらいやらしい笑みを浮かべ俺を見る。
あ~ゲスはやっぱゲスか。
「子供も攫ってたみたいだが?」
「お前もそっちの趣味なのか?誰かそっちの趣味の奴が攫ったんだろう」
あ~キレそうだ。
「それで、まだ手をつけてないのか?」
「あれは後のお楽しみだ。まず腹ごしらえだ。」
楽しそうにニヤニヤしながら話すそれをどうにも許せそうに無い。
「そうか、じゃぁ1度死ぬだけで許してやる全員俺に渡せ。」
「ガハハハハッ!何を言うかと思えば冗談も大概にしろよ?」
その時、洞窟の入り口の方に居た奴らが吹き飛んだ。
騒然となるモンスター達。
あ~かなりお怒りの様子ですね・・・巻き込まれない事を祈るしかない。
「お前の仕業か?」
そう言って立ち上がるサイクロプス。
さっきまでのニヤニヤはもう無い。
「そうとも言えるし、違うとも言えるな」
「俺を怒らせるとはいい度胸だ・・・」
また爆発し破片が飛んでくる。
その後ムズを筆頭に20人ほどの警備兵が武器を持って入ってくる。
モンスター達も武器を手にし応戦し始める。
その中を一直線にこっちに歩いてくるエルフが1人。
「先に行っちゃうとか、後で理由を聞かせてくださいね?」
笑顔で告げられる。
え、そっち?攫われた方を怒ってるんじゃなく、理由は俺?
怖いですコウさん。
「エルフとは珍しいな・・・だが俺を怒らせたんだ、ただ犯されるだけで済むと思うなよ?」
そう、言って横においてあった棍棒を手にする。
「あ、お前まだ居たの?」
そう言って挑発する俺。
「見え透いた挑発を・・・お前はそのエルフと関係あるようだな?
そのエルフをお前の前で犯してやろう」
「まぁ、自分ではカッコイイ事言ってるつもりかもしれないがただのゲスだから。」
そういうと怒りの表情になり棍棒を振り上げる。
振り下ろす時に踏み込んだ瞬間、見えないように大回りで伸ばしていた角付き触手を膝裏に突き刺し電気を流す。
膝を付いた為に狙いが狂って棍棒は俺には当たらず横で立ちすくんでいたカマキリっぽい奴をつぶす。
「自分で仲間殺してりゃ世話無いな、フレンドリーファイアおめ!」
そう言って2本の触手で拍手する。
「許さんぞ~~~!」
そう言って膝をついた状態で棍棒を横に振りかぶる。
が、その棍棒が俺らを襲ってくることは無かった。
コウの弓っぽい魔法で腕が消し飛んでいた。
「オアァァアアア・・・俺の俺の腕が・・・」
「腕くらいで大げさだろ?再生しろよ。再生」
無理だと判ってる事を言う。
サイクロプスは唸りながら俺を睨み続ける。
よく見ると傷口が薄く光っていた。
周りを観察するとボロ切れを着たスケルトンが魔法を唱えて治していた。
ここに来て時間稼ぎか・・・少し付き合ってやるか。
「あの村を襲った時点でお前の運命は決まってるんだよ。」
「どう言う事だ?」
俺が気づいてないと思っているのか話に乗ってくる
「俺の仲間が居る場所を襲った時点で全員殺すのは確定事項だ。」
「仲間だと?笑わせる」
「お前、本物の戦場を知らないだろ?だからそんな風に仲間をバカにできるんだよ。」
「自分が強ければ仲間なんぞまたすぐ集まる!」
そういってサイクロプスが立ち上がり。
サイクロプスは残った腕で千切れた腕から棍棒を拾い襲ってくる。
「この程度の強さでか?」
そう言って首筋に2本の角付き触手を刺し最大の力で電気を流す。
意識を外に飛ばし倒れるサイクロプス
その姿を見て逃げようとするスケルトンを俺は逃さず捕まえる。
バカが・・・一人も逃がすわけ無いだろ?さて、蹂躙開始だ。




