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死後世界触手譚  作者: 青風
猫村
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第16話     今出来る楽しみ方 と 今後の楽しみ方

ドナドナ ドーナー ドーナー

そんな幻聴が聞こえるかのごとく俺とギランの身を詰んだ荷車をブッチーとルーが引く。

まぁ売られるわけじゃないんだけどね。

ムズは後ろからギランの身とコタを乗せた荷車を引いている

コタは薬草を煎じた物を飲ませてから安定したようだ。

臓器系は無事なようだ。外傷や骨折は酷いけど。

話も聞きたいし一旦ムズの家で保護しようという事になったのだ。

そのままクロの所に持って行ってもよかったがもう少し安静にして元気になってからというと事にした。


キルク村に到着すると集会場前には先に帰った隊員が炭や枝を集めて待っていてくれた。

石を積んだだけの簡単なグリル台も作ってくれていた。

ねぎらいの言葉を掛けつつ早速用意を開始する。

住民達が遠巻きに何が始まるのかと興味深く見ている。

荷車製作時に一緒に集めておいた親指くらいの太さの木にギランを刺し焼いていく

香辛料少し控えめにかけていく。

辺りに香ばしい匂いが立ちはじめた時に俺は言った。


「ラッシャイ!ラッシャ~イ!」

『マスターそれは何かを販売する時では?』

「・・・」


ソウデスネ

アイの容赦の無い突っ込に挫けそうになる。


「おほん!あ~~俺は皆と仲良くしたいモンスターだからと怖がる人も居るかもしれないが、

 とりあえず簡単な贈り物って事でバーベキューをする事にした。

 欲しい人には無償であげるからドンドン食いに着てくれ。」


そう宣言し焼きに戻る。

住民達はまだ訝しげな表情をしながら遠巻きで見ている。

そろそろ出来あがるんだがなぁ~誰か来てくれないかなぁ~

そんな事を考えているとテテテテッと可愛い生物が走ってきた。


「あ!にょろにょろのひと~」


そう言って来たのはネコジャラシ勝負をしたあの子供だった。

俺は紳士的に


「お嬢ちゃん、食べてくかい?」


キメ顔(顔は無いけど)でそう言っってギランを渡す。

別に幼女だからではない。


「ありがと~」


そう言って何の躊躇も疑いもせず、俺の渡したギランを食べる。

子供は無垢で良いな。そう思う。最初なのでヌシ級をあげた。

幼女だからではない。

その様子を見ていた他の子供達も


「おれもおれも~」

「わ、わたしも~」


と続々と来てくれた。


「おお、そうかそうかドンドン食えよ!食ってでっかくなれよ~」


そう言って渡していく。

中には親に手を引かれて「やめなさい!」と言われている子も居たが

同年代の友達が続々と焼いてるギランを食べるのを見ると我慢が出来ないのだろう。

手を振りほどき食べに来る。

俺は心の中で(やったったわ!)と勝利を確信する。

食べ終わった子供達は俺の後ろで秘密兵器ネコジャラシ付き触手で遊んでいる。

数が多いので捕まるし、かまれると痛いが・・・

そうした子供達を見ていると大人達もぽつぽつと食べに来始めた。


「じゃぁ、ワタシも貰おうかねぇー」

「あ、かあさん・・・」


ルーのお母さんだったらしい。


「あいよ~好みでこれも搾るけどどうする?」


とレモン味の木の実を出す。


「じゃあそれかけておくれ。」

「ほいほい」


そうこうしている間に気づけば大行列になってた。

ネコジャラシ触手はかなり傷だらけになってるがね!

警備隊の人たちはギランをせっせと運んできてくれた。

しらたま達は俺がギランのバーベキューをやってる事を村を走りまって宣伝してくれた。

可愛い奴らだな・・・

そう思いながらせっせと焼いた。


「「「「カンパ~~~イ!」」」」


ムズの家で成功を祝って余ったギランを肴に打ち上げを行った。

キウイ茶で酔っ払ったしらたまを撫でながらムズに聞いた。


「今日は何人くらい来たんだ?」

「ハッキリとは判らないけど、半分くらいの人が来てくれたんじゃないですかね?」


そんなに来てくれたのか。触手が軽く火傷するわけだ。

まぁ、子供達と遊んだ触手はもっと酷い事になってた。ちょっと先っぽ無かったし。

最後の方しらたまが子供達に混じってたような気がしないでもないが。

そんな事を考えつつギランを食べていると


「残り半分の人たちはどうしましょうか?」


とコウが言ってきた。


「次の作戦だな」

「次はどんな作戦ですか?」


そう聞いて俺を見る。他の皆も俺に注目する。


「次はテーマパークを作るかな」

「「「え?」」」


予想外の答えなのか皆が目を丸くする。


「あの橋と俺らの洞の間に大きな木があるだろ?」

「はい」

「あれと川の間に遊戯施設を作ろうかと思ってる。そりゃ最初はちょろっとしたものしか作れないが、最終的には一大テーマパークにしようと思ってる。」


その隣に町もな。と付け加える。

皆はポカ~ンと口を開け時が止まったようにこっちを見ている。

ま、そうだよな。さらに俺は続ける。


「俺は元々レンジャー部隊だった。

 仕方ないとは言え銃を撃ち、人を殺したり、村を占領したり・・・

 そんな俺がレンジャーを辞めた後、母親が避難した国、祖父の家に行った時何に驚いたか判るか?

 それは何でもあるって事だった。

 戦場では、娯楽も食事も選べるほどあったわけじゃない。

 乾パンとラードだった食べ物は、今日は何食べたい?と聞かれるくらい豊富な種類になり

 トランプと女を買う事くらいしかなかった楽しみが、何処に行っても何か楽しめる状況になった。

 家だってそうだ、転々と移っていたのが定位置になり戻ればムズがいて家族がいる。

 あの国には幸せなんて腐るほどあった。それに甘えて腐る人間もいたがな・・・

 少し話が逸れたな。要は選べる幸福って事だ。

 死んでまで保守的になる事なんてない。もっと楽しもうや?

 そんな楽しめる場所を俺は提供したい。だからテーマパークだ。」


シンと静まり返る室内。

ガジガジという音に続くブチッという音。ん?ブチッ?


「い”っっで~~~~」


振り向くと寝ながら撫でていた触手を食べてるネコ一匹。

またこいつは・・・

千切れた触手を振っていると


「わかりましたよ、とんだ主人に飼われたもんだ。」


とムズがあきれ気味に言った。


「ぼく達も手伝いますよ。」


と目を輝かせブッチーが言い、その横でルーがうなずく。

ありがたい、賛同してくれるのは嬉しいものだな。

しらたまは弱点攻撃の刑だがな!

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