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死後世界触手譚  作者: 青風
猫村
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第14話     砕けた心 と 砕ける爪

「うそ・・・」


飛び散った俺を見てコウが膝をつく。

ルーも唖然としている。

しらたまは涙を流しながら声にならない声をあげ俺だった物をかき集める。


「何故・・・ですか・・・コタさん!」


ムズが叫ぶ。

コタと呼ばれたその影はスッと立ち上がり爪に付いた汚れを拭い取る。


「何故?人間は敵だからです。ましてモンスターなど悪でしかありません。あなたも騙されて居るんですよ。」

「センさんはオレの元主人です。悪なんかでは絶対にありません。」

「主人?まさか、前世の時の?珍しい事もあるものですね。ですが結論は変わりません。ムウズ様は騙されているんですよ。」

「騙されてなんか・・・いません。コタ前隊長。」

「ふむ・・・まだ判りませんか。ついでにそのエルフも始末しますかな」


呆然としているコウに向けてコタが走る。

それを遮るように爪を振り下ろすムズ。

ガギッと爪同士がぶつかる。

いつの間にかコウの横にはルーも身構えている。


「いいのですか?クロ様に反逆の意思ありと伝えても」

「結構です。主人を殺されて黙っているのは恥でしかない」

「そうですか、残念です。現役を退いたと言っても弱くなったわけではありませんよ?」

「判っています。色々聞いていますから・・・」


そう言って力任せにコタを弾き飛ばしコウとの間に立つ。


「ルー!しっかりコウさんを守っていろよ!」


そう言って両手に爪を付け体勢を整える。

ルーは強く頷く。


「ムウズ様、本気・・・のようですね」

「ああ、本気で行きます」


ムズが走る、コタは木に飛び上がり枝をバネにしてムズ目掛けて落下する。

爪を交差させて受け止めるが弾き飛ばされる。

木の幹にぶつかるように吹き飛んだが幹を壁に見立て三角飛びをしてコタに襲い掛かる。

コタが爪を受け止めるが受け止めきれず地面に膝を付く。

ムズはそのままコタに蹴り飛ばす。


「流石、現在の隊長ですね」

「そろそろ抵抗をやめて欲しいんですがね」

「その願いは叶いませんよ」

「だと思ってました」


コタが走る。

ムズが走る。

互いに力いっぱい爪を振るう

ガギョッという音と共に互いに後ろに仰け反るが構わず爪を振るい続ける。

避け、流し、受け止める。

二人が殴りあい続け避け切れずに出来たであろう擦り傷から血を流しながら殴りあう。

互いに必中も致命傷も受けていない。

二人の紙一重の連撃をルーは見つめる。


(これほど差があるのか・・・)


ルーは落胆する、自分はまだまだだと。

その強さに近づきたいと。

いつまでも続きそうだった互いの攻撃が突然終わる。

ムズが地に膝を付く。


「コタさん・・・あなたは・・・」

「痺れ毒です。爪に仕込んでたのですよ。あのモンスター用だったんですがね。必要ないみたいでしたが。」

「クッ・・・クソッ」


それ以上動けないムズが忌々しげに言葉を発する。


「終わりです。諦めなさい。」


爪を振り下ろす。がその爪は当たらない。


「がはっ!」


コタが吹き飛ぶ。横から魔法の光の直撃を受けて。

矢が飛んできた方向を見るとソレは居た。


「あ”~~~~~~~~~~~~~~~!」


ソレはもう一撃光を放つ。

何が起こったか判らず起き上がったコタに矢が迫りコタは爪でガードする


バギャッとコタの手が明後日の方向を向き爪が吹き飛ぶ


「これだから人間は信用できない・・・力を隠していたとは・・・」


その目の前にはコウのような何かがいた。

右目だけが真っ赤になり血の涙を流し、なによりその象徴的な一対の羽をはためかせていた。

その姿を確認したコタは悟る。これは勝てない。

そういう次元の話じゃない。そこからの行動は早かった。

一足飛びに木の枝に飛び移って逃げようとする。

出来なかった。

飛び上がろうとした瞬間羽が手のように形を変え光を放つ。

足を打ちぬかれ地面を滑っていく。

手と足をやられ起き上がる事も困難なようだ。

誰もがソレの発する威圧に声すらあげることを忘れ見入る。


「あ”あ”ア”ア”ぁ”あ”」


剣を振り上げそのまま振り下ろす。

地を抉りながら衝撃波がコタを襲う。

抵抗できずにさらに吹き飛ばされ木に叩き付けられる。

そのまま何度も剣を振り下ろす落ちる事を許されないコタは何度も木に叩きつけられ木の方が耐え切れずに折れる。


「むちゃくちゃニャ・・・」


しらたまが俺の破片を抱きしめながらそう呟いた。

少し短めですが、物語的にここで切った方がいいと思いそうしています。

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