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死後世界触手譚  作者: 青風
猫村
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第08話     焼いた魚 と 土産の魚

「ひどいニャ・・・」


鱗の形が残っている肌をさすりながらしらたまが呟く

まだ鱗化した触手の影響が残っているようだ。


「あれは怒られても仕方ないよ」


ブッチーがそう言って慰め、ルーが興味深そうにしらたまの鱗の形が残っている肌を見ている。

ギランの身を運んでいるので触りたいけど触れないみたいだ。


「けどそのおかげでわたし達成人完了じゃニャい?」

「そうだが先に言え。いきなりヌシ級と戦うとか意味わからんわ!」


そう言って触手を伸ばすとビクッとしてルーの後ろに隠れる。


「そういえばセンさん、あのギランの口に投げ入れたのって何です?」


そうブッチーが聞いてきた。


「ん?あれか?秘密兵器だ」

「秘密兵器?」

「ま、秘密ってほどでもないが。コレだ。」


そう言って少しボロっちくなったポシェットから木の実を取り出す。


「あれ?それって・・・」


コウは気づいたようだ。だがブッチー達には判らない様だ。


「コレはこの間見つけた木の実でな。コレを食うと痺れて動けなくなったんだ。

 俺には麻痺と毒の耐性があるんだがそれでも小1時間動けなくなったほどだ。

 なので普通の生物にしたらすごい麻痺作用があると思うぞ?」

「それはすごい!でもあれ?ギランが麻痺耐性持ってたらどうしたんですか?」

「その時はその時でコウにちょっと本気を出してもらう予定だった。

 ただ、本気を出したらギランでも跡形も残りそうに無いので朝食も成人も無しだな」

「え?コウさんってそんなに強いんですか?」

「うん。怒らせたら塵になるよ。」


だから怒らせるなよ?と言い含める、俺が機嫌取るために苦労するから。とは言わなかったが。

むっさ首を上下にコクコクとしてたので多分そんな事態にはならないだろうけど。


「まぁ、出来るだけ100%に近い勝算を持って挑みたいしな。

 木の実が効かなくても手傷は負うだろうが勝てるとは思ってたよ。

 ただ、俺は身内が傷つくのは嫌だ、だから出来るだけ傷つかない方法を選びたい。」

「なるほど、そうでしたか」


ブッチーは感心し頷き、しらたまは麻痺の実を興味深そうに掲げたり匂いを嗅いだりしているが、コウは何故か照れてた。

前世では肉親を失い、身内と呼べる仲間達も多く死んでいった。

ここが2回目だろうが転生だろうがなんだろうがそういう記憶を持ってる時点でこれ以上そういう目に会うのは嫌だ。

何の憂いも無く皆で楽しく暮らせればそれで良い。

そんな風に思いつつも口に出すのは恥ずかしいので考えるだけにとどめておく。


洞に戻ってから朝食として早速ギランを焼く事にする。

生でも行けるだろうが麻痺の実を使ったので一応火を通しておいたほうがいいだろう。

適当な大きさに切り分け塩だけで焼いてみた。

淡水魚なので塩のみの方がいいと思ったからである。

ネコ達は塩とか無いほうが良いのかと思ったがキルク村でもその食べ方が一般的らしい。

人型になっただけあって味が濃くても大丈夫なのか。

匂いは普通だ。というかかなり美味しそう


「それじゃぁ、手を合わせて!いただきます」

「「「「いただきます」」」」


かぶりつくと直に火で炙っていたためか香ばしさが鼻を抜け、脂の乗った身が口いっぱいに広がる

脂が乗っていると言っても川魚なのでさっぱりしていて味で言うと鮎の肉を少し弾力あるようにした感じだ。


「「「「「ん~~~っ♪」」」」」


一斉に感激の声にならない声を上げる。

言葉が出ない。久々の肉だ!生きててよかった~と思う瞬間である。

コウもコクコクと頷き少しずつしかし確実に味わって食べているようだ。


「うまい!いけるな!」

「ですね!今まで食べたギランよりも美味しい!」

「本当に、美味い・・・」


ルーがそう言って目を輝かせている。ルーをデレさせるとはやるなギラン!

しらたまは一心不乱に食べているわりにきれいに食べている。

案外いい所のお嬢様なのかもな。バカだけど。


「今までもギランを食ってたんだろ?」

「はい、ですが大きくなるほど味が円熟して美味しくなるらしいので」

「なるほど、ヌシ級だからって事か」

「だと思います。持って帰って母さんや妹達に食べさせてあげたいな」


親兄弟がいるのか。考えてみれば当たり前だが死後の世界と聞いてそんな感覚が無かったな。


「よし、ちょっと食った方だがこの半身はお前達で分ければいい。こっち側は俺達がもらってキルク村への手土産にしようと思う」

「え?いいのかニャ?」


しらたまがビックリして聞きなおしてくる。


「同じ釜の飯を食ったんだ。お前らも身内みたいなものだ。身内の親は俺の親だ。」

「ありがとニャ~♪」


そう言って俺に飛びつくしらたま。

ルーも目を輝かせブッチーも感謝の言葉を口にする。

コウがしらたまを俺から引き剥がし何か言い争っているが微笑ましい事だ。


そうして食事を終わらせ村へ向う準備をする。

といっても朝に用意したのでポシェットを付け替えるだけだが。

皆も思い思いの用意を手早く済ます。

俺はコウに抱き上げられ準備万端アイに言ってマッピングも片隅に表示してある。


道中は平穏に思ったよりもすんなりキルク村に到着した。

距離にして3km位か?森の中と言っても平坦な場所が多く歩き易い為時間も掛からなかった。

結構遠くからでも判る位の壁が見えてきた。

キルク村は俺が想像していたよりも大きいようだ。

村の周囲を囲むであろう壁も土と木を使って5mくらいの高さがある。

壁の上に弓兵が数名歩いている。


「へぇ、こりゃ村というより町だな」


衛兵(見た限り雑種)は俺達を見つけると駆け寄ってきて緊張しつつも言葉を発する


「セン様、コウ様ですね!少しお待ちください!ムウズ警備隊長を呼んできますので!」


そう言われキルク村の門の外で待つ事に。

まぁ、モンスターだし警戒されても当然かな。

しかし、兵士の錬度も結構良いようだな。

この3人が特別なだけか?いあよく考えるとしらたまが全てを台無しにしてる気が・・・

兵になってないとこんなものなのかもな。

あまり時間を置かずに


「待たせてしまいましたか?」


とムウズとジーが出てきた。


「いあそんなに待ってないよ。言った通り来たよ~」


コウから飛び降り軽く返す俺。コウは軽くお辞儀する。


「あれ?前見た時と姿が変わってませんか?」

「ん?あぁ、ちょろっと進化したから」

「え?進化・・・するんですか?」

「うん、するっぽいよ?俺特別だし。あ、これ土産ね半分だけだけど。」


そう言ってブッチーとルーが持っていたギランの身を触手で指す。

ムウズは目を見開きその身を見る


「こ、これは、大物ですね」

「ヌシ級らしいから」

「え?ヌシ級ですか?本当に?」


ジーも唖然として固まっているようだ。

門番だった兵士も気にはなっていたようだがヌシ級と聞いて驚いている


「この3人が倒したから。俺らも少しは手伝ったけどね。なんでも成人するのに必要らしいやん?」

「え、ええ・・・本当は1人で1匹倒さないといけないのですがそれは中級までの話ですしね」

「長老達に聞いてみないと判りませんがヌシ級なら数人での討伐も認められると思います」

「そうかそうか、よかった。」


これで成人出来なかったらあいつら泣くだろうな。と思っていたので一安心だ。


「とりあえず、ようこそ!キルク村へ!」


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