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死後世界触手譚  作者: 青風
国家誕生
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第101話     腐った国 と 人攫い

(主殿、何故コウ殿を連れてこなかったのですか?)


空を移動中にグラニがセンに念話で話しかける。


「ん~?まぁコウとはずっと一緒に居るからな、子離れじゃないが少し位離れてもいいんじゃね?」

(主殿、コウ殿は・・・)

「皆まで言わなくても判ってる、まぁ今回はすぐに戻るんだし心配するな。」

(・・・それならいいのですが。)


センはグラニのタテガミにもたれ掛かり眼を瞑る。

言われた通りキッチリ20日後ラクシューンにが見えてきた。


「流石に20日は尻が痛くなるな、グラニもご苦労だった。」

(礼など不要です、主殿の役に立つ事こそ我が喜び。)

「多分、すぐ済むだろうが休んでおいてくれ。」

(御意!)

「ルー、居るんだろ?」


センがそう言うとセンの影からルーが出てくる。

ルーはセンの影の中に入り一緒にここまで来たのだった。


「明後日の朝にそっちに合流する。」

「・・・はい。」


作戦の為にルーは目的の村へと走り出した。

センは帝国の時に喰っておいたトリ型に変身して街を散策する。

この街は一言で言うとスラムだ、普通にモンスター形態でも捕まる事は無さそうだ。

そう思っていると目の前をコソコソとゴブリンが通り過ぎて行った。


この国も他の国と同様に街に内側に壁が建っていた、がその壁は他の国と違い高く強固に造られていた。

そしてその高い壁の上には等間隔に兵が配置され外を睨んでいる。

と言っても、外にモンスターが居ようが気にしている様子は無い。

夜になるのを待ってセンは変身を解き上空から壁の内側を覗く。


そこは別世界だった。

外見的種族としての統一性は無く壁の外側では見ないような酒を湯水のように浴びながら偉そうに高笑いをする男達。

絹のような布の派手な衣装に派手な宝石を身に着けた女。

壁の外に有る家の10戸分以上の敷地に建ち並ぶ豪華な家。


壁の上には完全武装の兵士達、見た所ただの武具ではなく魔法武具のようだ。

その兵士達は時折壁の外側の下へ向けて弓を放つ。

壁の外側の下には壁の内側へ入ろうとした奴の成れの果てが転がっている。

それは埋葬される事も無く兵士の弓の的になっていた。


(なるほど、搾り取るだけ搾り取って自分達は美味しい思いをし、その不満が爆発しない為の差別村か。そのままだな。)


生前見たどこぞの大国を頭に浮かべながらセンは偵察を終える。


「主殿、いかがでしたか?」

「あぁ、胸糞悪いほど最悪だったよ。」

「ではこのまま攻め入りますか?」

「いや、外側は俺等だけでもいけるだろうが、内側までとなるときついかもな。

 それに事後処理もあるからな、ムズかアブドラにでも任すわ。」

「そうですか、ではこれからルーの元へ?」

「そうだな。」


グラニに飛び乗りアメーリアを匿った村へと走らせた。

合流の時刻になり、ルーが俺の影から現れる。


「首尾はどうだ?」

「・・・問題ない。」

「OKOK、流石ルーだな。」


そう言って触手で頭を撫でてやる。

顔はそっぽを向いているが尻尾がピクピクとしているので嬉しがっているようだ。


「それじゃ戻るか。」


そう言うとルーが下級デーモンを1匹影から出した。

そしてルーは懐から魔法陣のプレートを出して魔力を込める。

エクレラントへの転移陣である。


「どうぞ。」

「ありがとよ。それと、スマンな。」


ルーに礼を言った後、下級デーモンに陣を頼んで戻る事を詫びる。

下級デーモンは「滅相も無いです。」と手を振り頭を下げる。

陣に乗って一気にエクレラントへと戻った。


転送されたセンは兵舎へと出る。


「せ、セン殿・・・」

「お、おい・・・」


ジーの部下である兵士達がセンを見て固まる。


「ご苦労、ご苦労」


と手を振って家に帰宅する。


(そりゃ、いきなり国の偉いさんが現れたら固まるわ。)


家に到着すると有る筈の出迎えが無かった。


「コウ?まさか1人で行ったの怒ってるのかな?」


家を散策するがコウは居なかった。


(シラタマの所でも行ってるのだろう。)


と考え、座布団を引っ張り出し縁側で溶けようとしたらムズから念話が届いた。


(兄ちゃん!今何処!?)

(家だが?ムズ丁度いいコウ知らんか?)

(兄ちゃん、落ち着いて聞いてね。)

(ん?)


言い知れぬ不安を覚え浮き上がる。


(コウさんが攫われた。)

(・・・は?)

(コウさんが攫われたんだよ!)

(いやいや、ムズ嘘付くなよ。)

(・・・本当だよ。)


そのままもう一度家の中を飛び回りコウを探がやはり居ない。

そこへ、ムズとアブドラとアービーが申し訳無さそうに入ってくる。


「おい・・・コウが・・・居ないんだが・・・?」

「兄ちゃん・・・だからコウさんは・・」

「うるせぇ!そんな筈無いだろ!コウだぞ!?」


センはムズの言葉を遮り言葉を荒げる。

するととなりのアブドラがいきなり土下座をする。


「すみませんでした!私が目を離した隙に賊が・・・。」

「すまねぇ旦那・・・」

「どう言う事だ・・・説明しろ・・・」


ムズが申し訳無さそうにしながら話し始める。


「3日ほど前にエクレラントに賊が入り込んだんだ。」

「そこからは私が・・・」


アブドラが1歩前に出て話し始めた。


「アイさんの探知とムズさんの報告で、私とアービーがカツ殿の居る工場地帯に入り込んだ敵を殲滅すべく向かいました。

 その賊は無事撃退できたのですが・・・実は小隊規模の別働隊が入り込んでいたようでして、そいつらは魔法に長けた者達のようで魔力探知では探知出来ず遅れを取りました。

 そして、どうして知ったのかセン様の家を襲いそこに居たコウ殿を攫ったのです。」

「・・・それは確定情報なのか?」


話を聞いている内に冷静になってくる、元軍人だからなのかモンスターになったからか判らんが急速に頭が冷やされて行くのが判った。


「はい、家の裏手で戦闘をした形跡があり、数名の負傷者を捕らえています。」

「敵国の名前及び目的は?」

「敵国の名はハーメラル、目的はこのエクレラントを従える事だったようです。」

「別働隊と言ったな?カツの方に現れた奴は?」

「追い詰めた時に自決しました。

 ですので国の名前までは判りませんでしたが、目的はハッキリしています、我が国の戦闘用バイクを盗みに来たようです。」

「ヴィンダーンとマルディを5分後に会議所に連れて来い。」

「ハッ!」

「あいよ!」


アブドラとアービーは返事をしてそれぞれ走り去る。


「ムズ、来い。」

「・・・はい」


センとムズが会議所に付くと同時にアブドラとヴィンダーン、アービーとマルディが息を切らせながら到着した。


「とにかく中で話そうか。」


そう言って、会議所の扉を開いた。

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