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死後世界触手譚  作者: 青風
国家誕生
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第100話     ダイダロス と ハーメラル(後)

魔法と精霊の国ハーメラル。

1人の魔導師が小さな村を救いその噂を聞きつけた小さな村々が集まり出来た国。

魔導師は村々の素質ある若者に魔法を教え栄えていき今では魔法大国として知られている。

この国の王はハーメラル家の中で魔力の最も強い者が代々治めている。

だが、この魔法大国もダイダロスからの度重なる侵攻は抑えきれずに居た。


「何故だ!あんな鉄の塊に何故負ける!」


現国王ハーメラル11世が声を荒げ臣下を怒鳴りつける。


「王よ、しかしながら制空権を確保している現状ただの負け続きというわけでもありますまい?」


臣下の1人がハーメラルを宥めるかのように告げた。

ハーメラルは怒りを抑え、椅子の背もたれに体重を預ける。


「マクシム、制空権を取っているというのなら戦果を見せよ!此度も良いように領土を削り取られたではないか!」

「ですが王よ、どんなに侵攻されたとしてもこの首都カルヴァーンには手出しできますまい?」

「首都以外全てをくれてやるつもりか?」

「・・・・」


臣下達は重い空気に包まれる。

ハーメラルは机に肘を突き、臣下の一人に話しかけた。


「陣の生成はどうなっている?」

「はい・・・未だ40%と言った所でしょうか・・・」

「急がせろ。」

「承知しました。」


ハーメラルが辺りを見回す。

度重なる敗戦に臣下達も消沈している。


「何か切欠があればいいのだが・・・」


その言葉を聴き、1人の臣下が口を開く。


「王様、未確認情報なのですが、前に外交を求めてきた帝国が滅んだとの報があります。

 その滅ぼした相手と同盟を組めば戦況を覆せるかもしれません。」


その男はヴィクトル、外交を任されいた男である。

独自に色々な国へ諜報員を派遣し情報を集めている男である。


「あの奴隷を売りつけに来た国か、あそこは国として末期だったな・・・反乱では無いのか?」

「だとしても、数万の兵を抱える国を滅ぼせる力があると言う事、組んで損は無いかと。」

「ふむ・・・すぐに詳細を調べろ、いくつかプランを考えておく。」


翌日、ヴィクトルから連絡を受け個室に移動する。


「で、どうだ?詳細はわかったか?」

「はい王様、ですが・・・滅ぼしたのは魔王と見慣れぬ部隊だそうです。」

「ま・・・魔王だと!それでは手を組むなど無理では無いか!」

「はい、しかし真に滅ぼしたのは見慣れぬ部隊だったそうです。」

「なに?どう言う事だ?」

「魔王軍は陽動として動いていたようです。」

「魔王が囮・・・だと?」

「はい王様」

「その見慣れぬ部隊というのは何処の国の者だ?」

「判りません、ただかなり高度な魔法陣を用いていたようです。」

「高度?エルフでは無いのか?」

「基本はエルフの物に似ているそうですが、報告では見た事も無い物で読み解く事が出来なかったそうです。」

「そんな、魔法大国がここやエルフを除いてあると言う事か?」

「そのようです。」

「フハハハッ!よくやった!何としてもその国を見つけ出し協力させよ!」

「素直に従うでしょうか?」

「’させよ’と言ったぞ?」

「承知しました。」

「くれぐれも魔王に察知されるなよ?」

「勿論でございます。」


ヴィクトルが退室しハーメラルはしばし考える。


(魔王を囮に出来、高度な魔法陣の技術を持つ国か・・・是が非にでも協力してもらわねばな・・・

 上手く行けば魔法技術も数段進歩するだろう、運が回ってきたな。)


ハーメラルは悪そうな笑みを浮かべながらこれからのプランを考える。

ヴィクトルは自分の執務室に戻り部下を呼ぶ。


「お呼びですか?ヴィクトル様」

「ハーメラル様から直々のご使命だ、直ちにヨハンの小隊にて帝国を倒したという国の調査をさせ国が判明し、次第その国を我等に協力させよ。」

「協力・・・ですか?」

「そうだ、どんな事をしても良い。

 素直に協力させよ。」

「判りました。」


 ◆


保護したアラクネのアメーリアから話を聞いたチビとトムはセンに報告すべく会議室に出向いていた。


「チビ、トム、ご苦労だったな。」

「良いですよ、貴方がここエクレラントの代表なんだ、今は従いますよ。」

(今は、か。)

「まったく、あんな時間から交渉の席に付かされるとはな。」


トムが不満を口にしつつテーブルに肘を突く。


「アメーリアは?」

「今は客宿で寝ています。」

「そうか、それで話というのは?そっちでは処理しきれないと言う事なのか?」

「そうですな、これは極めてデリケートな問題です。

 選択を間違えると戦争する事になるかもしれません。」

「マジデか、嫌だなぁ・・・そうだ!ムズ・・・」

「セン殿が代表だと先ほど言いましたが?」


ムズに丸投げしようとしたらチビに先手を打たれてしまった。


「ムズも大変だな。」


トムがポツリと呟く。

チラチラとこちらを伺っているのを見るとワザと聞こえるように嫌味を言ったのだろう。


「トム、お前とモミジの仲を取り持ってやろうと思ってたのになぁ~」

「なっ!それとこれは関係ないだろ!」


トムが立ち上がり講義する。

仲を取り持つとか言ったが別段俺もモミジと仲が良い訳じゃないんだけどな。

トムがモミジに何度かプレゼントを渡しているのを報告で受けていたのでカマをかけてみたのもあるが・・・

流石擬人、嘘のつけない体質というのはツンデレでも同じようだ。

まぁ、今のは嫌味を言われたお返しなんだがな。


「それでチビ、デリケートってどんな事なんだ?」

「ここエクレラントからグラニ殿で西へ20日と言った所でしょうか。

 山を越えて更に西へ行った所に1つの国があります、名をラクシューンと言いまして・・・」

「あ~なんとな~~~~く判った。」

「それだけでお解かりに?」

「あ、いや続けてくれ。」

「ラクシューンの周りの村々が取り込まれ、かなり大きな国なのですが、搾取されるばかりらしく貧困に喘いでいるそうです。

 アメーリアが小さい頃、匿って貰った村というのもその1つですが、アメーリアを匿っていた事がバレて、現在は差別を受け罪人ばかりが集められた村になっているようです。

 そして、その村はラクシューンの民の不満の捌け口とされているようです。」

「・・・その村を助けて欲しい、と。」

「そのようです。」

(死んでも民族性ってのは変わらんなぁ~)


でもどうすっか、潰すのは楽そうだが、体質を変えるのはかなり骨が折れそうだなぁ・・・

帝国のように民主主義にすればなんとかなるか?


「OK考えておこう、アメーリアにはお前達から「心配するな。」と伝えておいてくれ。」

「わかりました。」


チビとトムが退室してから念話をする。


(ルー、居るか?)

「・・・ここに居る。」


真後ろから声が聞こえて焦る。


「そこかよ!まぁいい・・・話し聞いてただろ?」

「うん。」

「そこの村人全員攫って来い。」

「・・・全員?攫う?」

「そそ、夜のうちに全員を攫うんだ。」

「わかった。」

「さてと、俺は俺で動くか。」

「センさんは何を?」

「そのラクシューンって国をちょっと見ておこうと思ってな。」

「わかった。」


家に戻り用意を済ませる。


「そういうわけで、ちょっくら偵察に行って来るわ。」

「では私も、」

「いや、今回はすぐ戻る、戦闘なんかも無いし待っててくれればいいよ。」

「・・・わかりました。」


渋々という表情でコウが残る事を承諾してくれた。

念話でグラニを呼び出発する。

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