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死後世界触手譚  作者: 青風
国家誕生
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第99話     ダイダロス と ハーメラル(前)

鉄と油の国ダイダロス

ここは日夜戦争に明け暮れていた。

街中央の大通りは今日も凱旋パレードが催されていた。

ここの先代の王が油田を掘り当ててからというもの、急速に発展した国だ、と言っても数百年掛かっているが。


ガソリン、石油などを始め、様々な油を使った技術屋達が集まって来ており、街中では自動車なども走っている。

その技術の粋を集めた戦車師団がダイダロスの主力である。

その戦車を作った者達は更に性能を上げる為に、今日も会議を繰り広げていた。


「いつになったら戦闘機が完成するんだ?」


ダイダロスの王、メイソンが苛立たしげに技術屋達を見る。


「航空機というのは、かなり精密な物で、コンピューターや演算機が出来ない限り無理でして・・・」


技術屋達は恐縮した面持ちで王に進言する。


「それは前から聞いておる、それを何とかするのがお前達技術屋だろうが。

 無いなら作ればいいだろう?」

「発電技術が確立しない事には・・・」


問答が続いている中、1人の男が口を開く。


「我が国には無敵の戦車師団があるので心配ないのでは?

 この所、ハーメラルには連戦連勝、向かう所敵無しと聞いておりますが?」


ダイダロスとハーメラルは長年戦争をしていた。

戦争の発端はダイダロスの成長速度を恐れたハーメラルとも、ハーメラルの豊かな土地を奪おうとしたダイダロスとも言われているが、数世代前の事など今は誰も知る由が無かった。



「オリバー、そのハーメラルの魔法使い共が、空からの攻撃にはこちらも手を焼いている、とも聞いてるぞ?」

「王よ、私達の造り上げた戦車はあんな攻撃でやられるほど柔ではありません。」


いつもの言葉にいつもの返し。

そうして今日の会議も終了する。

控え室に戻ったメイソンが文官から報告を受ける。


「何?帝国が戦争を始めただと?」

「はい、詳細はまだ届いておりませんが、クーデターとも魔王に攻められたとも言われております。」

「あそこは魔物を奴隷にしたり他国に売ったりして発展している国だったな?」

「そうです、その為魔王の怒りを買ったかと・・・」

「詳細はいつ届く?」

「数日中には、何分距離がありますので。」

「何か判ったら報告しろ。」

「はっ。」


文官が下がり水で口を湿らせる。


(しかし、帝国も魔王と戦争などと無謀な事をする。

 奴隷などと時代錯誤な事を言って居るからそういう目に合うのだ。

 奴隷が欲しいなら奴隷に代わる手足を造ればいい。

 前世で何を学んできたのやら・・・。

 ハーメラルの奴等も同様だ、魔法などという非効率な物に頼りよって。

 生身で戦うなど愚の骨頂、兵器こそが抑止力、力なのだよ。)


数日後、文官から物見が戻ったと連絡を受け、謁見の間へと急ぐ。

謁見の間に入ると1人の獣人の兵士が頭を下げて待っていた。


「報告せよ。」


メイソンが座って落ち着いたのを確認して文官が兵士に対し命令する。


「ハッ!今回、帝国は魔王軍と戦争し敗退。

 しかし魔王軍は占領せずに奴隷を解放した後何処かへと去りました。」

「ふむ、帝国はどのように戦い、どのように負けたのだ?」

「それが・・・帝国は殆ど戦っておりません。」

「どう言う事だ?」

「一方的な蹂躙とでも言いましょうか・・・」

「馬鹿な・・・!」


メイソンは立ち上がり声を荒げる。


「そこまでの戦力差が有ったとでもいうのか!?」


メイソンの声に身を縮ませながらも報告を続ける獣人。


「いえ、むしろ魔王軍の方がかなり少ないように思われました。」

「なん・・だと・・」


ドカッと腰を玉座に落す。


「ただ・・・」

「・・・どうした?これ以上驚く事は無い、言ってみよ。」

「ハッ、後から町の人間に聞いた所、魔王軍とは別の部隊も居たらしく、その部隊は戦車のような物を使って城壁を粉砕したとか・・・」

「どう言う事だ!」


メイソンはまたも立ち上がり声を荒げた。


「我が国独自の技術だぞ?それが漏れたとでも言うのか!?」

「そこまでは・・・」

「お前達は全力を持って魔王と共にした部隊を徹底的に探し出せ!」

「ハッ!」


獣人の兵士が下がり文官が近づいて来る。


「どう思われますか?」

「今はまだ判らん、だが我が国の技術を上回るようなら潰さねばなるまい。」

「ですが王様、魔王と同調している場合厄介な事になりますが・・・」

「我が国の技術はこの世界では右に出る物はいないと自負している。

 魔王軍とて所詮は人の集まり、人が兵器に敵う道理はない。」

「それはそうですが・・・」


メイソンは内心焦っていた。


(情報が漏れた?いや、ありえん。

 ならば独自の技術という事か?それならば早急に見つけて取り込むなり潰すなりしないと。

 我が国は1番で居続けなければいけない。)


ふと1人の男が頭に浮かぶ。


「おい、ジョニーを呼べ。」


横の文官が訝しげな顔をする。


「ジョニーですか?」

「そうだ。」

「あ奴をお使いに?」

「そうだ、死んでも良い奴でこの任務をこなせそうな奴はアレしかおらんだろ?」

「そう言う事でしたら・・・」


暫くするとロングのコートを着込んだ男が謁見の間に現れた。

場違いな服装に回りが顔を顰める中、平然と男が王の前まで歩くがひれ伏す事はしない。


「王の御前だぞ!」


1人の文官が男を怒鳴りつける。


「よい。」


メイソンは手でそれを制して男に話しかける。


「ジョニー、お前に至急調べてもらいたい事がある。」

「クククッ・・・俺様を使わねぇといけねぇとかよっぽどの事なんだな。

 いいぜ?何でもやってやるよ、但し金はたんまり貰うがな。」

「最近、帝国が潰されたらしくてな。」

「あぁ、知ってるぜ。」

「何!?何処の誰か知ってるのか!」

「いや、そこまでは調べてねぇよ、金にならん事はしないんでな。」

「そうか・・・それで調べた所、魔王が絡んでいるらしくてな。

 何処かの誰かがその魔王と同調してやったらしいのだ。」

「・・・その片割れを調べるのか?それとも仕留めるのか?」

「まあ待て、その同調した部隊だが、戦車らしき物を持っているようでな、それを調達して欲しい。」

「そんな酔狂な物を造る奴があんた以外に居たとはな。・・・いいぜ。」

「犠牲はどれだけ払っても構わん。」

「俺様が動けば嫌でもそうなるぜ?」

「だからお前に頼んでるのだ。」

「ククッ・・・だろうな。」


男は不気味に笑いながら王に背を向けて出て行く。


「あの男・・・王の御前だというのに。」

「だが、与えた任務は全てこなしている。

 それに、捕まろうが死のうがこちらとの繋がりを知られることは無いしな。」



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