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死後世界触手譚  作者: 青風
国家誕生
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第102話     国家声明 と 作戦開始

席についた時、つい癖でお茶を持とうとしたが無い事に気づく。

コウはいつも俺が言う前に入れてくれてたのだが、居ない事を嫌でも思い知らされる。


「クソッ・・・ヴィンダーン、工場地帯に現れた奴はお前等ドワーフ国の差し金か?」

「そんなわけあるかい!」

「だろうな。・・・じゃぁ聞くがドワーフ国以外で兵器を欲しがるような国は有るか?」

「兵器を欲しがるような国・・・か、そうじゃないくつか思い浮かぶが・・・」

「ハーメラル、という国が関係してるかも知れん。」

「ハーメラルじゃと!?」「ハーメラルだって!?」


ヴィンダーンとマルディが同時に声を上げる。


「知ってるのか?」


2人に問いただすような目を向けるとマルディが教えてくれた。


「かの国は魔法大国として知られる国で、我がエルフと同等の魔法技術を有しているかもしれないほどですが・・・どうしてそのハーメラルなんですか?」

「その国がコウを攫った。」

「なんじゃと!?」「なんだって!?」


またしても二人が驚く。

本当に知らないようだ。


「知らなかったのか?」


そう言ってアブドラを見る。


「機密は守られるべきだと思いまして・・・」

「良い心がけだ。」


そういって恐縮するアブドラを褒める。


「しかし、ハーメラルか・・・となるとダイダロスかも知れんのぉ・・・」


長い髭を撫でながらヴィンダーンが口を開いた。


「ダイダロス?」

「そうじゃ、長年ハーメラルと戦争をしている国でな、あそこはハーメラルとは逆に技術大国でな、今じゃ生前の戦車を完成させた国として知られる。

 歴史は浅いが技術だけなら一級品じゃよ、ドワーフの若い奴等もいくらか流れておるはずじゃ。

 その二つの国は近い、じゃからセンが帝国を倒したという報を両方が受けるのも同じ位になるじゃろうし、利用しようとも思うじゃろな。」

(そういう事なら従えと事と言った辻褄も合う・・・か。)

「ですが、ハーメラルにはエルフも多く居ます、コウ様を攫うなど・・・」

「だが事実だ、コウと争って負傷した者を捕らえても居る。」


マルディは信じられないといった表情だ。


「コウはどちらかと言えば魔法タイプだからな、魔法を使えなくするような道具があるならコウを捕まえる事ができるかも知れん。」

「確かに、そう言った物が無いわけではないですが・・・それよりも本国に連絡してコウ様の救出隊を編成してもらいます。」

「それは要らん。」

「え?」

「コウは俺1人で助ける。」

「!兄ちゃん!」

「セン様!」


俺の言葉にムズとアブドラが立ち上がる。


「この世界に来る時コウに「俺が守る!」と言ったんだ、俺以外の誰にもやらせんよ。」

「まさか少佐・・・」

「そのまさかだよ、少尉。」


軍人の顔に戻ったアブドラに合わせて軍人の顔で答える。


「それなら我々は足手纏いにしかならないでしょうね。」

「そう言う事だ、それにお前達にはやってもらう事がある。」

「イエス・サー!」


アブドラが踵を揃え敬礼する。


「そうそうムズ、ジーはどうせ後を追っているのだろう?」

「うん、そうだけど・・・」

「アブドラ、途中でジーと合流しろ。」

「イエス・サー!」

「カツに頼んでおいたモノも出来てる頃だろう?」

「数は少ないですが出来ております。サー!」

「そうか、いくつだ?」

「20機と聞いております!サー!」

「OK、上等だボードワン少尉。

 20機という事は小隊を組めるな。」

「イエス・サー!」


俺は立ち上がり大仰に宣言する。


「その20機を用いてダイダロスとか言う犬っころの咽笛を掻き切って来い!

 自分がどれだけ矮小な存在かを教えてやれ!

 自分が矮小だと思い知らす為に’頭’は残しておいてやれよ?」

「イエス・サー!」

「そうだな・・・ヒトキューマルマル(19:00)よりオペレーション・メテオールを発動する!」


会議所に備え付けられた時計を見ながら命令を出す。


「イエス・サー!」


アブドラが飛び出していった後、残ったムズとヴィンダーンとマルディを見る。


「ムズはこの国の警戒レベルを最大限引き上げておけ、魔力探知だけに頼らず目視での警戒を厳にな。」

「はい!」


ムズが走って退室していった。


「さて、ヴィンダーン、マルディ」

「なんじゃ?」「なんでしょう?」

「2人の母国はどっちの肩を持つんだ?」

「本国は判らんが・・・ワシ個人としてはエクレラントを支持したいのぉ・・・」

「私もそうです、ですが私の場合は本国に聞いたとしても同じ答えだと確信できますが。」

「そうか、なら2人は本国へ連絡しその旨を伝えると同時に国外へ向けて「エクレラント連合国を支持する」という声明を発表してくれるように言ってくれるか?」

「わかった。」「はい!」


2人が慌てて退室し、センが1人になった室内でテーブルに肘を突く。


「コウ・・・必ず助ける。」


目を瞑りながらポツリと呟いた後、勢いよく立ち上がり会議所を後にした。

センはその足でカツの所へと向かう。


「カツ」

「あっ!あんちゃん!」


カツもコウが攫われたのを知っていたのだろう、俺を見た途端飛んでくる。


「姉ちゃんは・・・」

「心配ない、俺が助ける。」

「大丈夫・・・だよね?」

「当たり前だ、それより長距離ライフルを1つくれんか?」

「試作型の超長距離用のライフルがあるけど・・・」

「けど?」

「威力を維持しようとしたら魔力を食い過ぎるんだ・・・」

「ふむ、それでいい。スコープは?」

「8から32767までいけるよ、勿論魔力を使うぜ?」

「OK判った。」


カツが出してきたライフルは常軌を逸していた。

砲身は着脱式で3m近くあり、およそ人が使う為の銃ではなかった。

こんなのアムドゥスにあげたら何時何処で狙撃されるか判ったものじゃない。

あぁそう言えばアムドゥスにはまだ言ってなかったな・・・。


「またアメリカンな銃だなぁ・・・大きければ大きい程正義ってか?」

「あはは、そんな感じだね、人を度外視した設計だから、いくらあんちゃんだからって扱えるかは保障できないぜ?」

「判った、ありがとな。」

「良いって、それより絶対姉ちゃん助けてきてくれよ!」

「ああ。」


銃を受け取りカツの工場を後にして一度家に戻る。


「サレオ、居るか?」


流石に居ないだろうと思いながら言ってみたら・・・居た。


「セン殿、どうしました?」

「お前は忍者かなんかか?」

「いやだなー違いますよ。」

「そんなお前なら、今のこの国の状況判ってるか?」

「・・・ある程度は判っているつもりです。」

「それはアムドゥス知ってる?」

「何が起こってるかまでは判らないと思います。」

「そか・・・アムドゥス呼んでもらっても良いか?」

「何、どうしたの?」


いきなり後ろで声がして振り向くとアムドゥスが居た。

お前も忍者かよ!と思いながらも今までの経緯を話す。


ぐふぅっ!


いきなりアムドゥスにボディーブローを食らった・・・。

腹を押さえうずくまりながらもアムドゥスに謝る。


「す・・・まない。」

「私に謝って貰っても意味無いわよ!」


アムドゥスは見下ろす形で腕を組む。


「おっしゃ・・・る・・・通りで・・・ゲフッ・・・」

「もしあの子が傷物にでもされてたら・・・楽に死ねると思わない事ね。」


今まで感じた事のない本気の殺意を感じた。


「ああ・・・判ってる・・・」

「わかって無いわよ!」


がはっ!


俺の頬にアムドゥスの蹴りが入り庭方向へ飛んで行く。

アイキャンフライなどと言う暇は無かった。


「貴方は!」


いつ移動したのか飛んだ先の庭でアムドゥスが俺を蹴り上げる。

意識を保っているのがやっとな衝撃を体に受けつつ急上昇していく。

急上昇した俺を待っていたのはやはりアムドゥスだった。


「あの子の!」


バレーボールよろしく、俺の体をボールに見立てスパイクする。

今度は俺の体が急降下していくのを感じる・・・このまま地面に激突したらかなり大きなクレーターが出来るだろう。

だが、意識が薄れて始めてきた為どうする事も出来ない。

しかし、そこで待ち受けていたのはサレオだった。

この街に被害が出ないように受け止めたのだろう。

サレオは俺を受け止めるがサレをは俺を掌の上に乗せアムドゥスに献上するように捧げる。


(マジカ・・・まだ続くのか)


薄れ行く意識の中、抵抗できずにそんな言葉が頭に浮かぶ。

そこへアムドゥスが現れ見事な正拳突きを俺にする。


「気持ちを判っているの!?」


と叫び正拳を突き出すと同時に俺の体が半分無くなった。

一気に意識を刈り取られた。

気を失う瞬間、怒りの為に肩で息をするアムドゥスが見えた。

ハッと気づくとサレオが俺を治療していた。

アムドゥスがまだ肩で息をしている所を見ると時間は殆ど経っていないようだ。

サレオに触手をあげて合図して浮き上がる。


「すまん。」

「早く行きなさい、この街はモモのついでに守ってあげるから。」

「ありがとな。」


触手でアムドゥスの頭を撫でて家に戻る。

人型に変身して前にニルルに作っておいてもらった戦闘服を着用する。

そして作戦開始の時間になりアブドラの元へ行くと部隊を整えたアブドラが俺を見て敬礼する。


整列した部隊を見回す。

それは進化した戦闘バイク・・・いや、戦闘機である。

高度はそこまで高く飛べないが精々地面から100と言った所だろう。

だが、事戦闘において、上から攻撃する有利と言うのを嫌というほど理解していた俺は、前々からカツにバイクの進化を頼んでおいたのだ。

その結果がこれである。


今までのバイクに羽が生えたような形になっていて、羽の所にも1人座る事が出来る。

1機で3人搭乗可能になっていた。

前面に魔法機銃が1基設置されており3人の魔法力を合わせて撃つと結構な威力の魔法弾が発射できる。

ただ、この羽に乗っている2人が居なくても機銃を撃つことが可能だ。

それ相応の魔力を使うが、そこはアブドラが精鋭を集め育てたらしく、少々の時間ならば大丈夫らしい。


「見事だ。」


これならば戦車が相手でも大丈夫だろう。

敬礼している皆を前にして「休め」と手で合図する。

ザッ!という音と共に皆が休めのポーズを取る。


「我等エクレラントの勇敢なる同志諸君!

 私は今、怒りに満ち満ちている!

 我等が国土を汚し、その力を奪わんとする者が現れた!

 諸君はそれを許せるのか!」

「「「「「ノー・サー!」」」」」


60名の兵が一斉に声を上げる。


「そうだろう・・・私もそうだ!

 あまつさえ、それに乗じて我等同胞を攫った者まで居る!

 我等は小国だからと侮られているのだ!

 許せるか!?」

「「「「「ノー・サー!」」」」」


私情を挟まないようコウではなく同胞という言葉をあえて使い兵の感情を揺さぶる。


「我々は示さねばならない!

 どちらが弱者なのかを!

 我々を侮った無知なる者達へ、レクイエムを聞かせてやれ!」

「「「「「イエス・サー!」」」」」


「現時刻を持ってオペレーション・メテオール発動!」

切りの良い所まで行きたかったので長くなってしまいました。

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