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第八章 至高の守護よ青になれ

***




――いつまで、持つだろうか。


「アズ、ロ…」


まぶしくて、何も見えない。

ただ、自分たちが力導器機の導力をそれぞれの身体を媒体に、空に流せていることだけは、判っていた。


「シェーナさ…」


意識が、途切れてしまいそうだ。

力導器機には、まだ余力がある。

もう少し、持ちこたえなければ。


「ごめ…」


シェーナの声が小さくなりかけた、その時。


「――クリシュナ!」


アズロらしからぬアズロの声と腕が、シェーナの身体を支えた。

片腕を直接機体中央に。

もう片腕で、シェーナを支え続ける。


機体の動きは、変わらなかった。


「アズロ…制御が…」


「――うん、大丈夫みたいだ。不思議だよね」


「……そっか」


ささやいたシェーナは、ゆっくりと目蓋を閉じる。

誰かに何かを委ねたのは、いつぶりだろう?

支えは、力強く、あたたかい。


意識を手放すでもなく、心に、白い白い光を思い浮かべた。

シエラねえさんの手から放出されるのを何度も何度も眺め憧れた、あの優しい光を。


リリー…


ああ、そうだ。

あれは、元々、リリーではなくて。


誰もが、持っている光…


形が一定化していて、気付かなかった。

私の中にも、あることに――


「アズロ、ありがとう」


穏やかなシェーナの言葉に、何かが目を覚ました。

シェーナの両手から、異能でもなく古の力でもなくリリーでもない、けれど、全てを含む流れが、生まれていた。


「僕もだよ…ありがとう、シェーナさん」


怖れていたラナンキュラスの力は、暴走せずに均一に流れ、片腕を介してリオの力と同調し増幅させ、機体の流れを保たせてくれている。

もう片腕から伝わる大地の如き雄大さが、空を抱きしめるように、支えてくれているからだ。


「そばにいてくれて、ありがとう――」


二人の声が、重なる。


「――」


言葉にならない言葉が、小さな歌を口ずさんだ。


子守唄に似たそれを、初めて聴いたのは、いつだったか…。


いつしか、穏やかな低音が二人の声にふわりと重なり。


鈴の音の繊細な歌声が、小さく重なり。


遠いあたたかな響きが、そっと重なり。


記憶を辿るようなたどたどしい歌声が、重なり。


珍しく凛とした歌声が、重なり。


朗らかでまっすぐな歌声が、天高く融和する――






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