第5話ー少女、真実に気づくー
〜2時間後〜
あそこから歩いて2時間ほど経っただろうか。
ようやく空港が見えてきた。
「やっと空港が見える…」
私がそう呟くと彼は涼しそうな顔で
「良い運動になったな」
と言ってきた。
言われてみれば、彼は世界中を旅してるのだからこれくらいなんてことないのだろう。
そんなことを考えてると空港に到着した。
空港の中に入り彼と辺りを見回してみると、人が過ごしていた痕跡が少し見られた。
「あの時の人たちがまだいるのかな」
「いや、これはもう人がいなくなってから随分経ってるようにみえる」
確かに開けられたまま放置され、傷んだ缶詰などが落ちていた。
なぜここにそんなものがあるのかはわからないが一旦無視して私達は探索を続けた。
辺りを確認しながら更に進んでみても空港内はやけに静かで少し不気味な雰囲気だった。
「ここからは二手にわかれないか?」
彼は私にそう提案し1時間後にここにもう一度集まることにし二手に分かれた。
「…静かね」
私はそんな独り言を漏らす。
そもそも空港内が静かなのもあるがここ数日彼と過ごしていたからか、少し寂しい気もする。
「そんなことはさておき!さっきからずっと何かが落ちてる…」
そう、先程から誰かしらの所持品と思われるものが道に落ちている。
「それに奥へ進むごとに量も多くなってる」
それによく考えてみればこんなに人の物が落ちてるのにやはり人には一回も会っていない。
「なんだか良くない予感がするな……」
私はそう思い、一度集合場所に戻ることにした。
「彩!!大丈夫か!!」
戻ってる最中何故かこちらに走って来る彼と遭遇した。
非常事態のようにみえた私は一緒に走って最初の場所に戻った。
「で? どうしたの、そんなに焦って。あんたらしくないね」
私はそう言うと彼が事の顛末を教えてくれた。
「ってことなんだ」
どうやら彼の方も同じように物が散乱しており
閉まった扉まで行くと時間が経ち乾いた血痕があったそうだ。
「それで私に何かあったかもしれないと思って走って来たわけね」
「そうさ、まあ無事で良かったが」
「じゃ、私の方の話もするね」
とこちら側のことや私の考えを共有した。
「確かにこんなに落ちてるのに人に会わないのはおかしいな」
「もしかして景が見つけた血痕は人の…?」
私たちは互いに顔を見合わせた。
「もし人を襲うナニかがいたらどうする……? 」
景にそう投げかけると景が答えた。
「よし。少しだけ様子を見に行こう。確認だけして帰るんだ」
「わかった。そうしよ」
彼は何か悩んでるように見えた。
「できる限りは準備してから行こう」
彼に言われ私も準備を始めた。
〜10分後〜
準備を済ませ景を先頭に私が進んだ道から奥へと進んだ。
準備中に景と互いの歩いた場所を照らし合わせどちらの道から行くか話し合う。
私達は別々の道から、出入り口が複数ある大きなホールに向かっていたからだ。
「流石に血痕があった方はな、」
彼がそう言ったのでホールには私が進んだ道から行くことにした。
そうして道の気をつけるべき点などを景に共有した。
「よし、開けるぞ」
「ええ」
慎重に扉を開けホールを覗くとそこには根で出来た巨大な球体のようなものが、ホールのあちこちから支えられ宙に浮いていた。
「何だよこれ…」
私が球体に気を取られていると彼がそう言い球体の下に、生物の毛?のようなものが大量に落ちていた。
「これ、もしかして………」
私は背筋が凍るだとか、身の毛がよだつとはこういうことなのだと思った。
「………!!! 」
私は重大なことに気付いた。
いくら未知のウイルスによって成長が急激に促進されたとはいえ、そこまでのエネルギー、養分はどこから来てるのか?
そんなことが頭を過った瞬間
私は景の手を取り全速力で空港の外まで走った。
「おい!どうしたんだ!」
彼にそう言われハッとし後ろを見て空港から離れたことを確認してから一息ついた。
「今度はこっちからだな、で?何がわかったんだ」
「多分だけど…」
「あれはここ周辺の根の中心となってて養分を集めるか蓄えてる場所なんじゃないかな、そしてその養分は……」
「そんなまさかな、でもそれなら辻褄も合う…」
彼の顔も引きつっていた。
もし私があの人たちの提案を受け入れていたら…そう考えると震えが止まらない。
「死体、だけなのかな…」
私達がなんともないのは果たしてたまたまなのか、それとも死体だけなのか…。
私達はできるだけ離れた場所で一夜を過ごし拠点へと帰った。
来るときに通った道を再び通る。
その時になってようやく、あの時抱いた恐怖が正しいものだったと気付かされた。
〜拠点にて〜
「今日は早めに休憩するか」
「うん、流石にあんなの見たあとじゃね…」
私達は苦笑し空港の方を見た。
「もしアレがお前の言う通りの物だったら、この世界、案外生きるのも大変そうだな」
「そうだったら、私達まあまあ凄いね。」
そんな会話をする。
ふと視線を向けた先に見える植物。
できるだけ思い出したくない光景が頭に浮かんでしまう。
しばらくの沈黙の後、私は寝袋に潜り込んだ。
目を閉じ何も考えないようにしても、宙に浮かぶあの球体と、その下にあった無数の毛や物が脳裏から消えることはなかった。




