第4話ー少女、秘密を告げるー
〜2時間後〜
「つ、疲れた…」
元から体力がないのもあるがそもそも空港が遠いのもまた事実だ。
「この速度なら着くまでに1泊は確実だな…」
彼の言う通りこの速度じゃ1泊はするだろう、この世界に来て少しは体力ついたと思ってたがそんなことはなかったようだ。
「ガサガサ…」
「!?」
私は物音に驚き物音がした方向を見ていた、
「気張りすぎないほうがいいぜ今のは風だろうよ」
彼は私と違い、案外驚いてはなかった、私がさっきの事や疲れも相まって神経を尖らせているのに気付いたのだろう。
正直ありがたかった。
「そろそろ休憩、」
私がそう言おうとすると彼はそれに被せるように
「そろそろ野宿の準備を始めるか」
と言ってきた。
「え?もう?」
私はなんでこんなに早く?と思った。
「そりゃ、今から準備しないと夜に間に合わないだろ?」
私は呆然とした。
知識として野宿の仕方は知っていた。
しかしそれだけでは駄目なのだと身を持って感じた。
〜1時間後〜
「本当に何もしなくていいの?」
「あぁこれくらいなら一人でできるからな」
そう、彼は意外にも気遣いが上手く疲れている私を見て火起こしから何までしてくれたのだ。
「よし、ある程度できたし飯にするか」
「まあまあ任せなさい」
私はこの言葉を待っていた、いくら食住を提供してたとはいえここまでしてもらうのは少し申し訳なかったのだ、そこでご飯くらい作ってあげようと待っていたのだ。
「おお彩は料理ができるんだな」
「ええ、知識としては頭に完璧に入ってますよ」
何故かここから既に彼は不安そうな顔をしていた。
「よく考えれば会ってから、礼も兼ねて俺が作ってたからお前の料理は見たことないな……」
彼は今度は心配そうな顔をしている。
「お、お前それで野菜を切る気か!?」
「ええそうだけど?」
似たような会話を何度かしながらも料理は無事完成した。
彼は青ざめた顔をしながら
「今度料理を教えてやる、お前のは知識だけで経験が皆無だ…」
私はそんなに言われるものなのかと思いながらも彼の料理は覚えたかったため喜んで承諾した。
〜30分後〜
「味はまあまあ良かったな」
彼は食べ終わって私にそう言ってきた。
「昔見た有名なレシピそのままだからね」
私は自慢げにそう言った。
そんな他愛もない会話をしたあと就寝の準備をした。
「……眠れない」
疲れていたからすぐに眠れると思ったがそんなことはなかった、どうやら案外緊張しているようで上手く寝付けない。
「眠れなさそうだな」
彼がそう言ってきた。
彼は続けて
「俺が撮ってきた写真見てみるか?こんなことになってからも撮って残してるんだ」
「少し気になるかも…」
私は彼の提案に乗り、彼の写真を見ることにした。
「どうだ?よく撮れてるだろう?」
私は彼のそんなセリフを聞きつつぼーっと写真を眺めていた。
「どうしたんだ?」
彼は私が写真を見ても何も言わないことを不思議に思い聞いてきた。
「実はね、」
なぜだろう。
今まで、この話は家族にだって、誰にも話したことがなかった。
正確には話す勇気が出なかっただけだろう。
なのに彼には話してしまう。
実は私は案外怖かったのかもしれない。
最初に大人たちから離れた時から。
ずっと1人だったから。
いままでこんなことなかったのに。
「私ね、世界に色が見えないんだ、違う。正確には私が見ようとしてないから、見えないの、」
私はそう呟いた。
この一言がきっかけになったのか、私は今までのことを最近あったばかりのただのカメラマンの彼に全て話してしまった。
「ふ〜ん、そうだったのか」
彼はそうとだけ言って何も言わなかった。
私は内心「(え?それだけ?)」と思ってしまった。我ながらなんて自己中だ。
そんな事を考えてると彼が仰向けに寝転びながら上を見ていた。
日本中、いや世界中から人工の光が消えたからだろう。
今まで全く気づいてなかったけど、小さな星々が輝いていた。
「星って色んな色の光出してるけど、肉眼では相当な光のやつ以外殆ど判別つかないんだぜ。」
彼はそう言った。
「世界をどう見たってどこかに美しさはあるし
何を見てどこを美しく思うかは人次第だ」
彼の言葉からは重みを感じた。
それは決して知識ではなく経験から来る言葉だ。
「それに、お前は既に人の為、自分の為、自分の世界を拒絶してその目に焼き付けたんだろう。」
「俺はそんなお前の目は、心はどんな物より鮮やかに世界を見ていると思うぜ」
私は彼の言葉を聞きながら空を見ていると1つ青白く光輝く星が見えた。
――私の瞳に青白い光が映し出される。
今まで写真なんかで見ても青白く見えたことはなかったのに。
「あの青白い星、すごく綺麗だね」
私はそんな言葉を最後に眠ってしまったようだ。
〜翌朝〜
「おっ、起きたか」
目を覚ますと彼が既に朝食の準備をしてくれていた。
私は重いまぶたを開けつつ顔を洗いご飯を食べた。
「っ、凄く美味しい」
同じレシピでもこうも味が変わるものなのか。
私はそう思いつつも美味しいと口にした。
「そうか?うまいか!なら良かった」
彼はそんなに嬉しかったのか凄く喜んでくれていた。
よく考えたら私はここに来てから料理に美味しいと感じたことはあっただろうか。
彼が作ってくれたご飯にも美味しいとは言ってたがきっと彼には顔でわかってしまったに違いない。
自分の変化に驚きつつも私は彼と空港へ向かう旅を再開した。




