勇者学園は、完全実力主義だ。
学園物は、テンプレが使い易いけど、どう組み合わせようか。
「……ち、ちょっと待ってくれ。 そんな話は聞いていないぞ」
「おそらくは、窓口業務をしていたカリンザス男爵を試験の責任者と勘違いしたのでしょうね。 反論はありますか?」
「……」
「無いみたいですね。 では引き続き発表します」
この後は粛々と合否の発表をしていったが、何人かは発表を聞く前から項垂れていた。
多分、先程のバカの取り巻きか、同じバカをやらかしたんだろうな。
「149番、合格。 150番、合格。 ……以上よ」
「当然よ!」
「……」
俺としては、文字通り当たり前の結果だから無反応でいたら、左隣の赤毛赤眼の少女が俺に向かって言った。
「貴方も喜びなさいよ!」
「喜んでいる」
「その割には……まあ、良いわ。
さっきは睨んでごめんなさい。
でも、これからは同じ勇者学園の学園生になるのだから、お互いに頑張って選抜科を目指しましょうね!」
「そうだな」
こうして、俺は学園生活を送る事になった。
合否発表の後は不合格者は去り、合格者は残り、プロフィール的な書類に自分の事を記入して、勇者学園の規則等の説明をされた。
内容は、日本での全寮制の学園とあまり違う所が無い。
説明と学園の制服等の支給品を渡し終わると寮に向かうが、当然だが男女は別で隣接しているが、食堂は女子寮と共同だ。
寮の形としては、英文字の「H」に近い。
「初めまして。オレは、候補科男子寮Aの寮監をしているケスリーだ」
勇者学園の寮は全て同じ設計にしており3階建てとなっている。
この勇者学園は6年制で1年生から3年生は男子寮Aに住み、4年生から6年生は男子寮Bに住む。
そして、学園の設立目的が目的だから、完全実力主義の学園で、貴族は従者等の同行は禁止で、家の爵位を匂わせてトラブルを起こした者は独房に入れられる。
初犯は3日、2回目は6日、3回目は9日だが、ここで反省が無かったら退学だ。
勿論、学園内の要職に就いている職員はダンモンですが、何か?
俺は割り当てられた部屋に向かう。
「この部屋か」
部屋の位置は1階の角部屋で、1番奥だ。
入ると……
「初めまして。 ボクはルームメイトのクルトだ」
「初めまして。俺はシンだ」
「……シンって名前は、300年前の平民から公爵へと成り上がり。
更に王家の外戚となり、大英雄にして、二つ名の竜王殲滅者の冒険者シンから取ったのか?」
「そうらしい」
「そうか。それなら、名前負けしない様に頑張らないとな」
「そうだな」
……普通は同一人物とは思わないよな。
「悪いけどベッドは右側を貰ったよ」
「構わない」
軽く雑談をした後は、クルトと一緒に1階の共同部分を見て廻った。
……どれも綺麗に使っているな。
俺も、設計とかに関わっていたから、綺麗に使っていて良かった。
最後は時間的に昼食時間という事で食堂にしたが、試験を一緒に廻った赤毛赤眼の少女がもう1人知らない少女と一緒に居た。
「あー!」
「先程振りだな」
「シン、知り合いか?」
「試験を一緒に廻っただけだ」
「そうね。でも、此処で会ったのも縁よね。
私はマナよ。 で、この子が……」
「リーゼ……です」
薄い青髪の碧眼で、少し身長が低いが、何処とは言えないが、かなり立派だ。
因みにマナも平均よりかは大きいが、此方も、何処とは言えない。
「ボクはクルト」
「俺はシンだ」
そんな訳で、昼食を頂いた後にマナ達3人は将来は勇者達に選ばれる様になりたいと熱く語った。
その後、明日から授業が有る為にそれぞれ部屋に戻り準備をする事になり解散した。
「トイレ、行ってくる」
「あいよー」
勿論ウソで、俺は寮監のケスリーの所に言った。
「ケスリーさん。相談が有るけど良いか?」
「どうぞ」
部屋に入り、ケスリーさんが扉を閉めると、跪いた。
「ご用件は何でしょうか、マイロード」
「暫く勇者学園で遊んで行くから、ソフィアに伝えてくれ」
「畏まりました」
ソフィアも不老不死になったお陰で、2,3年ぐらいなら、連絡無しでも許してくれる様になった。
勿論、連絡した方が良いのは当然だがな。
今日の最重要な用件が終わった所で部屋に戻ろうとすると、多目的ホールに人集りが出来ていた。
「なんで、お前が受かってアイツが落ちたんだ?」
「し、知らないわよ」
「今からでも遅くねえから、辞退しろ」
「そうだ! そうすればアイツが受かるんだ!」
「そ、そんな!」
「無理だな」
「誰だ!」
思わず言ってしまい、全員が俺を見た。
……仕方ないか。
「筆記試験も魔法試験も実技試験も、1人ひとりを見ている。
試験に落ちたなら、それは本人の実力不足となる」
向こうの1人が向きになって返す。
「そんな訳が無い! きっと、コイツが何かズルをしたんだ!」
「どうやって?」
「それは……」
「勇者学園は、完全実力主義だ。
入試程度で落ちる様なら、どの道、選抜科どころか、1年後の昇級試験の前に退学になるのがオチだな」
「「「「「何だと!」」」」」
……はあ。勇者学園に派閥なんざ持ち込むなよ。
「そこまで言うのなら、お前は自信が有るな?」
「それなりにな」
「それなら模擬戦だ!」
「そうだ! 模擬戦でオレ達が正しいのだと証明するんだ!」
俺達は、鍛練場に移動してケスリーが呼び出され模擬戦のルール説明が行われた。
そして……
「準備は良いかい?」
「いつでも良いぜ」
「ああ」
「では模擬戦……開始!」
「はぁあああーーー……が……」
「うるせぇんだよ」
ドタッ……
「勝者シン」
バカみたいに大上段に構えて突っ込んで来るから、踏み込む左足が地に着く直前に向こうの間合いに入り横薙ぎで一撃を入れた。
「俺の勝ちだ。だから、これ以上の文句を言うなよ」
「「「「……くっ」」」」
「ありがとう。 ボクの名前は『シア』です」
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裏口入学をしようとしたヒシジサン伯爵の次男や他数人は報告され、貴族籍を剥奪され、平民となりました。




