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美しい花には秘密がある  作者: 美月すず
第三章 三女 あおい編
33/38

葵2


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<偽カップルの条件>

好きな人ができたら、即、別れる。

毎週金曜日夜は、一緒に過ごす。

社内外の人にも、付き合っていることにする。

カモフラージュの為、スキンシップあり。(ハグまでとする)

呼び方は、お互い下の名前の呼び捨て。社内は、苗字で、OK。

クリスマスや誕生日、バレンタインなど、恋人が行う行事は、参加する。(友人レベル)

問題事項や要望あれば、相談のうえ、双方納得の上、決行する。

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上記は、ある理由から、あおいと柿花直人かきはななおとが、偽カップルになる条件を取り決めた物である。

ある理由。

双方の利害が一致した為、この関係になった二人である。



はああ・・・。


翌日。

あおいは、某デパートの時計店で、大きなためいきをついた。

バレンタインは、手作りチョコを柿花直人かきはななおとに、いつも渡している。

今回は、別れるつもりなので、奮発して、腕時計を贈ろうと考えたのだが、どれを選んでいいのか、よくわからない。

しかも、結構なお値段がする。

偽カップルの条件の友人レベルって、いくらくらいまでOKなんだろう。

彼とはいえ、本物ではない。

お付き合い経験も高校生の時に一度だけのあおいにとって、彼氏へのプレゼントを選ぶというのは、ハードルが高い。

お世話になった先生とかにあげる感じなのだろうか?

同じところを、クルクルまわっていると、横から声がした。


「あれ?あおい?」


男性の声である。

あおいは、この声を知っている。

記憶を辿たどりながら、声の方を向き、確信した。


健太けんた!えーーー。」


思わず叫んだ。

高校卒業して、成人式の時に、ちらっと見かけて以来だ。

中学時代の男友達。

あおいの初彼を紹介してくれた人物でもある。

別れたあと、落ち込んでいたあおいを真摯に慰めてくれたのもこの彼である。

そして、あおいが、長い間、片思いし続けた相手である。

大学も別々で、遠距離になるので、告白するのも諦めてしまうが、それが、一層、想いが膨らんで、次の恋になかなかいけない大学生時代を過ごしたのである。

成人式の時に、告白して、次の恋へと思ったが、彼女と同棲している話を聞いて、ショックを受けて、何もせず、逃げ帰ったあおいである。

それでも、大学卒業時には、なんとか片思いを吹っ切れて、仕事が楽しい日々を過ごしていた。


が、しかし、久しぶりの彼を見て、あおいは、ときめきを覚えた。


健太けんた

フルネームを田倉健太たくらけんたと、言う。

身長は、175センチほど。

髪は、少し明るめの茶色に染めている。

さわやかで、元気な中学時代や高校時代と違って、大人のかっこよさが、漂っている。

もちろん、以前のさわやなか感じはある。

もともと悪くなかった顔立ちが、少しシャープになり、細身になったのもあり、お世辞ではなく、かっこいいのだ。


昔好きだったから、ときめいただけだと、言い訳しながら、あおいは、高鳴る鼓動を落ちつかせようとした。


「久しぶりだね。こっちに来てたの?」

あおいと健太けんたの地元は、今、住んでいるところではない。

あおいは、大学進学の為に、上京したのである。

健太けんたは、西の大学だったはずだ。

「うん。就職が、こっちだったから。て、あおい、何年振り?」

健太けんたは、嬉しそうに、話しかけてくる。


笑顔がまぶしい。

かっこいい。

昔より、かっこよくなってない?

うわー!

うわー!

やばい。

ドキドキする。


デパートの時計店前で、久しぶりの再会を喜ぶ二人。

今、住んでいる場所や働いている職場の話をしながら、健太けんたは、ある疑問を口にした。


「彼氏へのプレゼント?」

「え?」

あおいは、何故わかったのか理解できない。

「ここって、男性用の腕時計だから・・・。」

健太けんたは、あおいに説明する。

「うん。そんな感じかな。健太けんたは、彼女と一緒に住んでるの?」

「は?」

「・・・・。成人式の時に、同棲してるって、聞いたから・・・今もかな・・・って。」

ストレートに聞きすぎたと後悔しながら、視線を外しながら、言い訳をする。

「ああ・・・。いろいろあって、別れた。今は、彼女いないし。独身だよ。」

最後の方を、強調していたが、あおいは、気づいていない。

「そうなんだ。健太けんた、かっこよくなったから、モテそうなのにね。」

あおいは、意味もなく素直な感想を述べた。

健太けんたは、少し目を見開いてから、

「そうか?まったくモテないな。仕事ばっかりだからな。飲みとかも同期の男ばっかだしな。今日も、この後、飲みの約束してるし。」

と、謙遜した。

うなずきながら、さりげなく「かっこいい」と、言ってしまったことに、恥ずかしくなっているあおいだった。


その後も、会話が続いたが、あおいは、ドキドキする自分にとまどっていて、健太けんたの瞳が、次第に熱っぽくなっているのに、気づかなかった。


「じゃあ、約束な?」

「え?」

意識が少しとんでいたあおい。

健太けんたの念押しの言葉に覚醒する。

「今度、一緒に飲みに行く約束。」

今日、このまま一緒に飲みに参加する様にと誘われて断った。

断り文句の「また今度」を、確実に約束してきたのである。

いつもは、断るあおいだが、久しぶりだし、いいかと思いうなずいていた。


これがもとで、柿花直人かきはななおととの関係に、ずれが生じることになることは、まだ、あおいは知らない。




読んで下さって、ありがとうございます!大変、嬉しいです!!!

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