菫8
世羅達也目線です。今回までです。
「ありがとう。でも、ごめんね。・・・大事な生徒としか見れないから・・・。」
引き下がらない男子生徒には--------。
「卒業しても、先生のこと想ってくれるなら、今度は、一人の女性として、答えるね。」
これが、中大路先生の断り文句らしい。
実際に、卒業後、告白に来た生徒もいるらしい。
落ちついて考えると、先生に、彼氏はいるのだろうか?という疑問に行き着いた。
仲良くなった同級生に聞くと、「今はいないらしい。」少し前は居た可能性があるけど、さだかではないとのこと。
うーん。
11歳差は、男より弟みたいなもんか・・・?
世羅達也は、何とか、自分を見てもらえる位置に立てないかと考える。
中学の時の初恋は、結局、何も伝えれなくて、悔いが残った。
次の恋は、後悔ないようにするって強く決めている。
断り文句からいくと、高校生でいる限り、一人の男性としちゃ見てくれんってことじゃな。
でも、卒業したら、会える機会減るけぇ、自分を知ってもらえるチャンスなんかないよな・・・。
今、自分を知ってもらうにゃあ・・・どがぁしたら、いいんじゃ?
考える。
告白か?
いや・・・。
まずは、自分を知ってもらうことが大事だ。
よし、修学旅行で、隙を見て、声をかけよう。
「中大路先生。」
修学旅行の最中、勇気をふりしぼって声をかけた。
驚いた顔をしていたが、緊張のあまり、世良達也は、すみれの表情には気づいていない。
写真を撮ろう!
それが、自然じゃ!
って、誰に撮って貰うんじゃ。
何を言おうか頭の中で格闘していると、すみれは、先生の顔しながら、心配そうに聞く。
「体調悪い?ちょっと暑いよね。」
「あ・・・。はい。体調は、悪うない。えっと・・・。」
世羅達也は、何とか言葉を続けようとしたが、別の生徒が、すみれを呼んだ。
「み・・・水あるか?じゃのうて、大丈夫です。」
何言いよるんだ。僕は。
世羅達也は、後悔した。
声をかけたのはいいが、話す内容をもっと練っておくべきだったと。
すみれは、世羅達也を見て、リュックから、ペットボトルを出す。
「内緒ね。」
と、言って、ペットボトルを渡す。
烏龍茶だった。
世羅達也は、頭を下げるのが精一杯だった。
下をむいたまま、真っ赤な顔を隠すのに、徹した。
今度は、国語で、わからないところを、質問しようと考えた。
実際、わからないところはないので、わからないフリをしようとした。
声をかける場所とタイミングに悩む。
授業終わって、廊下が一番無難だと思い、決意する。
国語の授業が終わり、すみれが廊下に出るタイミングを見計らって、世羅達也も、廊下に出る。
「な・・・。」
声をかけようとしたが、一歩遅く、隣のクラスの女子に声をかけられる。
世羅達也は、別の機会にしようと決めるが、どうもタイミングが合わない。
声をかける勇気がでないと言った方が、正しいのかもしれない。
世羅達也は、質問を諦め、自分が、本を出すことを伝えようと決意する。
なかなかそういう生徒はいないはずだ。
先生の中で、少し特別な生徒として、印象づけれるかもしれない。
感想も聞きたいといえば、先生なら、応えてくれるかもしれない。
よし、これだ!
世羅達也は、勇気を振り絞るが、呼び止める勇気がでない。
好きだと自覚した今、とにかく緊張する。
本を出すのは、決まったが、内容は、結構、恥ずかしい。
自分の初恋を題材にしている。
自分の裸を見られるよりも、もっと恥ずかしい。
赤裸々な内容だ。
でも、そんな自分を、先生に知ってもらいたい!とも、思う。
そんな思いを抱えながら、発売日は、近づいてきた。
夏休み前、世羅達也は、最後の勇気を振り絞る。
すでに、すみれは、教室を出て行ってしまった。
初恋の後悔は、二度としたくない。
世羅達也は、足早に、今日を出た。
急いで、すみれを追った。
やっぱり、あの勇気が、今、先生との距離が縮まったんじゃな。
朝ごはんを食べながら、自分の行動に、満足した。
今日のテストを乗り切れば、初デートじゃ。
電話もできる。
とにかく、責めるんじゃ。
後悔ないように!
世羅達也は、最後の一口を食べ終え、学校へ行く準備を始めた。
読んで下さって、ありがとうございます。よろしければ、最後までお付き合い頂けると嬉しいです。




