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美しい花には秘密がある  作者: 美月すず
第二章 次女 すみれ編
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菫9

ああ。もう、何やっているんだろう。私。


すみれは、心の中で、嘆きながら、世羅達也せらたつやとの待ち合わせ場所に向かう。

頭のてっぺんからつま先まで、念入りにチェックして、家をでてきた。

リュックには、二人分のお弁当が入っている。

メイクは、、ナチュラルを基準にしている。薄すぎず、濃すぎず、愛らしくなるように、気をつけた。

髪型も、お気に入りのシュシュで、ゆるく一つに縛っている。

首元が広めに開いたマスタードの長袖シャツに、七分の茶系のチェックのパンツ。動きやすい低いヒールの革靴。リボンがアクセントになったあますぎない大人靴。

首元は、シンプルな一粒ダイヤのネックス。腕には、ピンクゴールドベースの女性用腕時計。


デートじゃない。

小説書くためのボランティア!

子供相手よ・・・。

子供・・・。

思えない。

テスト終わってからの初めの電話で、長電話をしてしまった。

とにかく、切りたくなくて、いろいろ話してしまった。

何やっているんだろう・・・。私。

今日で、世羅せら君と学校以外で会うのは、最後にしようと決めているのに・・・。

いろんな面で、気合いいれている・・・。


待ち合わせの場所。

動物園の入口。

開園時間の九時半に待ち合わせしている。

10分前なので、まだ来てないよね・・・と、すみれは、思いながら、辺りを念のため、見まわす。


「すみれさん。」

どこからともなく声が聞こえた。

すみれは、再度、見まわたす。

そうすると、背の高い世羅達也せらたつやが、人込みの中から、手を振って、駆けてくる。


どきん


すみれの鼓動が、激しく打つ。

制服でない私服の世羅達也せらたつやは、いつもよりかっこよく見えた。

紫色のチェックの襟付きシャツに、マスタードのジーパン。歩きやすいスニーカー。

大学生くらいに見えそうだ。


ああ、かっこい。


思わず見惚みとれていると、世羅達也せらたつやが、不思議そうな顔で、覗き込まれて、我に返る。


「あ・・・。おはよう。晴れて良かったね。」

目に前にいる世羅達也せらたつやに、気づかれないように、先生の顔を作り、微笑む。

世羅達也せらたつやは、少し目を見開き、「そうですね。」と、うなづいた。

大人な自分が、リードしなくてはと、入園券を買える窓口を探す。

結構、人が並んでいる。

動物園は、久しぶりに来たが、結構、人が多いことに、驚く。


「あっち。入園券買いに行こう。」

指をさし、世羅達也せらたつやを、促す。

「あ・・・。いや。これ・・・。」

世羅達也せらたつやは、すみれに、入園券を渡す。


え?

すでに、買ったの?

世羅せら君って、結構、慣れてる?


すみれは、チケットを受け取る。

お礼をいい、お金を払おうとすると、断られる。

社会人として、高校生におごられる訳には、いかないけど・・・どうしよう・・・。


何て言って、お金受け取ってもらおうと悩んでいると・・・。

「じゃあ、お昼ご飯をおごってくれんかの。」

「ああ!そうだね。でも、お弁当持って来たから、夜ご飯、おごるね。」


って、何言ってるの?私!!!

夜って・・・。

一日一緒ったって、夜ご飯前に、帰さなくてはダメなのに・・・。

ああ!

もう!


大人な顔が、オロオロな顔に変わる。

世羅達也せらたつやは、すみれの表情を見ながら、お弁当を作ってきてくれたことに、驚きながらも嬉しく思い、気分が高まる。


手、つなぎたいな・・・。


ふと、そう思う。

少し伸ばした手を、引っ込め、すみれに、告げる。

「すみれさんのお弁当、楽しみだな。」

すみれにだけ届く小さな声だった。


うう。

嬉しすぎる。

いやいや。

落ちついて。大人らしく。先生らしく答えなくては・・・。


「嬉しいな。」

もっと違う言葉をいうつもりだった。

でも、嬉しくて、恋するとびっきりの笑顔と一緒にでた言葉は、それだった。

その笑顔に、世羅達也せらたつやは、見惚れた。

熱を含む瞳に、気づき、すみれは、慌てて、「もう、入れるみたいだね。行こう!」と、話題を変えた。


バレない様に、すみれは、深呼吸をした。


とにかく、今日で、最後にするのだから、気合いをいれなくては・・・。


すみれは、再度、自分に言い聞かせた。




読んで下さってありがとうございます。

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