菫6
「丸一日、一緒に?!」
すみれは、電話しながら、少し大きな声を上げる。
相手は、世羅達也だ。
すみれは、先生と生徒の線引きをするつもりだった。
しかし、言葉にでたのは、「NO」ではなく、「YES」だった。
世羅達也の小説家人生を応援したいから、特別だと告げて。
特定の生徒と仲良くしているのは良くないから『内緒』にしてと念を押した。
そして、スマホの連絡先も交換して、毎日電話している。
受験生なので、30分と決めている。
二学期も始まり、中間テストを一週間後に控えている。
そんな時に、行ける訳がない。
「うん。もっと、すみれさんのことが知りたい。」
うう・・・。
最近は、ストレートに甘えてくる。
二人の時は、『すみれさん』と、呼ばれる。
すみれは、いろいろな一面を知り、ますます世羅達也に、想いをよせる。
溢れ出しそうな想いを堪えて、断りを入れる。
「中間テストも近いし・・・。別の機会にしよう。」
「じゃあ、テスト終わった休みの日ならいい?」
間髪入れず、言葉が返ってきた。
「うーん。」
何て答えようか悩むすみれ。
「すみれさんの行きたいところ・・・買い物でも、お茶でも、どこか遠出しても!」
断れたくないのか?プッシュしているのか?
世羅達也は、言葉を続ける。
「中間テストも受験勉強も頑張るけぇ、息抜きに!連れてって!」
うう・・・。
やめてほしい。
私だって、一緒にいたい。もっともっと世羅君のこと、知りたい。
でも、でも、でも・・・。
あまり長くいたら、自分の気持ちが溢れ出してしまいそう。
先生と生徒。
決して、恋仲になってはいけない。
特に、受験シーズンほど、大事な時期に、先生である自分が重荷に、足かせになってはいけない。
「やっぱり、いつもみたいに、一時間会うだけにしよう。」
すみれは、何とか言葉にした。
これが、ベストだと思って・・・。
しかし、返事がない。
急に、黙りこくる世羅達也。
すみれは、焦るが、ここは、ひいてはいけないと踏みとどまる。
「今日から、すみれさんに一切連絡せんし、会わん。しっかり勉強するけぇ、試験終わったら、僕との時間を作ってくれんかの。」
必死な声が、耳元から聞こえた。
考える前に、答えていた。
「わかった・・・。」
あとで、言い直そうとしたが、「やったー!」と、電話の向こうで喜ぶ彼に、言えないすみれであった。
一週間。
学校で顔は見れるが、連絡を一切しないというのは、寂しいものだと思うのは、すぐのことだ。
仕事の合間に、世羅達也と行く場所を探すことで、寂しさを紛らわそうとした。
しかし、声が聴きたい。話したい。という気持ちは増すばかりだった。
いつのまにか、後戻りできないほど、想いが募っていた。
このまま行くと、気持ちが知られてしまう・・・。
ううん。気持ちを伝えてしまいそう・・・。
だから---------------。
すみれは、今度、丸一日会うのを最後に、学校以外で会うのを止めようと決意する。
読んで下さって、ありがとうございます!じれじれ難しいですね。頑張ります。




