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TWINE TALE  作者: 緑茶猫
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Flag5―真冬の桜―(10)

「うん、問題はそれだったね。ねぇツカサ君、ボクとノスリちゃんが戻って来る前にルーナちゃんに抱き着かれなかった?」


「な、何故それを……」


「いやね、ツカサ君が中々起きなくてルーナちゃんがあんまり心配するもんだったから起きたらしっかり反省させよーって言って宥めた後に『あっ……でもツカサ君は抱き着いたりでもしないと反省しないよ』って冗談言ったらこうなっちゃった……」


「今日から師匠と呼ばせてください」


 あっ……間違えた……思わず本音が。けど、美味しい思いだったことは認めよう。


「…………」


「……お、お前のせいで大変だったんだからな!」


「今更言われてもねぇ……ツカサ君、君には変態の称号“ムッツリ”を差し上げよう」


「違う! 断じて違う! と言うか本当の変態に言われたら何か重たい!」


「まあまあ話も終わったんだし落ち着けよ」


 何やらコーチが大人な立ち振舞いをしている。


「うるさい変態その壱!」


「その壱!?」


「ちょっと待ってよ、その話だとさっきからボクが変態その弐みたいじゃないか」


「自覚有りじゃねぇか」


「酷い! じゃあツカサ君は変態その参ムッツリブルーだよ!」


「ムッツリブルーってなんぞ!? てか俺はムッツリじゃねえ!」


「じゃあ俺はジェントルレッドだ」


「じゃあボクは淑女イエローだね」


「ちょっと待てお前らそれだと変態って認めてるぞ!?」


「この際だからもう良いよボクは何と言われようと淑女イエローだから!」


「さあ行くぜお前ら! 全てのパンチラは俺のもの! 世界の危機に現れた白銀の槍の超紳士! ジェントルレッド!」


「最近のハマりはツカサとコーチ、そしてネアン! 男同士の絡みが大好きです! 流れ出す赤色は愛の形! 淑女イエロー!」


 最低だ……スゲー最低だ……。


「ロリコンですけど何か? でも巨乳も……いやおっぱいなら大好きムッツリブルー!」


「誰だ! 今の言ったの誰だ!?」


 俺の後ろに奴は居た。


「おいノスリ……まさかお前まで乗っかるとは思わなかったぞ……?」


「大丈夫……受け入れるから……」


「何が大丈夫なの!? そして何の話だ!?」


「まあそう怒んなよ……ほら、お菓子だって買ってあるんだぞ」


 そう言ってコーチはお菓子が大量に入った袋を広げる。


「はぁ……誰のせいだと思ってんだよ……てか医務室で食って良いのか?」


「大丈夫ですよ! 許可取ってますから!」


 何故かルーナが答える。ルーナの目は凄くキラキラしていた。


「ルーナ……あんまり食べたら……太る……」


「こ、これくらいは大丈夫ですよ…………多分」


 どうやらいつの間にかルーナの調子は戻っていた様だ。……一安心。


 そしてコーチは笑い、レディは悪ノリをする。そんなコイツらを見ていると良い意味で呆れてくる。


「はぁ……それじゃあ遠慮なく貰うよ」


 そう言って俺は袋の中から適当に掴んだ長方形の箱を引き抜き、箱の上の方についてるミシン目にそって開けると中には銀色の袋が二つ入っていた。


 続けて俺は二つの内の片方の袋を手に取り、その袋の一番上の接着されている面を両手で掴み、横に引っ張る様に開封する。


 そして俺は袋の中に入っているチョコでコーティングされた長細いスナック菓子をおもむろに口へ運んだ。


 ふと考える。


 そう言えばこっちの世界に来てお菓子を食べたのは初めてかもしれない。というかそもそも放課後をゆっくりと過ごしたのも初めてだ。


 そう考えながら袋に指を突っ込み二本目を掴む。


 こっちに来てからは暇があればずっと魔法の練習をしてたからな……たまにはこんなのも悪く無いな。そう思うと自然と笑みが溢れてきた。


 そのまま俺は二本目を口に運び、それをくわえた時にふとあることに気付いた。


 一つ……ここは俺からすると異世界だ。


 二つ……異世界の行き来の仕方なんてわからない筈だ。


 つまり俺が何を言いたいかと言うと……



 なんでこのお菓子がここにあるんだ!?



 そう思った俺は急いで箱を手に取り確認する。


「ははっ……」


 思わず笑ってしまった。


 何故だ……何故このチョコでコーティングされた長細いお菓子の商品名が



「どうして“プッキー”なんだよ!?」



 なんだよこの夢の国の住人のネズミとクマのぬいぐるみが混ざった様な名前は!? 俺の知っているあれと名前は限り無く近いけど、何か微妙! 名前が微妙過ぎる!


「“プッキー”がどうかしたのかツカサ?」


「“プッキー”は“プッキー”だよツカサ君?」


 頼みの綱……ルーナに目をやる。


「司さん!? “プッキー”は定番商品なんですよ!? 子供から大人までみんな大好きなんですよ!? 馬鹿にしないで下さい!」


「えぇー……」


 馬鹿にはしてない……してないけど……ただ、俺の住んでた世界のお菓子と似すぎてるんだよ……。


 ああ……つまりはあれだ……気にしたら負けって事だな。


 そんな時、俺の寝ていたベッドの隣のカーテンが勢いよく開かれた。


「にゃんにゃのよ! うるしゃいわねー! おちおち寝られにゃいじゃにゃいにょよー!」


 そう噛み噛みでピンク色の髪をはためかせながら現れたのは、金色の目を眠たそうに擦りながらもプリプリと怒る可愛らしい少女だった。


 なんだこの抱き締めたくなる可愛さは!?


「……あ、あれ? ここどこ……?」


 そう言ってピンクの髪の少女は惚けながら辺りを見渡すと直ぐにハッとした表情になり顔を真っ赤に染め上げた。


「ななな、なんでアンタ達がここに居るのよ!?」


 何やら興奮している様なので、とりあえず俺はピンクの髪の少女の神経を刺激しない様に語り掛けてみる。


「えーっと……どちら様?」


 すると彼女はプルプルと震えながら顔を真っ赤にして、腕を振りかぶった。


「ふんっ!」


 すると途端に伝わる頬から顔全体に広がる衝撃。

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