Flag5―真冬の桜―(11)
「うぇあっ!?」
俺は吹き飛ばされて尻餅をつく。何故だ……!? 何故殴られたんだ!?
「理不尽だ……限りなく理不尽だ……」
するとピンクの髪の少女は俺を一瞥するとフンッと鼻を鳴らす。
「アンタが悪いのよ」
何故だ……? そしてアンタ呼ばわり……ん? アンタ?
そう思い確認する為に俺が体を起こそうとした時、コーチが彼女に近付いていた。
「あのさお嬢さん? いくらお嬢さんが可愛くても流石にいきなり人を殴るのはどうかと思うぜ?」
「黙りなさい変態。床でも舐めていなさい」
一蹴。
項垂れ跪くコーチ。めげるな、お前との相性が悪かっただけだ。
そんな事を思っても口に出さなかった俺は、次の被害者を出さない様に再び彼女の前に立つ。
「カーミリアさんか?」
俺がそう質問すると相変わらず素っ気ない態度で答えた。
「そうよ、それ以外に誰が居るのよ?」
「なんで医務室に居るんだ?」
「アタシが居ちゃ悪いの?」
「いや、そう言う訳じゃないけど……」
「じゃあ別に良いじゃないアタシが何処に居たって」
「はぁ……じゃあなんでこんな時間にここに居るんだ?」
「こんな時間?」
「ほら、時計を見てみろよ」
俺は壁に掛けられ、針が四時を指している時計を指差した。
「えっ……」
カーミリアさん何故か絶句。
「どうしたんだ?」
するとカーミリアさんは俯きプルプルと震えだした。……あれ? これやばくね?
「あれもこれも……全部アンタのせいよ……」
そう言いながらカーミリアさんは俺を睨む。
「あのー……何が?」
「えっとね! カーミリアさんはツカサ君と戦った後倒れちゃったんだよ!」
そんな時、レディが助け船を出してくれた。
「でも何故それでカーミリアさんはお怒りに……?」
俺はレディに聞き返す、その時ももちろんカーミリアさんに殴られない様、警戒は怠らない。
「多分今までの勝負で負け無しだったって言うのと生徒指導が決定したからじゃないかな?」
「あれ? でも負けたのは俺だろ?」
「模擬戦の勝負はそうだったんだけどチーム戦ではボク達の勝ちなんだよ」
「そうなんだ……」
ちょっと嬉しいな……。
俺は横目でカーミリアさんを見ると何故か俺を凄く睨んでいた。……怖い。
「なあレディ」
「何? ツカサ君?」
「さっき言った生徒指導行きってのはどういう事なんだ?」
「そのままの意味だけど?」
「何かしたのか? いきなり暴れて大量の人をボコりまくっ……って痛い! 痛いですカーミリアさん! 脛は駄目だ! って言うか何故蹴るのですか!?」
「アンタがふざけた事言ったからに決まってんでしょ!」
まあ、確かにそうだけど……実際にやらかしそうだし……。
「何? 文句あんの?」
「何もございません」
「そもそもアンタも生徒指導は決定してんのよ?」
「なんで!?」
「それは第三演習場を滅茶苦茶にしちゃったからです……むぐぐ」
そう言ったのは尚もお菓子を口に運んでいるルーナ。そしてその隣に居るノスリも口にお菓子を運び口一杯に詰め込んでいる。
「ああね……」
言われてみれば結構派手にやらかした覚えがある。
しかし殆どはカーミリアさんの魔法のせいじゃないか。そう言いたくなったが口には出さない……言ったら殺られそう。
そんな時、カーミリアさんはどこからか出したヘアゴムで髪をくくりながら呆れた様に言った。
「アンタ達こそここで何してるわけ?」
俺達は一度顔を見合わせ、口々に答える。
「お見舞われてる」
「お菓子パーティーです!」
「年上弄り……」
「俺のハーレム形成」
わお……驚きのチームワークの無さ……。てか誰も俺のお見舞いじゃなかったんだ……。
「ノーノー! 皆違うよ!」
そう言ったのは何故か今は聞きに徹していた変態その弐――レディだ。
「ば、馬鹿な!? 俺のハーレムを形成しに来たんだろ!?」
それに噛みつくように狼狽える変態その壱――コーチ。そしてそもそも俺も居るのでハーレムにはならないと思う。
「大丈夫だよツカサ君! ツカサ君が居ても違和感無いよ!」
「心を読むな! そして鼻血を止めろ!」
「失礼失礼……で、今は何をしているかだったね! それはね“性癖戦隊変態ジャー”の会合だよ!」
「何だよその最低な戦隊は!?」
「何を言ってるんだい? “ムッツリブルー”?」
「なっ……」
「アンタがそんなのに入ってるとは思わなかったわ……そこまで堕ちてるなんて……最ッ低ね」
やめろ……やめてくれカーミリアさん……そんな目で俺を見ないでくれ!
「何言ってるのかなカーミリアさん……? 少なくともここに居る人全員が隊員なんだよ?」
そんなレディの一言で場が静まりかえる。
「なっ?」
目を見開いて絶句するカーミリアさん。ざまぁ。
「ちなみにボクが淑女イエローで!」
「俺がジェントルレッドだ!」
それとは反対に騒ぎ出す変態その壱と弐。
そして何故かカーミリアさんに肘打ちをくらう俺。
「じゃあ私は何になるんでしょうか」
そう言ってお菓子を食べながら微笑んでいるルーナ。
ルーナさん……アンタ本当に緊張に弱いのか?
「そーだねー……ルーナちゃんはやっぱりピンクだね?」
それはわかる。
「じゃあ何ピンクなんだ?」
そこで口を出す我らがレッド。
「グラマラスピンクか?」
いや、コーチ……流石にあれは凄まじいけど……。けどその言い方だと……何か卑猥だ。
「ボクもグラマラスさなら中々負けてないと思うんだけど……ねっ! ツカサ君?」




