プラクティス
ガチャッ...
鍵が開く音が夕方の誰もいない体育館に鳴り響くー
「全く、なんで俺がお前と練習しなきゃ何ないんだよ」
鍵を持った今井は気怠そうに呆れ声でそう告げた。
「いいでしょー?遊びに連れてってくれないんだから‼︎」
古谷は、まるで子供が駄々をこねるように不満げな顔をしていた。こいつ、コートの外だとこんなにガキっぽかったのか……?
普段は活気がある体育館は今日は薄暗く、2階の大きな窓から入り込む夕陽が体育館の中の闇とグラデーションを奏でてとても美しい時間だった。
ドンッ!!!
だが、ドンッ、ドンッ、と体育館に激しい音が響く。せっかくの美しい静寂を、この男・古谷春芽は悪びれもせず、ドリブルの音でぶち壊してきた。「おい古谷、勝手に始めんな。てか、部活のない夕方にわざわざ練習するくらいなら、遊んで帰った方がマシだっただろ」「何言ってるの今井。早く着替えてきなよ」俺のぼやきなんて完全に無視して、古谷は早くも綺麗なフォームでシュートを放っていた。
「ったく...」と愚痴を吐きながら着替えから戻ってきた俺を見て、驚いたような顔で古谷は口を開いた。
「今井ってさ〜、部活ないのに練習着持ってきてんだ〜、ハハハ」
そう言って、体操服の古谷は笑う。
「はぁ〜⁉︎ちっげーし!これは、その、あれだ!えーっと、そうそう、いつもカバンにいれてんだよ!」
これだけ焦るのには理由があり、
今日、本当は学校に来て、予定黒板を見て始めて、部活がないことを知った俺にとって、からかわれないためにも古谷にこの間違いがばれるのだけは避けたかったのだ。
『てか、お前さっき俺のこと『今井』って呼んだよな?」
「うん、呼んだよ〜っ」
『「呼んだよ〜っ」って...お前も俺のこと、名前で呼んだりするんだな。」
「なにそれ!」
「なんでもねぇよ!」
こんな平和な会話は、俺らのこれからに大きな変化をもたらしていく。そんなことは、この時の俺らにはまだ知る由もなかったんだ...
ー第5話に続くー
【作者からのお願い】最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!雪也のキレッキレな煽りと、それに感情を剥き出しにして食らいつく春芽――。二人のバチバチな関係性を「おもしろい!」「続きが気になる!」と思ってくださった方は、ぜひ応援していただけると嬉しいです!ページの一番下にある、・【ブックマークに追加】・【評価の星(★★★★★)】をポチッと押して応援していただけると、執筆のめちゃくちゃ大きなエネルギーになります!特に評価の星は、この作品がより多くの読者様に届くための最大の力になります。「おもしろかった!」の代わりに、ぜひ星を最大まで光らせていただけると励みになります!(登校タロウ)




