妻としての役割
自分の初投稿小説ということもあり、まとめるのが下手くそですが、このお話も終盤です。
ぜひ、最後までお読み頂けると嬉しいです
1年後、無事に学園を卒業したあと、ナギとアサは結婚した。
元々アサが結婚させられる予定だった老貴族は、な 何度かこの結婚を妨げてきたが、その度にナギが公爵家の圧力をかけ、その妨害を防いできたのだった。
しかし、やっとのことで結婚したが、これは契約結婚。愛はなく、ただ貴族としての役割を果たすだけであった。
そんな中、アサは救ってくれたナギへの恩返しとして、懸命に妻を演じていた。
けれども、ナギはアサへ心を開くことはなかった。
結婚して2年が経った頃、未だにアサは子どもを授かることもなく、ただ流れていく時間を過ごしていた頃のことだった。
視察へ出ていたナギが、薄汚れた子どもを連れてきた。
「ナギ様?…その子は」
ナギはその子どもの手を握り、こちらを見ようとしない。
「…ナギ様」
アサはナギの方へと歩み寄ろうとするが、ナギはそのまま子どもを連れて外に出てしまった。
ホールに居た執事長と目を見合わせ、ついて行く。
しばらくして、森の近くにある住居が目に入った。
大きくはないが、2階建ての少しボロになった家…
その中に、2人は入ってしまう。
しばらくして、ナギが家から出てきた。
「あの子には、近寄らないでくれ…」
「えっ…」
アサはナギに戸惑いの目を向けるが、ナギはそれに気づいているのか、顔を背けてさっさと歩き出してしまった。
「どういうことですか?あの子は誰の子ども…」
「お前は知らなくていい」
自分達の住む家に着いてからも、ろくに話そうとしないナギに、アサは違和感を感じるだけであった。
次の日、ナギが仕事の都合で家に居なかったため、あの子に会いに行こうと森の方へ向かう。
こっそりと窓から覗いてみると、少女はまだ寝ているようで、1階には居なかった。
「あの子なんて名前なのかしら」
アサはナギの言いつけから、しばらくは少女の様子を見ていることについて、ナギへ報告しなかった。
しかし、一向に少女のことについて話さないナギに憤りを感じていた。
アサは、ようやく少女のことについてナギへ聞いてみることにした。
「ナギ様」
「なんだ」
「あの子の名前は、なんと言うのですか?」
「…名前は、ない」
「はい?」
アサは信じられないといった顔で、ナギを見た。
ナギは目線を合わせないまま、俯いている。
アサはその様子に、ナギの仕事机をバンッと叩く。
「子どもに名前も付けず連れてくるなんて、何考えてるんですか!?」
ナギはその様子に少し驚いたようだが、未だに顔を上げない。
「…どうして、貴方なら分かるでしょ…?子どもが親から名前を呼ばれない痛みも、1人が寂しいってことも」
アサは懸命に訴える。
それは、少女への同情だけではなく、自身の境遇を重ねているのかもしれない。
ナギはようやくアサと目を合わせた。
「…話すよ、全部」
ナギは、アサを自室に連れていき、ソファに座らせる。
「あの子は、この間視察に行った時に見つけたんだ。ゴミだらけの裏路地に住み着いていたようで、服も身体もボロボロだった」
アサは静かに聞いている。
「とてもよく似ていたんだ…俺が探していた子に。いや、もう見つかるはずのない子なんだが」
「それって…」
「あぁ、お前と結婚する前に話した子のことだよ。あの子は、もう死んでいるんだ」
「えっ」
アサは、思わず声が出る。
「処刑されたんだよ。もうずっと昔の…俺がまだ公爵家に入る前のことだ」
アサは、ナギが行方不明の際に路地裏に住んでいたという噂が、本当ではないかと思っていた。
ナギがあの子を連れてきた時から…
アサはただナギを見ながら、静かに聞いている。
「その子は…イコは、俺を公爵家に売ったんだ。賞金が貰えると思ってだろうな、衛兵を連れて住処を明かして…俺は衝撃で何も出来なかった。…何も出来なかったんだ。イコが処刑されようとした時も。イコは、なにも反撃しないまま、そのまま亡くなった」
ナギは少しフゥっとため息をついた。
「連れてきたのは、どうしてもイコと重なってしまって、放っておけなかったんだ。あの赤い髪も、イコの持つそれとよく似ていて…違うと分かっているのに、居るはずがないのに、どうしようもなく探してしまう。お前もそうだ。初めて会ったとき、衝撃を受けたよ。イコに似ているってな…」
アサは思わず涙ぐむ。
なぜ、涙が溢れてきたのかは分からない。ただ、ナギがあまりにも苦しそうで…アサはナギの隣に座る。
「話してくれて、ありがとうございます」
ナギはその様子を黙って見つめた。
「…似ていると思っていたけど、やはりお前はイコには似てないな。どちらかと言えば、俺が連れてきたあの子に似ている」
アサはナギの手にそっと触れる
「あの子に名前を付けませんか?」
ナギは何かを手放したようにフッと笑った。
「…わかった。お前に任せるよ。あの子の名前はお前が決めてくれ」
アサは自分に任せられると思っていなかったのか、驚いた顔をした。
「私が…ですか」
実は、あの子が来たときから、アサはなんとなく名前が思い浮かんでいた。
「あの子の名前は…」
ここまでお読み頂き、ありがとうございます!
次の投稿で本編は最後かなと思います。
あとは、過去編とか番外編も順次投稿していきたいので、これからもお読みくださると嬉しいです




