婚約者様にはご用心!!
お久しぶりの投稿となりました。
つい先日100PVを超えまして、沢山ご拝読頂きありがとうございます!
本編はあまり長くないので、この第4話で半分くらいになるかなと思います。
その日の放課後、アサが廊下を歩いていると、後ろから腕を掴まれる。
「イコ…!」
驚いて後ろを振り返ると、眼帯をした長髪の男が必死な顔をしていた。
「…え!?誰!」
「イコ…じゃ…ない」
男は落胆したように腕を掴んだまま座り込む。
「あ、あの…」
アサがよくよく見てみると、アヒリビス公爵家の息子であるナギであるとわかった。
「ナギ…様?」
ナギはすっと立ち上がり、頭を下げる。
「すまない、昔の知人に似ていたもので…人違いだったようだ」
「い、いえ…」
アサは困惑しながらも、ナギの噂話について思い出した。
昔、行方不明となっていて、その時に出会った少女を探しているのだと。
そして、そのことから婚約者がまだ居ないことを…。
「失礼した…」
ナギがどこかへ行こうとした時、アサが声をかけた。
「待ってくださいっ!」
ナギは立ち止まり、アサをちらりと見る。
「…なんだ」
「…ナギ様には、まだ婚約者がいらっしゃらないとお伺いしました」
「だから?」
アサは決心したようにナギへと歩み寄る。
「わたしを助けると思って、婚約者になってくださいませんか」
「…は?」
ナギは少し怒ったような声を出す。
「どうして俺がお前を助けないといけないんだ。そもそも婚約者なんて…俺には必要ない」
「…仰る通りだと思います…けど!探してらっしゃるんですよね、少女を…」
ナギはウンザリしたような顔をして、ため息をついた。
「あのなぁ…だからなんなんだよ、お前も公爵家の名前が欲しいのか」
「違います!わたしは、…もうすぐ売られるんです」
ナギはじっとアサを顔を見る。
「それに、その子と見間違えるくらい似てるんですよね、わたし。だったら、その子の代わりだっていい、本物じゃなくていいんです。
だから、お願いします。わたしを利用してください」
ナギは、アサの目を見つめていたが、その瞳はアサを通して違う誰かを見ているようだった。
「…いいだろう。だが、これは愛なんてない。そんな物は期待するな」
「わかって、ます」
アサは心底嬉しそうな顔をして、ナギに頭を下げる。
「ありがとうございます。わたしから両親へ話しますので、ナギ様もよろしくお願いします」
「あ、そうだ。お前名前は?」
「アサです。アサ…ヒューバート」
「アサ…」
ナギは呟いたあと、どこかへ歩き出してしまった。
アサも止めることはなく、そのまま馬車へと向かった。
家についてすぐに、婚約者のことについて話した。
どういう経緯かは伏せ、「ただ婚約者に選ばれた」と。
両親は大喜びでアヒリビス公爵家へ手紙を出していた。婚約式を早く行い、侯爵家から公爵家に嫁ぐことを望んでいるようだった。
ようやく部屋に戻ったアサは、鏡を見る。
「そんなに、似ているのかな」
放課後、ナギから間違えられるほど似ている少女は、一体どんな子だったのだろうか。
「見つかるといいな」
アサはそのままベッドに向かい、眠りについた。
翌日、学園ではナギとアサが婚約することがどこからか漏れており、そのことで大騒ぎになっていた。
ナギは特に気にしていない様子だったが、アサは周りの女子生徒からの圧を感じた。
それも当然だ。
今まで婚約者のこの字もなかったナギが、下の家紋である侯爵家のアサと婚約することになったのだから。
アサは肩身の狭い思いをするかもしれないが、それでもおじさんと結婚するよりはましだと言い聞かせ、ひたすら耐える学園生活を送った。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
もっと乙女ゲームっぽくしたのですが、なかなかキャラクターを出していくのが難しくて…
基本はアサとナギ中心のお話になると思いますので、これからもよろしくお願いします!




