表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/78

9話 禁術

 ウッタクルが腰を抜かしているルナに触手を振りあげた。

 

 それは振り下ろされれば容赦ないスピードでルナに迫るだろう。魔術も体術も使えないルナがアレに当たればひとたまりもない。

 

 ...仕方がない。この技は使いたくなかったのだが、背に腹は変えられない。

 

 強化魔術「ライジン」

 

 魔力を身体中に、特に足に重点的に流す。魔力への拒絶反応で全身に痛みが走る。足が一瞬電流が走ったかのように痺れる。


 これで間に合う...!


 奴の触手は猛スピードで振り下ろされ、ルナに迫る。瞬く間に直撃するだろう。

 

 だが今のオレはそれよりも速い...!

 

 考えるよりも早くスタートダッシュ切り、ルナとウッタクルの場所まで走る。辿り着くまでの時間は刹那。走ってきた速度そのままで駆け抜け、ウッタクルの触手を跳ね飛ばした。

 

 そのまま止まらずに足を踏ん張って方向転換する。足に肉がズタズタに引き裂かれたような激痛が走った。...長く戦うことは出来ないな。残された時間は精々20秒程度。やるしかない!


 今の状態は動きの制御が難しいので動き回っているウッタクルの小さなコアを捉えるのが難しい。


 だからまずは動きを鈍らせる。ウッタクルの足元で這う触手達。そのうちの何本かに狙いを定めて再び地面を蹴った。ウッタクルの周りを跳び回りながら触手を一本一本刎ねていく。


 オレの使っているナイフは2本、発炎刀ともう一本あるのだがこれは専門店にオーダーメイドした結構いい奴だ。太い触手もスピードさえつければ問題なく切ることができる。


 それにウッタクルは高速で移動するオレを捉えられていないようだ。キョロキョロとオレの残像を追いながら触手を手当たり次第に振り回している。まあ当然だ。ライジンを使ったオレをまともに捉えられるやつなんてそうはいない。オレの知っている限りではカナンくらいだ。ましてやその巨体に減っていく足、もとい触手。今の奴がオレの速度についてくるのは不可能だろう。


 しかし地面を蹴るたびに足の痛みが着実に増している。残された時間は僅か。本当にギリギリだ。だが足の触手はかなり削った。


 思惑通り、ウッタクルは触手をかなり失い動きは鈍くなっていた。もう行ける。今ならこの状態でも奴のコアを切れる。


 そして、切った後は速攻でルナを担いでこの場所を離れる。 周囲を見るとモンスターが集まってきていた。


 ウッタクルのコアを目がけ足を踏ん張る。このまま跳んで樹冠の中のコアを切る...!


 そう考え飛びかかろうとしたその時、ウッタクルが触手をルナに振り下ろしているのが目に入った。


 ギョッとした。このままでは倒せてもルナは無事で済まない。無理矢理体の向きを変え触手の方へ飛びかかった。


 そのまま触手は刎ねた。が、体は限界だった。残った時間は10秒程度か?まあもう間に合わないだろうな。今ウッタクルを倒しに行ったとしたらウッタクルを倒すことは出来るだろう。しかしこの場から離脱できずに反動でそのまま動けなくなって他のモンスターに殺される。


「小賢しいモンスターだな...」


 オレはそう言って歯軋りをし、ルナを担いだ。


「えっ!」


「口閉じてろ、舌噛むぞ!」


 ルナを担いだまま地面を蹴る。今度はウッタクルとは離れるように、オレ達が来た道とは反対側に最高速度で走る。ライジンを使っている今のオレなら10秒程度でもそれなりに離れられる。


 オレはモンスター達に背を向け全力疾走した。

読んでいただきありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ