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8話 ネーミングセンス△

 燃えた触手の灰の中からナイフを拾う。火はウッタクルの本体まで届くことなく消えていた。


 このナイフの名前は「発炎刀」。オレが昔見つけたアーティファクトだ。魔力を込め合図を送ることで刃の部分が発火する。そしてその炎の強さと持続時間は込めた魔力の量に左右される。名前はオレがつけた。


 アーティファクトは高く売れるから普段は見つけてもギルドに売っているのだがこの発炎刀は便利なので自分で使っているのだ。


 発炎刀を腰に収める。いつの間にか煙幕が晴れていることに気がついた。チラリとウッタクルの死骸の方を振り返る。すると虫がウッタクルの樹冠から次々と飛び立っているのが見えた。


 この虫達は「ツリーパラサイト」というウッタクルの樹冠に寄生する虫型のモンスターだ。

 

 こいつらは寄生主の周囲半径500メートルを探索し獲物を見つけ次第寄生元のウッタクルに報告する。そうして虫達が見つけた獲物をウッタクルが食うことで葉は茂り実は実るのでそれらを食うツリーパラサイト達が助かる。


 これがウッタクルの索敵能力。要はツリーパラサイト達とのギブアンドテイクの共存関係だ。


 そして宿主が死んだのを察したらパラサイト達は次の宿主を探しに行くというわけだ。こいつら自体に危険性はないし狩ってもキリがないのでわざわざ倒すことはない。


 ...そうだ、せっかくウッタクルを倒したのだから葉を何枚か持っていこう。


 そう考えて葉に手をかけて千切ろうとした時、金切り声が響いた。


「ギイヤァァァァ!」


 モンスターの鳴き声か⁉︎警戒して声の方を向く。


 視線の先には木のそばで腰を抜かしたルナとそれに向かって猛進するウッタクルだった。


 叫び声を出していたのはルナだった。あいつすごいな!人間の声じゃあなかったぞ。


 と、もちろんそんなこと言ってる場合じゃない。すぐにルナの方へ走る。まさか2体目が来るとは。戦闘に時間をかけたつもりは無かったのだが。クソ、呑気にしすぎた!


 オレとウッタクルのルナへの距離はぱっと見で同程度。しかし速度はあっちの方が速い。このままだとオレが辿り着く前にルナが攻撃されるだろう。


 それならこちらに注意を向かせる!


 先程回収したばかりの発炎刀を再び抜き、魔力を込め投げナイフの要領でウッタクル目掛けて投げる。

 投げた発炎刀はウッタクルの胴体の部分、幹に刺さった。


「燃えろ!」


 気を逸らす必要があるので今度はすぐに合図を送った。瞬時のことだったので最低限の魔力しか込められていないが攻撃を中断させるだけなら十分だろう。


 発炎刀は合図に応じて炎を出した。目論見通りその炎にウッタクルは気を取られ足を止めた。


 だがそれも束の間のことだった。その発炎刀から出る炎はメラメラと揺れるが燃え広がることはない。原因は恐らく二つ。


 一つ目は刺さった場所が幹だったこと。幹は触手の部分とは違い水分が多い上、魔力も流れているので魔力でできた炎にある程度耐性があるのだろう。魔力を持っているものには魔力での攻撃の効果は薄いのだ。


 もう一つが込めた魔力量が少なすぎたこと。これは時間がなかったので仕方ないのだがあの程度の魔力量では小さい炎しか出せないし持続時間も短い。


 そしてそのまま炎は広がることなく小さくなりふらりと力尽きた。


 炎が消えたことに気がついたウッタクルはルナに遅いかかった。近い方から、殺れる方から殺るということなのだろう。


 触手が腰を抜かしているルナに襲いかかった。

 

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