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77話 内戦 1/2

 クロウドとイバンはルナとはぐれてからしばらく喧嘩しながらも食料を漁って探索を続けていた。そしてつい先程同じくカナンとはぐれ2人で探索を続けていたダルトとユークと再開したのだ。イバンを除いた3人は奇跡の再会に感動し喜びあった......ところまでは良かった。


 問題はそれから。ダルトがイバンの存在に気がついたのだ。その瞬間目を丸くし、すぐにイバンのことを殺しにいった。


 それは冒険者として目の前を危険を排除するため......ではない。


 知的好奇心、物欲、いずれにせよ己の欲求。


 ダルトの職業はモンスターの研究者。使う魔術は魔獣やモンスターの素材を使って作った召喚獣を使役する召喚魔術。それらの職業や魔術を選んだ理由はダルトの(へき)にある。


 ダルトは一言で言ってしまえばモンスターマニアだ。モンスターを倒してその素材で召喚獣を作るのを生き甲斐にしている。


 そんなダルトが幻の存在であるドラゴンを見たらどうするかというと......まず飛びかかる。それは理性がくるよりも先、本能によるもの。珍獣を殺して自分の召喚獣にしたいというマニアの本能的な欲求により動いたのだ。


「なんだこやつ!?」


 飛びかかってくるダルトを認識したイバンは即座にカウンターの態勢に移る。魔術が使えなくなって殆ど無力化していたが仮にも最強の龍と呼ばれた存在。戦闘手段は既に考案していた。


 大きく息を吸い、炎を喉に溜める。これをダルトにぶつけようとしたその時だった。


「待てダルト!」


 間にクロウドが割り込んだ。イバンを庇うような立ち回り。


 それを見て両者ともに動きを止める。


「なんやクロウド。モンスターやぞ」


 ダルトの言っていることは正当性に溢れている。モンスターは狩る。それが冒険者の仕事の一つだ。


「あーそれはそうなんだが......」


 クロウドは悩む。イバンのことをなんて言い表せばいいか分からなかったからだ。


 仲間ではない。友達でもない。協力者?......いや、もっと良いのがあった!クロウドは閃いた。


「仲間のペットなんだ!勝手に殺すわけにはいかないだろ!?」


「おい!」


 ペット扱いにはイバンも黙っていられない。だが文句を言っていられる状況ではなかった。一旦クロウドに任せる。


「だから勝手に殺すわけにはいかないだろ?」


 苦しい言い訳か?クロウドはそう思いながらも口を動かす。


「......なんでドラゴンなんてペットにしてるんだ?実在したことにも驚いてるしなによりモンスターをペットにするなんて非常識だ」


 ユークの言うことは的を得ている。正論だ。モンスターをペットのする異常者なんて聞いたことがない。だがルナの為に今イバンを殺されるわけにはいかないのだ。


「それは......」


 言い淀むクロウドにユークが畳み掛ける。


「そもそも僕たちの中で一番モンスターを信用してなかったのってクロウドお前だろ。あの懐いたと思ってたスライムに絞め殺されそうになった時に......」


「そ、その話はいいだろ!」


「お主そんなことがあったのか......間抜けだな」


 ボソリとイバンが呟く。それはクロウドだけに聞こえていた。


(やっぱ殺していいか?いや、ルナに面目がたたない......とにかくダルトとユークを納得させないと!)


 クロウドは強硬策に出る。イバンをむんずっと掴んで頬擦りをし始めたのだ。イバンはゾッとした顔で抵抗する。


「こ、コイツは信用できるんだ!言葉も喋れるし......ドラゴンだしな!(?)」


 ダルトとユークに見せつけるように頬擦りをし続ける。その光景は少し不気味だった。


「お、お主気色悪いぞ!」


「我慢しろ!お前の安全性を証明する為だ!」


 2人は小声で話す。クロウドとしても嫌いなモンスターであるイバンと頬擦りなどしたくない。しかしここでイバンを殺されるわけにはいかないので捻り出した苦肉の策だったと言うわけだ。


 その姿を見たユークは若干引き気味ながらも納得する。


「ま、まあ......クロウドがそこまで言うなら僕は......」


 そう言ってユークはチラリとダルトの方を見る。彼も自分と同じく納得しているのかと。


 しかしその表情はガンギマリ。納得した様子など微塵もなく、自分を見ているユークを尻目にその口を開いた。


「俺はなクロウド......正直ソイツが危険かどうかはどうでもいいんだ」


「......どういうことだ?」


「俺の夢はな、子供の頃憧れたモンスターを全て召喚獣にすることなんや」


「はあ......それが」


 食い気味でダルトは続ける。


「ドラゴンなんてその筆頭!憧れの中の憧れ!ずっと召喚獣にするのが夢やったけど存在しないらしいから諦めてたんや。そこにお前らが出てきた!やるしかないやろこんなの!どけやクロウド。俺はもう我慢できんのや!」


 これは止まりそうになさそうだとクロウドは察した。


(そういや昔からモンスター関連になると暴走気味になるなコイツ)


「前々から思ってたが......お前って結構クレイジーだよな」


 こうなっては無理矢理無力化させるしかない。クロウドは臨戦態勢をとる。無論ダルトも臨戦態勢。そんな2人を見てユークはオドオドと困惑する。


「や、やめろよ2人共......せっかく合流できたっていうのに。こんな状況だってのに仲間内で争ってる場合じゃないだろ!」


 ユークの叫びが迷宮にこだました。

読んでいただきありがとうございます。

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