71話 剣士-2
「私は冒険者のカナン。よければ互いに協力したいな」
カナンはそう言って赤い髪を揺らす。その美しさにルナは思わず見惚れそうになった。
「よ、よろしく。私の名前はルナ。多分冒険者だと思う」
ルナはカナンに自己紹介しながらある引っかかりを覚えた。
(カナン......カナンって聞いたことがあるような)
「多分?多分冒険者ってどういうこと?」
カナンが首を傾げながらルナに質問する。当然の疑問だ。自分の職業を断定できない奴なんてそういない。
ルナは真実を告げることにした。記憶喪失を隠そうとしてもきっとボロが出る。それに隠す理由もないだろうと思ったのだ。
ルナは記憶喪失のことやここまでの経緯をクロウドの名前とイバンの存在は伏せて伝えた。それを聞いたカナンは酷く驚いた顔をしていた。
「記憶喪失で自分の正体も分かんない......まあダンジョンだしそういうこともあるか。まあバッジ持ってるし冒険者ってことは間違い無いとは思う」
「はい、それで転送石?もないので出会った仲間と一緒に脱出を目指してたんですけど......」
「はぐれちゃったと。私もそう。ある男を探してここまで来たんだけど仲間2人とはぐれちゃったの。でも大丈夫!」
カナンは自信あり気に笑ってそう言う。ルナにとってカナンは今さっき出会ったばかりの他人ではあるがなぜかその笑顔に頼もしさを感じた。
「私の仲間に捜索が得意な人がいるからすぐに合流できると思う。あなたの仲間も含めてね」
ユークのことである。彼は7層でやったように魔法を使っての捜索ができる。
「ほんとですか!」
「うん。食料もそこら中にあるから餓死することはないだろうし、当面の目標は私たちとあなたの仲間と私の仲間が全員合流することね」
ルナは少し悩む。気掛かりなのはイバンの存在だ。イバンは一応モンスター。真っ当な冒険者でろうカナンと出会えばどんないざこざが起きるかある程度予測がつく。
(まあクロウドくんといるだろうし大丈夫か)
ルナは不安をよそに置いてうなづいた。
その時だった。柔らかかったカナンの表情は固くなっているのにルナは気がついた。
「か、カナン......さん?」
ルナが恐る恐る声をかけてみるとカナンは口を小さく開いた。
「誰かに見られてる......来る!」
その瞬間だった。周囲に光が溢れる。
「この光は!」
ルナはその光に見覚えがあって。7層にて散々遭遇したあの光である。
そして光は消え、代わりに大量のマネキンが現れ、ルナとカナンを取り囲んでいた。
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