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60話 祈りの跡

「っはあ、はあ。逃げ切ったか......」


 マネキン達から逃げ近くにあった部屋に駆け込んだ。クロウドが後ろを振り向くが、そこにマネキン達の姿がない。あれから十分余りほど逃げ回ってようやく撒くことができたのだ。そのことを確認した3人は各々ほっと一息つく。


 部屋の長椅子に腰をかけたルナが口を開く。


「しかしこの部屋なんなんだろう」


 ルナの言葉を聞きクロウドは周りを見回す。とにかく逃げれる方へ逃げてきたので道も分からなければ今いるこの部屋のことも把握してなかった。


 中心の道の左右に長椅子がいくつもあり、その未知の先には教壇のような四角い石造りの机がある。その後ろではヒビ割れの入った女神の石像が微笑んでいる。そしてクロウドはこの構造に見覚えがあった。


「まるで教会みたいだな」


 この部屋の構造は地上で主流の宗教の礼拝堂に似ているものがあった。もっとも似ているだけで相違点はいくつもあるのだが。


「ここに住んでた人たちの宗教ってことかな......」


「まあ人間が住んでたと考えるなら宗教もあるだろうしな。そういえばこの女神像の壁画がそこらにあった気がするし、この層はまるまま宗教施設ってことなのかもな」


 しかしそうなるとあのマネキン達は何だったのだろうかとクロウドは思った。ここが宗教施設であるのならばあんな兵器じみた人形があるのは変ではないだろうかと違和感を覚えたのだ。


 (......あの人形は明らかに人工物だ。ダンジョン人が作ったものか?それならば一体何のために?)


 クロウドが腰を据えて考察をしているとイバンがあることに気がついた。


「この壁画、地図になってないか?」


 イバンの視線は壁画に向いている。この壁画に何かを感じてずっと観察していたのだ。


「どれどれ?なんかゴチャゴチャ書いてあるけど」


「お主が見ても分からんだろうよ」


 ルナは普通の地図も読めなかったのに壁に描かれた古びた地図など見たところで分かるはずがないのだ。


「おい小僧、さっきまで書いていた地図をよこせ」


「......ほらよ」

 

 クロウドが渋々イバンに書いていた地図を渡す。なぜ自分がモンスターの言うことを聞かなければいけないのかという思いがクロウドにないわけではなかったが、状況が進展するというのならば私怨を出すわけにはいかなかった。


「ふむ......」


 イバンが地図と壁画に交互に目線をやって見比べる。しばらくそうして納得がいったように小さくうなづいた。


「やはりそうだ!この壁画はこの層の地図になっているぞ!」


 イバンは地図と壁画を見比べることでその事実を確信した。クロウドの作成したその地図は、マネキンと遭遇してからは作成する余裕がなかったので中途半端なものとなっているが検証するには充分だった。


「ほんとか!」


 クロウドが即座に壁画の方へ駆け寄る。そして地図をイバンから奪いとり壁画と見比べる。


「......マジだ」


 クロウドは唖然とする。その壁画はクロウドの書いた地図と一致している。つまり壁画は本当に13層の地図となっていたのだ。


 これがあれば困難に思われた13層の突破を最短ルートで達成することができる。マネキン達に追い回されたクロウド達だったがここに逃げ込んだのは結果として最善の選択になったというわけだ。


「ふん。我にせいぜい感謝するのだな」


「とりあえずこの地図を写しておこう。ルナ、悪いが少し待っててくれ」


 クロウドはイバンの発言を無視して壁画を紙に写し始める。イバンは少しムッとしたあと、その場から離れ、傷ついた体を気遣うように長椅子の上で丸まった。


 その光景を見て、ルナが自身が手持ち無沙汰になったことを理解した。


 (暇になっちゃったな......)


 ルナは特にすることもなくその辺を歩く。


 にっこりと微笑むどこか不気味な古びた女神像。その姿がヒビ割れ、ツタがつたっているのがルナの目に入った。


 (可哀想に......きっと人がいた時は綺麗にされてたんだろうな。そうだ!)

 ルナは女神像に駆け寄り、その体に蔓延るツタを剥がし始める。


 (どうせ暇だしこの女神様綺麗にしといてあげよう。ヒビ割れは治せないけどツタがなくなればそれなりにはなるでしょ!)


 それは暇を持て余したルナの善意だった。ただツタに塗れた女神像を綺麗にしてあげようという純粋な心。


 その純粋な善意に女神が微笑んだのか、それともただの偶然か。ルナはあることに気がついた。


 (この女神像動く......?)


 ルナがツタを取るために像に力を込めた時、像が横にスライドすることに気がついたのだ。


 ルナは不思議に思いながらもそのまま像をスライドさせる。ゾゾゾと石と石が擦れる重厚感のある音が鳴り、そのことに気がついたクロウドとイバンがルナの方を向く。


 そしてルナはそれを見つけた。


「ルナ、どうしたんだ?」


「み、見つけた......」


「見つけたって何を」


「隠し階段......」


「隠し階段!?」


 ルナの指した指の先には、女神像の下にあった下へ続く階段があった。

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