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45話 冥芒星第6席

「おい小僧、こっちにあったぞ」


 イバンが白骨死体を指差してクロウドを呼ぶ。3人は特効薬探しを続けていた。


「お前は自分でやってくれていいぞ」


「お主の事情に付き合ってやっているのだ。つべこべ言うでない」


 一悶着してからクロウドはしゃがみ早速白骨死体の服や装備を漁る。ポケットや懐、兜の中までチェックする。


「ダメだな。ハズレだ」


 クロウドは漁るのをやめて立ち上がった。これでかれこれ4体目だ。


「ドラゴン、周りにモンスターはいないよな」


「おらんから黙って探せ」


「クロウド君、こっち来て!」


 クロウドはあっそうとイバンに言ってルナの方へ向かった。どうやら死体をまた見つけたようだった。


「こっちもハズレか......」


「なかなかないね」


「まあドラゴンがいる限りモンスターと遭遇することはない。気長に探そう」

 

 そうしてルナとクロウドが特効薬探しを続行しようとしたその時だった。


 クロウドの視界の端に瓦礫が動いたのが見えた。ルナが触ったわけでもイバンが触れたわけでももちろん自分が動かしたわけでもない。それはなぜ動いたのか。ここで唐突に自分が見た記憶とルナから聞いた話がフラッシュバックして来た。


『流石に場所までは分かってねえよーだな』

『透明になって消えた男がいたの』

『そいつはツノを生やしていて』

『せっかく送ったドラゴンが......』

『私は見逃されたけどクロウド君の敵になるかも......』


 瞬間、そよ風が起こる。まるで剣を振り上げたときの刀身から出る肌でようやく感じられるような微風が確かにクロウドの頬を掠った。


 クロウドは一瞬にして推測から予測を立てて自分の神経へ打ち込む。それは神経を伝って脳から体へ信号という名の命令を伝えた。


 クロウドは風の方向へ向いて頭の前でまるで振り下ろされる剣を受け止めるように発炎刀を構えた。


 ガキン!構えた発炎刀に何か質量がぶつかった音が響く。


「クロウド君?」


 唐突な冷たい金属音を不思議に思ったルナがクロウドの方へ向かおうとする。しかしそれをクロウドは制止した。


「離れろルナ!敵襲を!攻撃を受けているぞ!」


「え?」


 クロウドはそういうのと同時に目の前の空に向かって蹴りを入れた。ドサっと鈍い音が鳴る。その時クロウドは確かな手応えを感じた。


「痛ってえなぁゴキブリ。なんで分かったかね」


 空間が歪み、男が出てくる。その男は剣を片手で持ったツノ生えた男だった。


「あ、あの時の!」


「よお女。生きてたか。ダメだぜこんなヤツらとつるんだらよ」


 (コイツ声からしてクイーンスパイダーから逃げていた時に現れたヤツだな。ルナが言っていたヤツと同一人物だったか)


 クロウドは合流した後、このツノの男に関してルナとイバンから話を聞いていた。そこで恐らく光学魔術の使い手であり遭遇すれば襲撃されるかもしれないということを伝えられていた。そのおかげで先程は急襲に対応することができたのだ。


 (もっとも刀身も太刀筋も見えない以上斬撃を受けられるかは賭けだったがな)


「見逃してくれるんじゃなかったの......?」


 ルナは即座にファイティングポーズをとって問いかける。襲われても即座にカウンターを入れるという心持ちだった。


「お前はな。被害者だからギリ許してやるよ。だがその男はダメだ。我もの顔で人ん家入って来てんじゃねぇ」


「話がよく見えないな。人ん家とか被害者とかオレにも分かるように言ってくれよ」


「ダメだね。空き巣のゴキと話すことなんてねーからなあ」

「あっそ」


 そうして再び男が魔術を使おうとした時、イバンが駆け寄って来た。


「おい、何かあったのか......てお前は!」


「なんだ?ドラゴン、お前生きてたのか......弱体化してるがめんどくせーな」


 男はそう言うとポケットから一つ、スイッチのようなものを取り出してそれを押した。


「流石に全員の相手はめんどくせーからな。代わりの相手を用意してやる」


 その時、周囲が光り輝く。イバンはその光を見た。


 (あの時の光と同じだ。我がここに転送された時と......)


 3人共この光には見覚えがある。なので次になにが起こるか、察しがついていた。


「来るぞ!気をつけろ!」

 そして光が収まり、そこからスカイアリゲターが大量に現れた。


「くそっ面倒な......!」


 スカイアリゲター達はすかさず3人に襲いかかる。それらをクロウドは捌き、イバンは躱し、ルナは蹴散らす。クロウドとルナはスカイアリゲターとはそこそこ戦っていたので対処には慣れていた。


 だが今回対処するのはスカイアリゲターだけには止まらない。クロウドの背後に透明な魔の手が迫る。そしてクロウドがスカイアリゲターとの戦いで背後が隙だらけになったその瞬間、男がクロウド剣で突き刺そうとした。だがその直後、ダメージを負ったのは男の方だった。


 クロウドを突き刺そうとした男の脇腹にクロウドの不意打ちのキックが直撃したのだ。男はそのまま蹴られた方向へ吹っ飛び瓦礫の地面に倒れる。


「だからなんでさっきから分かんだよ......!」


「さあな」


 クロウドは分かったのではない。「分かっていた」のだ。男が背中を攻撃しに来ることもそのタイミングも。何故ならそれがクロウドが仕組んだことだったからだ。


 クロウドは男が姿を消しスカイアリゲターの大群が現れたその瞬間から上手く隙を作り男が自分の背中を攻撃しに来るように行動していたのだ。そしてタイミングを見計らってあえて大きく隙を作ることで男の攻撃のタイミングを誘導、見事カウンターを決めたと言うわけだ。


「ルナ!ドラゴン!そっちもモンスターは任せた!オレはコイツをやる!」


 クロウドは攻撃した直後、間髪開けずにルナとイバンに向かって叫ぶ。


「了解!」

「ちっ我に指図をするな......」


 クロウドの指令をルナは快諾、イバンも渋々ながらに了承した。これで完全にクロウドと男の一騎打ちになったというわけだ。


「仲間も居るってのに一騎打ちか。舐めたもんだな」


「そうか?お前一人ならオレだけでも過剰戦力ってもんだ」


 それを聞き男は眉間に血管を浮かべながらクククと笑う。

「ふん、そうか。なら自己紹介してやるよ。どうせ殺すんだしな」


 男は透明化を解いてクロウドの方を睨む。


「俺の名はトラン=バドル。冥芒星第6席。お前を殺す男の名だ。せいぜい地獄で思い出せ......!」

第二章はラストスパートです!


読んでいただきありがとうございます。もしよければブックマークしていただけると嬉しいです

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