34話 謎の男
るなちゃんのぜんかいのあらすじ
人間がいると思ったらツノ生やしためっちゃ怖い人でした。おわり
「人違いでした!」
私はその姿に驚愕し退く。だってツノが生えているのだ。十中八九人間ではないだろう。
いや、もしかしたら特殊はな事情を抱えた人間かも知れないが......そうだとしても顔が怖すぎる!眉間にシワがよりまくって人相がやばい。もし人だとしても確実に味方ではない。もしかしたら捕まって臓器を売り飛ばされるかもしれない。
「人違いってこたあないだろ地上人よぅ。明らかに俺に話しかけてきてたよなあ?」
そう言って男が詰め寄ってくる。怖い!しかし地上人というのはなんのことだろうか。
「い、いや!冒険者かと思って!」
私はそう言いながら臨戦態勢をとる。この男、いつ襲いかかってきてもおかしくない。
「あ?俺をお前らゴキブリ共と一緒にしてんじゃねえよ」
人のことをゴキブリ扱いとは思想が結構強めだ。
「しかし油断してたな。こんな場所までゴキブリが潜り込んでるとは思わなかったぞ」
男はそう言って剣を抜く。銀色の頭身がピカリと光った。
「悪いが人の家にズカズカ入ってくるゴキブリは見つけ次第駆除する様にしてんだ。恨むなら自分達の図々しさを恨むんだな」
やはり私を殺しにくるつもりだ。イバンの言う通りもっと慎重に行けば良かった。
だけど後悔しても遅いか。こうなったら仕方ない。応戦してから隙を見て逃げよう。
拳を構える私と剣を構える男。距離は数メートルほど。まさに一触即発。私は恐怖を体の内側へと抑え込み神経を過敏に張る。
まずは初撃を避けてカウンターを叩き込む。
私の思考が完全に戦闘モードにスイッチしたその時だった。男が何かに気がついたように足を止めた。
「お前、なんだその魔力......」
「なんの話?」
唐突な問いかけに緊張は切れそうになる。これは揺さぶりというやつだろうか。意外に策士......!
「お前のそれは地上人とも俺達ともモンスターとも違う......何者だ?」
男はそう言って静かに考え込み始めた。これ私はどうすればいいんだろう。逃げていいのかな。少し気まずいかも。
「ああ、そういうことか......クク」
男は考えこんだ後、何かを察したように笑い始めた。
「一人で盛り上がるなよ!」
「ククク......そうか、そういえばそんなログがあったな。お前はある種の被害者だったわけだ。今日までどうやって生きていたんだ?」
「だからなんのこと⁉︎」
何やら一人で楽しそうだがこっちは一向に話が飲み込めない。
「ハハハ!それなら見逃してやろう。冒険者などをやっているのは不愉快だが、俺は巻き込まれただけのいたいけな少女を痛ぶるほど根は腐ってないつもりだからな」
「はあ?」
何やら分からないがなんとなく馬鹿にされているのは分かる非常に不愉快だ。
「......来ないなら私から行くけど」
いつまでも笑っている男に向けて言う。本当なら逃げたほうがいいのだろうけどいつまでも一人で楽しそうなこの男を一発殴ってやりたいという気持ちが出てきていた。
「いやいや、言っただろ?俺はお前を殺すつもりはねーよ。むしろ応援してるぜ」
「だから何の話だって」
「悪いが俺のことは話せねえな。話したら殺さなきゃ無くなっちまうからよ」
「......もういい!」
いつまでも要領を得ないこの男に私は怒りをあらわにし殴りかかった。
「まあそう焦るなよ」
「くそっ」
男は私の拳を軽々と躱す。だがすかさず2撃目だ。一発でも当たれば致命傷になるはず。
私は男が避けた方向に向かって拳を再び繰り出した。
しかし、拳は空を切り、私は目を丸くした。
「い、いない⁉︎」
そこにいるはずの男の姿がなかったのだ。私はすかさず周囲を見回す。だがどこにも男はいない。
「お前は精々平穏に暮らしてればいい。お前は地上のゴキブリ共と違ってただの被害者なんだから少しでも幸せになれることを祈ってるぜ」
どこからか男の声が響く。しかし相変わらず姿はない。
「どこにいるの⁉︎出てこい!」
「まあこの世界で暮らす以上いつまでも無関係ではいられないだろうがな」
男はそう言い残して、声が消える。完全に私の前から姿を消したのだ。
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